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三十一話

PCの故障により、一話だけ更新(´・ω・`)

 とはいえ、流石に初級魔法だけで片がつく訳もない。


「ぐ、お、おぉっ、おおおっ!」


 顔面も体中もぼこぼこにされながら立ち上がる主人公君に、お仲間の愚連隊から声援が飛ぶ。

 身に付けている魔装具は、流す魔力の量で効果が変わるものとなれば、『次』を考えなければ一度くらいは無茶もできるだろう。二戦目への影響を無視する覚悟をすればさ。まぁ、魔力回復ポーションあたりでも用意していれば解決する問題だしね。


「な、めるなぁっライハウントぉおおおっ!!」


 その様子を冷めた目で観察しつつ火玉を途絶える事無く撃ち込む俺に対し、両腕で顔面を庇いつつ、その間からこちらを血走った目で睨み付けて来る彼の瞳に、まだ諦めの色はない。

 そうだよな、何しろ君の人生には、常に身近に『力』で全てを押し通して自由を勝ち取ってきた、偉大な『父親』の背中を見続けてきたのだから。

 俺から言えばチート野郎、彼から見れば『英雄』の存在を。


「舐めてはいないよ。君みたいに、生まれで『戦えない』なんて最初から『差別』するような育てられ方はされてないんでね?」

「っ、違うっ!」

「はぁ……、気づかない振りをするのなら、もうそれでいいよ。」


 主人公君の体の各所に流される魔力を感じ取り、その体が淡く輝きだす。物語で言えば、追い詰められたヒーローが起死回生のイベントで逆転勝利を飾ったりするんだろう。前世でよく見た覚えがある、好み楽しんだ展開。だけどな?


「うぉおおおおおおっ!!!」


 これまでにない速度、それこそ闘技場に居た殆どの学生の視界から消えるほどの加速で、ただ愚直に、真っ直ぐに。

 君のそういう部分だけは、嫌いじゃないが。


「ガァッ?!!」


 高く打ち上げられ吹き飛ぶ少年の体を、下から見上げる。俺がやった事といえば、ただのカウンターだ。

 最大限死なない程度の『全力』で、胸部を打ち据え振り切った木剣の刀身部分が粉々に砕け、用無しになった残りの柄を掌で転がす。

 三歳の頃から積み上げてきたレベリングの成果は、彼の動きを見切り、合わせる事など造作もなく。

 彼は、俺にそれが出来ないと思い込んでいたんだろうな。根拠にもならない『俺が子爵家の生まれ』だから、という『差別意識』で。


 短い滞空時間を終えて、闘技台の上に落ちて転がって行く少年の小さな体が、とうとう台の隅から場外へと落ちる。

 クラニッツァ先生が駆け寄り、安否確認を行う。呼吸と脈を確かめ、こちらに一つ頷いてくれた。


「いい塩梅だ。」

「そうですか、よかったです。」


 うん、本当によかった。後は結果を聞いた男爵が、大人気なく殴り込んで来ない事を祈るばかりだね!(遠い目)。


 静まり返る闘技場の中で、控えていた養護教諭の指示で担架が運び込まれ、彼の体が乗せられていく。改めてみても酷い有様だ、十三歳の少年に自分がそうしたのだと言う事を突きつけられながら見送り、溜息を吐く。


「この『模擬決闘』、勝者はライハウント!」


 一拍の間を置いて、俺の派閥の連中が居る方向から歓声が上がった。

 

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