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二十九話

 と言う訳で、俺は現在闘技台に上がり、主人公君と相対してますよ。


「俺は、お前たちのような身分を嵩に着た奴らを認めない。

 人はそんな物で評価されたり、差別されたりしていいもんじゃないんだ!」

「なる程、ご立派な考えだ。考えだけはな。で、どうやってそれを証明するんだい?」

「まずはお前に勝つ。従者の後ろに隠れて、戦う事すらしない爵位だけの軟弱者に、従う価値など無いとここで証明してやる!」

「力の理論かい?

 君の父上は確かにそれで、立身出世を勝ち取った訳だが。その物が今の君にある男爵家としての立場なんだけど、それについてはどう思ってるのかな?」


 木剣を構えて対峙しつつ、彼が話し掛けて来たので付き合ってみたけど。うん、よく判ったよ。


「君は結局、自分の都合でしか考えず、勢いで周囲を巻き込むだけか。主張が違うだけで、それは貴族の考えと同様だと、俺には聞こえるんだけどね。」

「違うっ! 俺をお前らなんかと一緒にするなぁっ!!」


 煽り耐性低いなー。

 顔を真っ赤にして突進してくる主人公君の太刀筋に合わせて、受け流す形で木剣を置いてと。おや、更に速度が上がったな?

 レイセルとの時のを参考に予測した彼の能力を若干上方修正しつつ、取敢えず横に大きく避ける。


「っ、逃げ足だけは達者か!」

「そうだなー、うん、確かにそれは得意かも?」

「ふざけるなっ!」


 ほら、レベリングの時にね、?、あれ、何か嫌なことがあったような……? 何があったんだっけ? ダンジョン……騎士……笑い声が……うぐっ、頭が?!


「と、おっと危ない。」

「ちっ!」


 うん、一瞬頭痛で意識が外れてたよ。一撃もらうトコだったわ、危ない危ない。しかし、今のイメージは何だ? 思い出さないほうがいい気が激しくするんだが……。まあいい、今は目の前の勝負に集中だ。

 暫らくの間、主人公君に合わせて木剣を打ち合う。

 俺の剣術スキルは未だに初級だけど、レベルによるステータスが仕事をしてくれて、彼の動きや太刀筋を如才なく見切ることは出来ている。出来ているんだが。


「ふむ、たまに妙な加速や重みが加わるね? 手加減とか、力を隠していたとかじゃなければ……なる程、魔装具かな?」

「っ!」


 俺の言葉に、彼は驚きの表情を見せて咄嗟に飛び退る。そんな反応見せてたら、図星だって誰にでも判るぞ?

 反応が素直で交渉事には不向きだなぁ、彼は。

 魔装具というのは、簡単に言えば魔力を流す事で何らかの効果を発揮する装備品の総称だ。

 魔物からのレアドロップや、ダンジョンの宝物として見つかる事があるんだが。


「何種類か持ち込んでるね? いや、別に構わないさ。

 俺は生まれた家で培った力、君は恐らく父親が手に入れていた魔装具という力。うん、どちらも間違いなく家の権だな。種類が違うだけで、『受け継いだもの』に頼って生きている訳だ。」

「う、うるさいっ! これは、父さんが俺に与えてくれた物だ! 自由を勝ち取るために! お前たちのような、身分で人を差別し虐げるような悪辣な奴らからっ!」


 確かに、貴族という身分は悪辣だろうさ。だがな、それ相応の『役目』を全うしている貴族が居る。義務を果たしている貴族が居る。

 隣国に対する交渉、戦時における武力、法を整備し、犯罪を取り締まり、公共事業を起こして……一部の悪徳貴族に関しては、擁護し様も無いけどな。

 学園の子息たちは、まだ十三歳の子供だ。例外を除いて、それらを自覚する前の段階で、多少傲っていたとしても成長の余地があり、王国の歴史が千五百年続く程度には有用性も証明されている。

 極一部の、際立ったチートだけでは、国の全て、民の全ては護れないんだ。それ故に貴族という『組織』がある。

 だから、今は未だ、君の思想は()()()()。 

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