二十七話
先日の一件から、俺のクラス内はややぎすぎすとした空気が続いている。
とは言え、それは予想通りであったし、不機嫌なのは主に愚連隊だけだ。
俺の派閥とドーラバル殿の派閥は、これまでと変わらず穏やかな関係を保っているよ。
「………。」
時折、主人公君から突き刺さるような視線を向けられたり、ヒロイン嬢の戸惑いを持った表情と視線で、話しかけられそうになって結局諦める、といった行動が見受けられたりしたけどね。
うん、どうでもいいわ。決着は『模擬決闘』で着けるんだから、お前らはそれまで余計な事をしないで居てくれさえすればいいから。
そして出来れば、ヒロイン嬢はドーラバル子爵家派閥に押し付けたい。と成れば自動的に、愚連隊という面倒も全部そっちにおっかぶせられるからねっ! これっきゃ無いね!
……うん、まあ、ちょっとだけ。本当にちょっとだけ、ヒロイン嬢の主に身体には興味が無いわけでもないというかそんな感じだけどもね?(最低です)
だってオトコノコだもの、みつを。
とまあ冗談はともかく(本当だよ?)。
ここ連日は、放課後に担任教師であるレカリール・クラニッツァ(三十二歳、独身、とどうにか聞き出した)の教員室に通って、のんびりティータイムにあやかれているので、俺は元気です。
お互い、必要でなければ口数は多くないから、会話が弾むわけじゃないんだけどね?
無言で居ても苦痛じゃない相手っているよね。手ずから淹れてくれたお茶を飲んで、美味しいと答えて。
俺が持参したお茶菓子を食べて、微かにほころぶレカリール先生の表情とか。うん、ご馳走ですね!
最近はレイセルも、先生と偶に会話するようになったし。お互い語彙は少ないけど。内容が俺の事だけなのは、共通話題がそれしかないからだしねぇ、うん。
そんな感じで、無難に過ぎて居たので何も問題はなかった。
「闘技場の使用許可が下りた。三日後の放課後、第三闘技場だ。この用紙に出場する者の名前と、使用する武具種を記入して提出したまえ。
武器は木製となる。魔法は殺傷力の低い初級までは許可される。以上だ。」
「「はい、先生。」」
「……判りました。」
相変わらず、不満だらけって顔で不貞腐れてやがるなぁ、主人公君は。
そりゃ現地チートな父親を見て、奔放な母親に育てられて、そういう思想になったのは理解したけどさ。
君はその父親とも、母親とも違う。立場が、力が、社会との関わりが。
早く矯正しないと、取り返しのつかない事に成りそうなんだが、いつ気づくだろうか。
取敢えず今回は、手加減抜き……だと多分あれだから、必要最大限の手加減で、少し痛い目を見て貰おうか。
うん、うっかり殺して、モンスターペアレントならぬチートペアレントが、学園に乗り込んでこないように気をつけねば。それだけは本当に勘弁して欲しい展開だからね……。




