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二十二話

 内心で俺がうんざりしていると、何事か考え込んでいた女教師が一つ頷いて口を開く。


「判った、手続きと闘技場の使用許可を得るのに数日掛かる。決まったら伝えるから、取敢えず今は席に戻れ。」

「「はい、先生。」」

「「「………。」」」

「くっ、なんでこんなっ、何でだ、おかしいだろ……!?」


 レイセルに抑えられたままの主人公君が負け惜しみを呟くが、おかしいのはお前だと言いたい。この様子だと言っても無駄だろうけどさ。

 彼の仲間達は、ようやく現実を受け止め始めたのか、青褪めた顔で互いに見合わせながら、ふらふらと各自席に着いて行く。

 騒動の発端となったヒロイン嬢も、主人公君を心配した顔でチラチラと振り向きながらも、教師の言に逆らえず離れて行き、合わせて教師も教壇へと移動する。


「レイセル、いいぞ。」

「はい、坊ちゃま。」


 俺の命で拘束を解いたメイドが離れると、ばっと勢いよく立ち上がった少年は、グッと歯を噛み締めたような表情でこちらを睨みつけてから、無言で仲間達の近くの席へ去って行く。

 それに俺が肩を竦めて見せると、ドーラバル殿も苦笑して席に移動する。ませた所はともかく、貴族としては割と真っ当な部類だと思うのだよね、彼は。でなければ今頃主人公君、俺が止める前に血溜まりに伏した肉塊に成ってただろうし。

 刃傷沙汰を余り好まないというだけで、評価出来るって言うのも業が深いと思うけれども。

 さて、取りえず教室内スプラッタ映像は回避出来はしたのはいいが、面倒な事に成ったなー……。


 放課後、俺はレイセルを伴って担当教師の教員室を訪ねた。


「うん? 開いているぞ、入りなさい。」

「失礼します。」


 ノックをして、許可を得てから扉を開く。

 学園の教師は、身分的には貴族が多いが、一部に傭兵上がりや冒険者上がりがスカウトされて勤めている場合もある。彼らは平民であるが、後ろ盾として王家が控えている為、俺たち貴族の子息子女に対しても上位として振舞う事を認められている。勿論、教師の職務としての範囲内なのは当然だけどね。


「ふむ、ライハウント君か。聞いたよ、朝の騒動を穏便に済ませてくれたのは君らしいな。」

「ええ、一応はそうなりますね。それで、少し疑問に思った事が有りまして、質問よろしいでしょうか?」

「私で答えられる事なら構わないが……しかし君、変わっているな?」

「はい?」

「いや、これまでも何人も子爵家の子息を見て来たが、教師に対してそこまで礼儀を守る者など、この職についてから一人も見なかったのでね。」


 ああ、うん、そうだろうね。俺のこれは、前世からの教師に対する抹り込まれた条件反射みたいなものだし。地球の学生は、教師に対して腰が低いからなー、普通は。

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