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十九話

 一月ほど経った頃だろうか、下級クラスそれぞれが落ち着きだした頃に、主人公っぽい少年君が騒ぎ出す。

 例によって相手は自身より家格が上なのだが、彼の頭は大丈夫なのだろうか? なぁ、封建社会の無礼討ちって、ホント軽いんだぞ、振り下ろすのがさ。


「こいつらは俺の仲間だ、お前の玩具じゃねぇっ!」

「ふーん、男爵家風情が、ドーラバル子爵家の嫡男たる俺に逆らうのか。」


 理由はまぁ、以前の絡まれ令嬢が又絡まれてる所に割り込んだって展開だが、ホント好きだね君。

 現在俺のクラスは、気がついたら膨らんでいたライハウント子爵家派閥、どちらにも所属しない愚連隊ぽい『主人公君と仲間達』、そしてもう一つの子爵家であるドーラバル子爵家が、実家から引き連れて来た寄子子息たちと勧誘した者達で構成した派閥の、三つからなっている。


 俺は他派と争う気がない為、基本傍観者の立場を常に取っているんだが、流石にクラス内で刃傷沙汰は勘弁して欲しい。ほら、ドーラバル殿の従者の青年が、もう準備万端に腰の帯剣に手を掛けてるからね?

 王都までの道中で、俺としても色々覚悟を決める決心は付けたが、スプラッターな光景を進んで見たいとも思わないからな。あぁ、めんどくせぇ……。


「朝から騒がしいですな、ドーラバル殿。……また『彼』ですか。」

「ああ、ライハウント殿。まったくだよ、『彼』には困ったものさ。」


 緊張する空気を、わざと読まない素振りで強引に間に割り込む。これで命が下っても、俺が邪魔でそうそう斬り掻かれはすまい。うん、何でこんな馬鹿を身を呈して庇わなきゃいけないんだ。世の中理不尽だよね。


「で、貴方が目をつけたのも『彼女』ですか。」

「フフ、その口ぶりだと、ライハウント殿もか? うん、男爵家にしては見目も良い、体付きも良い。是非味見したいと思ってね。」

「ははっ、確かに。いつまでも放って置くには勿体無い上物ですから。」

「っ、お前らっ!」

「………。」


 絡まれ令嬢がこちらの視線に怯え、その友人たちが護るように囲みながら敵意の視線をこちらに向けてくる。揃いも揃って莫迦共が。

 あとドーラバル殿、割と美少年タイプなんだけど、うん、貴族流性教育のせいでめっちゃマセガキでなぁ。その綺麗な顔して、舌なめずりをしながら十三歳の少女を嘗め回すように見るのは如何なものかと。

 まぁ、どこぞのデブよりかは、まともな扱いを令嬢たちにもするので、これくらいは許容範囲なのかなーと個人的には思うのだが。

 絡まれ令嬢、言い難いからヒロイン嬢とでも変えるか。彼女、確かにクラスではトップクラスの容貌を持っているんだよね。そして年齢に見合わぬ、一部がどん!で、間がきゅっ!で、最後がばんっ!な中々のスタイルをしているものだから、しょっちゅう勧誘されそうになっては主人公君や友人たちが守るようにして相手と対峙するんだよねぇ……。

 それが同格だったからこれまではよかったが、流石に格上には止めろし。


 今は未だ派閥構築期間だからいいけど、一度情勢が落ち着いたら実力行使も厭わなくなる連中は出て来る。俺としても、そこからが『社交』の本番なんだがね。

 そうしたら、中立を気取っているだけの愚連隊なんて、あっさり潰されるのがオチなんだが……若い時分は、周囲が見えなくなるものだからなぁ、うんうん。

 俺にもあるよ、前世の黒歴史的な、こう、思い出したらバイク(この世界だと馬)を盗んで走り出したくなっちゃうあれがさぁ!

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