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ニートがいない…だと




「この前、遊び人が魔族領で契約した領主さんのトコに

 魔術師も連れて挨拶に行ってきたんだよ。」


 賢者と魔術士は、借りた領地をぐるっとマッピングとボーリング調査して、

まず地質サンプル採取。


その後、土地に長く住んでいる、領民の魔人族さんや、ダークエルフさん達の

血液や髪の毛、皮膚の代わりに爪などを提供して貰って生体サンプルを入手して来た。


 「それらのサンプルの一部はオレ達のラボで、俺たち人間領のものとどう違うのか、

比較と解析にかけてる途中だ。」


 若干青い顔で腹を押さえながら賢者が説明する。

遊び人のエグいパンチが未だに尾を引いているらしい。


「遊び人が何度も、魔族領の常識とか、気をつけるモンスターや動植物、虫等を、

聴き込み調査しておいてくれたおかげで、

瘴気について大体のあたりをつけることが出来た。

そしてこのダンジョンコアスライムがキーになりそうな事も。」



遊び人は現地の人との交流を満喫したり、現地の職人さんや狩人さん、商人さんの後にくっついて

遊んでいただけであるが、あえて黙っている。



「ほう!お前らただのニートじゃなかったのか!」


「遊び人のエグいパンチもう一発いっとくか?神官?」


「ワタシハ、ナニモイッテナイ、ツヅケタマエ。」


「ニートは狩人と剣士だけだろ、俺と賢者と遊び人は神官トコに食費と家賃いれてるし。」


「そうだったな。」


「は?んな事してたのかよ!つかニートじゃねぇし!

 たまに王立騎士団のトコで剣の稽古つけてるし!そんでよく分からんけど給料貰ってる!

騎士団の俺専用鍵付きポスト開けるといつのまにか入ってんだよ!」


この脳筋は、よく今まで生きて来れたな…、という皆の視線にアワアワしている。

見かねたのか賢者がため息をつきながら口を開く


「よくわからないで給料貰ってるのかよ…、

お前王立騎士団名誉剣術範士と、連盟国家永世名誉剣術範士って役職に就いてるの。

自分で覚えてねーの?


狩人は…勇者専門介護士?」


「え、僕…錬金術師の資格持ってるからその仕事してるよ…。

狩りに必要だから罠とか臭い消しとか虫除けとか自分で作って、たまに売ったりして路銀の足しにしてたら、


いつだったか…、職人組合の人に連れてかれて、

錬金術をみっちり叩き込まれて…、


 3、40年くらい前に正規の錬金術師の資格とったんだ。今は職人組合に、週2くらいで顔出してる…。

 最近は遊び人が、よく訳のわからないもの作らせに来るけど…、見合ったお代貰ってるし…。」


実は、狩人は腕利きの人気錬金術師でもあるのだ。むしろ錬金術師にジョブチェンジしたほうがいい。


信頼と実績により職人組合でもかなりの重鎮ポストに居る。

なぜか本人は気づいていないようだが。

仲間割引してくれたり優先的に俺の依頼も受けてくれる。いいヤツだ。



「それで僕の月の給料は…いくらだろ、でも僕の口座から…神官には家賃と食費振り込んでるよ。」


そんな狩人の申告に厨二拗らせた魔術師が食いついた。


「狩人で錬金術師!カッコイイな!人間レンセイしたり…ん?」


しょうもない事を口にした瞬間、表情が真面目なものに変わる。


「…んんんん?虫除け? 旅用品店とかで…30年くらい前から売ってる

"スーパー虫除けさん"て商品、この世界の品物にしてはスゲー便利で質もいいんだけど…」


「僕が初めて製品化して、特許とった商品だね…、懐かしいなあ…改良は続けてるけど、へへ」


「もしかして、旅用目隠し簡易設置トイレ "安心エチケット氏"とか、

折りたたみ式の虫&モンスター除け&盗賊警報器付き "どこでもワンタッチテント君" …」



「うん、どれも、僕の居る開発チームの商品だね…。魔術師、使ってくれてたの、嬉しいなあ…」


「今度はおまえかあ!遊び人に続いて快適な旅サポートし過ぎだろ転移者共め!」

自分も転移者で、国の医療水準を上げすぎている神官が何か言っている。


「流石だなあ、俺と魔術師は剣士と同じような名誉職だからほどほどに国から給料は貰ってるけど、

請負業組合ってとこの組合員もやってて、主な収入源はこっちだな。

組合員になると依頼に上がる請負の正社員登用有りの仕事とか、日雇いもあるから色々選べる。

あとは個人や自治体からの依頼でモンスターや、野獣、害虫の駆除とか。

無事依頼終了すると依頼報酬が大体2週間後くらいに口座振込みで貰える。」


 「毎年研修とライセンス更新テストと手続きがあるからちょい面倒だけど、

ダンジョンでしか採れない素材とか、流通の少ない希少素材とかの納入は

かなりびっくりする金額になるし、珍しい素材の時はオークション代行とかもしてくれる。

大陸中に支部があるから、職探しや小遣い稼ぎから一攫千金まで手広く便利だぜ。

…まぁ、異世界版派遣社員?」


「まんまだろ、ただ、銀行が発達してて提携してるから、

日本の積立預金と社会保険と雇用保険みたいなのが強制的にある、そこそこ便利で安心かもな

…怪我、病気時の見舞金とか…死亡見舞金とか、ないよりマシって程度だから、貯蓄と資産運用は大事。」


「ハハ…まぁ世界中回ってた時、色々見て来てさ、結構ヒドイ現場とかあって、

好き勝手な研究に税金使いたくねーかなと思ってよ。国からのお給料は大体過疎った地方とかに還元されるように信頼できる商人に頼んであるんだよ。」


「意外と皆真面目に何かやっていたのだな。遊び人以外…。」


 その瞬間、遊び人が縮地のように神官との距離を詰め、ゼロ距離で目を合わせながら拳を握る。


「ダンジョン経営は真面目じゃないんスか神官センセー、メガネの度数あげたいですかー」


「マジメデリッパナオシゴトダヨネ、ダンジョンケイエイ。」



話が逸れ過ぎたが、皆色々やってたんだなあ、こんど魔術師と賢者に混ぜて貰おう

まあ、俺も手広くやってはいるが。


ちなみに、ガスマスクやベルトに付けるポーチは狩人に頼んで作って貰ったよ。

錬金術師凄いよね。




本日の会議は、脱線しすぎて勇者がおネムの時間になったので会議はお開きだ。


瘴気の秘密、未だ暴かれず…はははははは


さ、風呂入って歯ぁ磨いて寝るぞー





自由人ばかりのゆるっとパーティなので、これでいいのです。

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