ダンジョンの名は
内容がかぶってます、色々改校中なのでおゆるしををを
「しっかし、神官儲けてんなあ…絨毯フカフカ、へへへ」
「だな、お前ら近況どうよ、俺と賢者は帰還方法探して
遺跡やらダンジョンやら潜ってたけど半世紀かけて成果なーし」
剣士と魔術師が毛足の長い絨毯に寝転がる。
「だから、原点に戻ろう、と思ってな。最近研究所作ってさ、
魔術師と世界回ってた時に採集した色んな植物や菌を使って色々試してる。
野性の米を改良してコシヒカリを再現しようとしててな。難航しつつだけど楽しいぜ。
酒と醤油、味噌に関しては、麹が結構いい線いってると思うんだ。
ただ、研究に没頭しすぎて、あんまり金がないの。」
賢者の原点とは…面白そうな研究してるな。
「いきなり脇道に逸れたな、お前ら帰還方法じゃなくて
第二の故郷作ろうとしてるのか?」
「どうだろうな…、ただ、ホカホカの白米、豆腐とお揚げさんが入った味噌汁、
焼いた魚におろし大根に醤油をたっぷりと…、根野菜の筑前煮…おでんのモチきん…
それらを食えば、何か日本への帰還方法の術が閃きそうな気がしてならない。
神官、荒稼ぎしてんだろ、投資してくれよ。とーし。」
神官のツッコミに賢者が鋭いカウンターが入った。
皆賢者の和食話術に引き込まれ、遠い目をしてフラフラしている。
「くっこの和食飯テロ賢者め…!
投資だと…!!いくら必要なんだ!言え、さあ!さあ!」
くっころ系神官が勢いづいて食いつく。
「言っておくが、じわじわ根回ししつつ病院増やしたからな、
医学界も教会も、今のところ私に逆らえる奴は居なくなった。
何もせずとも金が入ってくる。ニートは嫌だから働いてる風を装っているがな。
王家にも目をつけられるのは厄介だから加減して立ち回った成果で、今では王家も皆
ウチの顧客だ…。
さあ、いくら欲しい…望むだけくれてやろう…」
「うわぁどこの魔王だよ神官…」
「賢者、お前が言い出したんだろうが!何故そこで引く!」
「こんな一所懸命な神官久しぶりに見たね…和食で魔王にジョブチェンジ…
あ、そういえば、僕、みんなに報告しなきゃ…
幻とか存在しないとか言われてた、
竜の里見つけたんだよ…で、里長の竜神みたいな人と仲良くなったんだけど、
なんか、運命の子っていうのが最近孵化したらしくて、竜の里で教育が終わったら、
その子の里親になってくれって頼まれたの…どうしたらいいと思う…?」
なかなかにセンセーショナルな内容だがタイミングが悪かったようだ、
和食の郷愁に取り憑かれてフラフラしている酔っ払いどもは
「そうか、よかったな狩人、みそ汁」
「だな、がんばったな狩人。寿司」
「そんな事よりコシヒカリ!塩むすびでも良いから食わせろ!!
米、米を食わせろー!!!」
米なら実はもうある。オニギリも。だが、今は言わなくていいか。
おざなりにされる涙目の狩人、まだ左手に包帯巻いてるのか…
昔と変わらない姿で
昔とはちょっと違う話で盛り上がる奴ら。
眺めているだけで、つい、目元が緩んでしまう。
勇者もいつか、この風景に帰ってこられるよう願いつつ
夜は更けていく。