天使の涙 ~ スーパーマーケット
マンションの山田家のドアが開いた。
(お帰りなさい。ママさん。)
「あら、エリカちゃん。ただいま。」
「あなたがお出迎えなんて、今日はなにかいい事あるのかしら。」
いいながら、バックを置いた。
(なにも出ませんよ。)
笑って答える、エリカ。
「真は?」
(学校。真、遅くなるって。)
「言ってたの?」
(届いた。多くの人と話していた。)
「ああ。部活の。何とか言っていたね。」
マキママの後をついていく、エリカ。
マキママ、出かけようとしていた。
エプロン姿で。
「エリカちゃん。このエプロン。かわいいでしょ。」
笑う、マキママ。
(ハイ。すてきです。)
玄関に歩く、ママ。
(ママさんは?)
「スーパー。晩ごはんのね。」
「エリカちゃんも来る?」
ママチャリですぐのスーパー。
スーパーの惣菜売場。20%引きのシールが張られている。
マキママが歩く。その後、カートを押して歩く、エリカ。
「ママさん。いいのある?」
と、見る、エリカ。
「このごろ、惣菜売場の惣菜だから、食べ飽きたしね。」
笑う、ママ。
(エミ姉、またって言うよ。)
笑ったふたり。
ママ、スーパーをうろうろ。
2周、3周する、ママ。
エリカは野菜売場。くだもの売場で、遊んでいる。
(あなた、おいしそう。)
フルーツをつつく、エリカ。
ママさんは?
エリカが、羽根を広げた。
(あっ!いた。)
天使を見た人が、ママと歩く姿に驚いている。
「今日。なにしよう?」
ママ友達と話す、マキママ。
エリカ。話の中に、入ったようで、聞いている。
「山田さん。天使様に荷物持たせていいの。」
聞いた、ママ友。
工場地帯の火事で有名になった、教会。
その中の天使が、山田ママと買い物に、カートを押している。
「いいのよ。家にいても、退屈しているのだから。」
言う、マキママ。
「でも…。」
(どったの? ママさん。)
「なんでもないよ。」
マキママが言った。
「……、ママさん……?」
驚いている。
(ママさん。今日。なにするの?)
「そうね?」
「昨日、なにした。」
マキママが、ママさん達に聞いた。
エリカは、カートに腕を置いて、羽根をバタバタ動かしている。
「今日。なにしよう。」
ママさん達の井戸端会議。
エリカを見て集まってくる、ママさん達。
いろいろ聞いたけど、決まらない、ママさん。
「弁当だったら、エミ、すねるし。」
(エミ姉のすねる姿、かわいいです。)
エリカが言った。
マキママのスマホが鳴った。
エリカが、スマホをとった。
「エリカちゃん。」
エミ姉が、映った。
「パパにも、送るね。」
マキママ。エリカを見ている。
「エリカちゃん。今日。なに食べたい?」
(え?)
「エリカちゃん。選んで。晩ごはん、エリカちゃんの好きなものにしましょう」
(本当!)
(じゃあ、私。選んでいいの?)
「ええ。買いましょ。真も喜ぶは。」
ママ。助かったと、思った。
晩ごはん、パパ達、4人と、エリカが席についた。
白い布がかけられている。
「マキ、これは?」
「ママ。なに?」
「エヘン! 今日の晩ごはん。エリカちゃんが作ったのよ。」
「ウソ?」
「真。本当よ。ねぇ、エリカちゃん。」
(ハイ。ママさん。)
「本当?エリカちゃん。作ったんだ。」
(エミ姉に喜んでもらえると、うれしい!)
「ウン! 楽しみ!」
マキママの顔が、ピクピクと動いている。
「じゃ!あけるよ。」
テレビのまねをする、マキママ。
「さぁ!めしあがれ!」
白い布が外された。
3人が目をむいた。
真が吹き出した。
「エリカのメニューだ。」
パパとエミは、ママを見た。
「今日の晩ごはんって?」
(ハイ。私が選んだの。)
真が、笑い転げている。
「エリカの晩ごはんだ。」
「さぁ、めしあがれ!」
マキママ。丸いスイカを切って、皿に置いた。
その横に、バナナが置かれている。
キューイが、5個、ある。
その横に、アボカドが、5つ。イチゴをパックが、5つ。
テーブルには、フルーツと野菜の山になっていた。