天使の涙 【エピローグー3/6】
命の塔
真とエリカ。光の球になって、光の河を流れている。
いや、飛んでいる。
真は、数多くの天使たちの光の球が通っている。その中、いくつもの、輝くボールが見える。上にも多くの輝くボールが。
天使は、真を見ると驚いていた。激しい流れの中、真は、木の葉のように、舞っていく。
エリカを離すまいと、力が入った。
どれぐらいだろうか?
長い間、流されていたような、短い時しか、たっていないような。
真は、浜辺に立っていた。
川は、輝いた波が押し寄せている。
前には、真っ白な街があった。遠くに塔が立ってあり、塔の上には、輝くものがある。
エリカは寝ている。
真は走った。輝く塔に向かって。魂を持った天使たちが、輝く塔を目指している。
天使は飛んでいる。
真の前、道路と呼んでいいのだろうか? 道を走る、真。
目に見えるもの、すべて、真っ白。まぶしいぐらいの白である。
誰か、真に話しかけた。
「誰?」まぶしくて、顔がわからない。
(エリカ!)
(真。エリカ! どうしたの?)
輝く天使が聞いた。止まった真。
「まぶしいな。」
「色が無い。」「すべて、白だ。」
エリカに触る天使。(この子。魂を持っている!)
(真。こっち!)
輝く天使について走る、真。人が来た。
人が、逆さまになって、走っている。
すれ違いざまに見る、真。
天使について走る、真が。
なぜ! イヤ考えるまい。
白い街、輝く天使たち。
真の周りを多くの天使が、飛んでいる。
色の無い街。
見るだけで、気持ち悪くなる。
見るだけで、わからなくなる。
俺は、誰?
何しているんだ?
立ち止まった。どれだけ、走っただろうか?
俺は、膝をついてしまった。
なにかの上に倒れた。
誰か、呼んでいる。
真と。
真。ほどいて。俺は、なにかを、解いた。
俺をなぜるものが。
待っていて。
いなくなった。
身体になにかが、乗った。
その重みで、エリカは、気がついた。
身体が、動かない。
真が、いる。(真。真。服を脱がして!)
何度も言った。身体には、誠二の魂が、ついている。
エリカは、どうなったか、思い出した。
真が、動いて、くれた。牧師服を外した真。
なにも言えない。
生命の塔が見える。(天上界?)真に触った、エリカ。
(待っていて。)
生命の塔に飛んでいった、エリカ。真は、生命の塔の下に座っている。
エリカが、誠二の魂を、生命の塔においた。(ありがとう。天使様。)(最後に、父さん、姉さん。ヒロミにメグミに、会えた。)
(いいの。いい旅をしてください。)
エリカは、生命の塔の番人から、魂のコインを1枚受け取った。
生命の塔の下にいる、真を目指して、飛んだ、エリカ。
多くの天使が見ている。
(真。終わったよ。)
天使をかき分けて、真に近づく、エリカ。
エリカが、悲鳴を上げた。
真の身体が、溶けている。溶けたところから、金の粉になって、消えていった。
(真! 真!)
真の身体から、命の炎が、消えていく。
(ダメ。真。帰りましょう。)
消えていく、命の炎。
「いいんだ。エリカ。」
目を開けた、真が言った。
靴が脱げて、足が無い。手も消えている。
(真。しっかりして!)(ママさんのところに戻りましょう。)(ミサちゃん。待っているから。)
肩を支えて、歩く、エリカ。
倒れた、エリカと、真。
エリカが、真の前に座った。胸に手を当てるエリカ。
胸から、命の炎を取り出した。
天使が驚いている。命の炎を、真の胸に置くエリカ。手が、真の身体に入っていく。
「やめろ! エリカ!」
真は、なくなった手で、エリカの身体を押した。
(真。生きて!)
「お前は、生きろ!」
(イヤ。真のいない世界なんて!)
エリカの身体を押していく、真。
命の炎を、真に入れようとする、エリカ。
真の腕が、滑った。
エリカが、真の身体に当たった。
真が、エリカを捕まえた。(離して…。)
「いいんだ。」
(命は、ひとり分だけなのよ。真。)
「動くな。エリカ。」
(どうして?)
「エリカ。おっぱい。大きいな。」
(バカ! こんなときに。)
真に身体をゆだねる、エリカ。
真が、光の粉になって、消えた。その光は、エリカも包んだ。エリカが、光になった。
マリーが、ヘルガが、来たときは、真とエリカが、光になって、消えるところだった。
(何が起こったの!)
(真は? エリカは?)
天使を捕まえて、聞く、マリーに、ヘルガ。