天使の涙 【エピローグ~プロローグ】
どこにでもある、街に立つ教会。
人の出入りが無くなって、等しい教会。
おばけ寺として、忘れられたこの教会に、時が動き出した。
誰も知らないだろうが、この教会は、天使が現れている。
天使が住み着いている。
偶然、天使と目があった少年、山田真。
天使とは知らない真が、女の人に、恋をした。
そして、そこから始まる、ふたりの物語。
プロローグ
サッカースクールの子供たちが、坂道をボールを蹴りながら降りてくる。
遊歩道を歩いている、人々は、立ち止まって、元気な子供たちを見ている。
遊歩道の出口は、商店会の入り口。
「来るぞ!」
子供たちが、ゴールキーパーのように、ボールが来るのを守っている。
遊歩道の横には、小川が流れており、その向こうには、大きな教会がある。
誰も、手入れしていない。
木々が、人々を寄せつけさない。
門は、いつも閉まっている。
門の中は、草が生えて、石畳を隠している。
石の階段を上がると、教会が、教会の一部が、見えている。
この教会は、牧師がいなくなって、長い年月がたっている。
街の人達の間では、『おばけ教会』『おばけ寺』と、呼ばれている。
サッカースクールの山田真が、教会を見た。
足が止まった。
真が止まったので、勢いつけて走ってきた、サッカーのグラブメイトが、何人もぶち当たった。
真が倒れた。
その上に、グラブメイトが、何人も、乗った。
ボールが、転がっていく。スピードをつけて。
「何しているんだよ。」
怒るメイト達。
真が、教会を見ている。
「えっ!」
「何かいる?」
「何か見えるの?」
聞く、女の子。
うなずいた、真。
(大丈夫?)
白い服を着た女の人が、笑って言った。
「大丈夫。」
「大丈夫。って、訳ない。だろう!」
頭を殴る、メイトが。
「急に止まって。」
教会を見ている、真。
女の人が、石の階段の手すりに座っている。
「教会に女の人がいる。」
「えっ!」
「どこに?」
「ほら、石段のところ。」
真達を見ている。
笑っている。
女の人の声は、すぐ近くで、聞こえてくる。
「きれいな人だ。」
顔を見合せる、グラブメイト達。
「誰もいないよ。」
「真?!」
女の子が、ミサが、言った。
「教会の扉。石の階段に……。黒い髪で、白い服を着た女の人が……。」
ミサを見て言った。
「真。いない!」
誰かが、叫んだ。
「おばけだ!」
逃げ出すグラブメイト達。
ミサの手を引っ張って走る女の子達。
真は、ひとりになった。
門に近づく、真。
女の人が、微笑んでいる。
「美しい人だ。」
女の人が、立ち上がった。
(私、帰る。)
(あなたも、帰りなさい。)
(そして、二度と来たらダメ。)
教会の方に行く女の人。
天使を主人公にした、ドラマ(小説)が、多くあります。 ステッキを、持って、イナズマや、シールドを使う、天使。 異世界で、戦う、天使。 かっこいいけど、なにか、違うのでは? 天使は、心優しい人々の集まりでは? 宗教に出てくる天使を、考えて、ドラマを作りました。