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神殿侵入

 神殿に到着した一行は、二手に分かれる。


 一つはもちろん、オリヴィアと冒険者たちだ。こちらが悪魔と戦うために神殿の中に入っていく事になっている。


 オリヴィア、ジェド、シア、『破魔』の5人、アグルス、エリメアで雇った『ゴールド』『シルバー』の混合チームだ。


 そしてもう一つは、テティス、エイバン、兵士8人だ。こちらの方は悪魔との戦闘ではなく運搬に回ってもらう。たとえ悪魔を打倒しても重傷を負ってしまいエリメアにまでたどり着けなくなった場合は全滅することになるのだ。


 そうならないためにも、戦闘に参加しない余力がある者を確保するのは当然だった。一見、働いていないように見えても、もしもの時のための予備であることを考えるとそこに優劣はない。


 一見、全力で物事に取り組む方が良いように思われるが、全力で物事に取り組むというのは力が尽きた時に回復まで時間がかかるものでありその時にトラブルが起こった時に対処することができずに、そのままなし崩し的に崩壊することになるのだ。


 今回、無事に事を成し遂げることができるかは、どちらが欠けても駄目なのだ。


「シア、悪魔の気配は感じるか?」

「それが…神殿に強力な結界が張ってあるから中の様子がまったくわからないの」

「その結界は…レンドール家の張ったものか?」

「いいえ、これは悪魔が張ったものね」


 シアが断言するのは、中の様子を遮断する結界の術式がシアのまったく知らない術式だったからだ。シアはオリヴィアが乗っている馬車に施された魔除けの術式と神殿に張られた術式が違うことからそう結論付けていたのだ。


 魔術には様々な流派があり、根本は同じであっても流派によって微妙な違いがあるのだ。


「なるほど…悪魔は用心深い性格をしているというわけだな」

「そう考えるのは自然ね。でもそれが演技の可能性もあるわ」

「演技…」

「うん、悪魔は人間をなめているのが大多数・・・よ…でも」

「…」


 ジェドはシアの次の言葉が予測できたために何も答えない。


「すべてじゃないわ」


 シアの言葉にジェドは頷く。悪魔の大部分は人間を軽んじている。だが、すべてがそうではない。戦いの結果も出ていないのに相手を見下すのは三下のやることだ。ジェドとシアはかつて、ゴブリンを舐めて痛い目にあったことがあるのだ。


「そうだな…まずは隙を見つけ先手必勝…」

「ええ、情報もあるだろうけど優先すべきは先手…」

「ああ」


 ジェドとシアは優先順位を定める。情報はほしいが、まずは生き残ることだ。そのためには先手を取ることが大切なのは言うまでもない。


「ジェド、シア、いくよ」


 フォーラが声をかけてくる。出会って半日ほどだが、彼女はロッドの娘とは思えぬほど社交的だった。むしろ、ロッドが寡黙という名の人見知りなのでコミュニケーション能力が発達したのかもしれない。


「「はい」」


 ジェドとシアはフォーラに答えると、突入組と合流する。突入組がそろうとオリヴィアが口を開く。


「さて、これから神殿内に突入し、悪魔を打ち取るわけですが、皆さんの役目は悪魔を弱らせることです」


 オリヴィアの言葉に新規の冒険者の魔術師から声があがる。


「俺たちが斃すのではないのか?」

「はい、それをされてしまうと私が受け継いだ呪いが解けないので、とどめは私に譲ってもらいます」


 オリヴィアの話では、呪いを受け継いだものが悪魔を斃さない限り呪いは消えないという話だった。


(ん?そんな呪い聞いた事もない…)

(ほかに何かしら目的があるんじゃないかしら…)


 オリヴィアの説明にジェドもシアも何か引っかかるものがある。呪いを解くために本人が直接、息の根を止めなければならないという呪いを聞いた事がなかったのだ。もちろん、ジェドもシアも呪いについてすべてを知っているわけではないがそれにしても違和感のある話だった。


 ただ、違和感はあるが、オリヴィアから冒険者たちを利用してやろうという感じは一切感じられない。事情をよく知っているはずの『破魔』、アグルスもすべてを話しているわけではないが自分たちに害を与えようという思惑を一切感じることはできなかった。


「わかりました。それでは俺とシアがまず、神殿内に入り罠の有無を確認します。みなさんは安全を確認したら入ってきてください」

「え、しかし…」


 ジェドの言葉にシェイラが言いづらそうにする。そういう役目は通常レンジャーが行うからだ。


「コルマさんには俺たちが罠を見落とした場合を考えて、次に入ってきてもらえますか」


 ジェドの言葉にコルマは頷く。


「罠が待ち伏せの場合には即座に戦闘という流れになる可能性が高いので、俺達が行きます」


 ジェドの言葉に全員が承諾する。ジェドとシアの実力は、ヴェイン達も頷かざるを得ないのだ。


「わかりました。それではジェドさんとシアさんにまずは入ってもらいます」

「「はい」」


 オリヴィアの言葉にほかの者たちも異論をはさむものはいなかった。オリヴィアが突入組の最終意思決定権を持つのだ。また最も危険な任務を引き受けてくれるのだから積極的な反対意見が出るはずもないのだ。


「シア…」

「うん」


 ジェドの言葉にシアは頷くと神殿の扉に【爆発エクスプロージョン】を放つ。


 ドゴォォォォォォ!!!


 シアの【爆発エクスプロージョン】により神殿の扉が粉々に吹き飛び、オリヴィア達は呆然とした表情を浮かべた。


 2017年3月20日にPV10万を突破しました。読んでくれて本当にありがとうございます。

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この作品の本家になります。 無双モノです。 墓守は意外とやることが多い
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