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報告

 ジェドとシアは王都『フェルネル』にあるアインベルク邸にいた。もちろん神殿の調査というよりも事の顛末をアレン達に伝えるためである。


 悪魔ゲオミルを消滅させてから1週間が経っていた。


 アインベルク邸のサロンに通されてから、アレン、フィアーネ、レミア、フィリシアの前で事の顛末をジェドとシアはアレン達に伝えた。


「ふむ…と言う事はその悪魔がレンドール家にどんな呪いをかけたのか…そして、どんな目的があったのかは結局わからないというわけか」


 アレンが難しい顔で言う。


「ああ、残念だがそれを聞き出すことは出来なかった」

「いや、それは問題ないよ。それでレンドール家の御令嬢は?」

「腕の良い呪術師にエリメアに戻ってから呪いの有無を確認したら、何の呪いも掛かってないという事だった」

「それは良かったな」


 オリヴィア嬢に呪いが掛かっていないことがわかり、アレン達もほっと安堵の息を漏らした。


「ところで…」


 レミアがジェドに尋ねる。


「そのオリヴィアさんとヴェインさんは?」


 レミアの言葉にシアが弾んだ声で答える。


「それがね、オリヴィアさんとヴェインさんは好き合ってたんだって」


 シアの言葉に全員が「ほぉ~」という表情を浮かべる。レミアもフィアーネも、フィリシアも年頃の少女である以上、恋の話は大好きなのだ。


「それでそれで」


 フィアーネが嬉しそうな声でシアに尋ねる。レミアもフィリシアも続きを促すような視線でシアを見ている。


「うん、当然ながらレンドール家は伯爵家だし、ヴェインさんは平民出身だから認められないと本人達は思ってたんだって」

「その言い方だと…違ったの?」

「うん、オリヴィアさんのご両親はヴェインさんとの仲を実は認めていたらしいの」

「へぇ~伯爵家なのにその辺の融通は利くのね」

「アレンやフィアーネのような家があるのね」


 レミアの言葉に全員が頷く。


「ヴェインさんもシェイラも元々、レンドール家に引き取られた子どもだったらしい。冒険者になって身を立てて…という事らしい」


 ジェドの言葉にアレン達は事情がおぼろげながら見えてきたらしい。


「つまり、二人は幼馴染みだったわけだな」


 アレンの言葉にジェドとシアは頷く。


「ああ、そして今回の悪魔討伐を成し遂げることで仲を許してもらうつもりだったという訳だな」

「なるほど…レンドール家の呪いを解いた立役者とその補佐…周囲の奴等を黙らせる格好のネタだな」


 アレンの言葉に全員が納得の表情を浮かべる。レンドール家にそこまでの多大な貢献をしたものを娘の結婚相手にすることで、身分がどうとかそういうことに拘るうるさい連中を黙らせる事が出来る。


 レンドール家を付け狙う悪魔と自分の恋の成就のどちらがメインなのかはわからないが、オリヴィア嬢にとって望ましい結果になったようだ。


「そっか、中々面白い話を聞かせてもらったな」


 アレンも婚約者達も満足気に微笑む。亡くなった方々も相当数いたという話であったが、少なくともオリヴィア嬢とヴェインがその恋を叶えることが出来たのは喜ばしいことだった。なにも全員が不幸になる必要はないのだ。


「ところで、レンドール家はオリヴィア嬢を本当に生贄に差し出したのか?」


 アレンの言葉にジェドとシアは首を横に振る。


「いや、それはどうやら本当にゲオミルの虚言だったらしい。オリヴィアさんが戻った時に伯爵夫妻と兄妹も泣いて喜んでいた」

「そうか」


 ジェドの言葉にアレン達はもう一つの懸案事項が杞憂であった事を喜んだ。もし、ゲオミルの話が事実であった場合、悪魔とのつながりのため、レンドール家は最悪取りつぶしになっていたかも知れないのだ。


「二人はこれからどうする?」


 アレンの言葉にジェドとシアは考え込む。


「とりあえず、休憩してから次の依頼を見繕うと思う」

「そっか、今回はありがとう二人とも…また依頼をする事があるだろうから、その沖はよろしく頼むな」

「ああ」

「もし遠出するときは連絡をくれると助かる。今後、依頼をする事があると思うからな」

「わかった。それじゃあな」

「ああ、またな」


 ジェドとシアはあいさつをすると席を立つ。するとアレン達も見送りのために席を立とうとするのを押しとどめる。


「いや、見送りなんていいよ」

「そうか、わかった。またな二人とも」

「じゃあな」

「またね」


 アレンが挨拶をすると、フィアーネ達もにっこりと微笑む。その挨拶を受けてジェドとシアも挨拶を返してサロンを退出する。


 サロンを退出してからアレン達は先程の二人の話から気になるところを話し始める。


「ねぇ…ゲオミルという悪魔が侵攻している神…」

「フェル何とか…ですね?」

「アレン…ひょっとして、何か関わりがあるんじゃない?」


 婚約者達の言葉にアレンは頷く。ジェドとシアが神殿調査に出ていた間に国営墓地に関わる重大な秘密を聞いていたのだ。


 その重大な秘密とは『国営墓地には魔神の死体が埋まっている』というものである。魔神の死体が瘴気を放ち続けているために、国営墓地にアンデッドが無限に発生するということであった。


 その魔神が活動を始めたのだ。


「あの二人にも協力を頼むことになるな」


 アレンの言葉にフィアーネ達は頷く。魔神という存在の活動に、悪魔達の暗躍…偶然と言うには共通点がありすぎるのだ。しかも、ゲオミルは何らかの魔神を信仰していたという話だ。


「さて…俺達も今よりも強くなる必要があるな…」

「ええ、私とアレンとレミアとフィリシアの4人だけで勝てるとは限らないわね」

「うん…ジェドとシアを入れてもまだ6人…」

「とりあえず…私達が今より強くなりつつ、頼もしい仲間を増やす事…この2点にしぼって用意をする事にしないといけませんね」

「ああ、忙しくなりそうだ」


 アレン達の声に悲壮感も焦燥感もない。ただやるべき事を投げ出さないという決意があるだけだ。


 ジェドとシアがアレン達の魔神との戦いの参加を要請されるのはもう少し経ってからの事である。

 次章投稿は少し時間をいただきます。


 見切り発車で書いた今回の章がまとまらないことの反省です。ちゃんとプロットを練ってから書くことにします。

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この作品の本家になります。 無双モノです。 墓守は意外とやることが多い
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