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決戦⑨

「ドムト、ゲオミル様は俺が助けるから、お前はあの人間達を食い止めてくれ」

「わかった」


 中位悪魔2体がゲオミルを救うために転移したところに、ジェドとヴェインが突っ込んでくるのを見た、中位悪魔が役割分担を咄嗟に行った。


 一体の中位悪魔がジェドとヴェインの前に進み出た所を見ると、こちらの中位悪魔が『ドムト』というらしい。まぁ、ジェドとヴェインにとっては中位悪魔の名前などどうでも良い事だったために、少しでも早く片づけてゲオミルを討ち取るつもりだった。


 ドムトにジェドとヴェインの戦いを任せたもう一体の中位悪魔はゲオミルを押しつぶしている像の首を押しのけてゲオミルを救おうとしている。かなりの質量があるために中位悪魔であっても容易に押しのけることが出来なかったが、なんとか押しのけることに成功し、ゲオミルを救い出すことに成功した。


「ちっ…」


 ジェドはその様子を見て舌打ちする。自分が想定したよりも早くゲオミルが吸湿されたのだ。まぁ、体の半分が押しつぶされているため、これから治癒魔術をかけて治療するのだろうが、完治するにはそれなりの時間がかかるだろう。


「ヴェインさん、あの中位悪魔は放っておきましょう!!!」

「え?」

「構っている暇はありません!!」

「あ、ああ」


 ジェドの言葉に最初ヴェインは驚いたが、あくまでも目的はゲオミルである事と思い、ジェドの意見を採用したのだ。もちろん、ドムトを無視する事で、背後から襲われる可能性が高い、いや、確実にそうなるはずなのだが、ジェドがすでにその辺りの手を打っているように感じたのだ。


 ジェドはドムトの隣をすり抜け、ゲオミルへと急ぐように見える。


「逃がすか!!」


 ドムトは後ろに跳びながら、すり抜けたジェドの後頭部にバックハンドブローを放つ。遠心力のついた一撃は、人間の頭部をスイカのように晴れるさせることも可能だった。


 あくまでも…まともに当たればだ。


 ジェドはすり抜けた瞬間に横に跳び、ドムトのバックハンドブローを躱すと同時に斬撃を放ちドムトの腕を斬り落とした。


「ぎゃああああああ!!!」


 ドムトの絶叫が響き渡ると今度こそジェドはゲオミルの元へ走り出す。ジェドがドムトに聞こえるように「構っている暇はありません」と言ったのは、このための布石であり、ドムトを負傷させるのが目的だったのだ。


 そして、ヴェインが通り抜け様にドムトの延髄を斬り裂く。ドムトはまるで意図のキレた人形のように床に倒れ込んだ。


 もう一体の中位悪魔はドムトがやられた時に、魔人の像をゲオミルからどけた所だ。これから治癒魔術を展開したところで、到底間に合うものではない。


 中位悪魔はゲオミルへ治癒魔術を行わずに、ジェドの眼前に立ちふさがった。


 息も絶え絶えのゲオミルであったが、潰された右半身に残った手で治癒魔術を施す。潰された半身が癒やされゲオミルの顔に生気が蘇り始める。


「ち…」


 ジェドの口から舌打ちが響く。この中位悪魔を短時間で滅ぼすことが次のゲオミルとの一戦を有利にしていくのだ。


 一方でオリヴィア達のもとに下級悪魔達が群がっている。下級悪魔達を冒険者達が必死に応戦している。


 ジェドとヴェインは立ちふさがる中位悪魔に斬りかかる。ここまで来たら押し通るという感じで行くのが最も成功率が高い。


 ジェドの斬撃がうなりをあげ、中位悪魔に迫る。中位悪魔はゲオミルを庇っての戦いになるので、ジェドにしてみれば戦いの流れを掴むのは用意だった。具体的に言えば、中位悪魔を無視して回り込もうとしただけで、中位悪魔はその動きに対処せねばならないのだ。


「ヴェインさん、左に回り込んでください」


 ジェドの言葉にヴェインが頷き左に動こうとするだけで、中位悪魔はそれに対処せねばならないのだ。


(よし…勝てる)


 ジェドはそう思うと、チラリとシアを見る。シアは既に魔術をいつでも放てるような状況になっているのをジェドは察する。


 ジェドはまたも大きく中位悪魔から迂回してゲオミルを襲うふりをすると、中位悪魔はジェドの方に足をすすめる。


 するとシアとゲオミルの間に遮るものがなくなる。その瞬間にシアは【魔槍マジックランス】をゲオミルに向け放つ。凄まじい速度で放たれた【魔槍マジックランス】に気付いた中位悪魔は【魔槍マジックランス】の前に立ちふさがる。


「ぎぃ!!!!」


 中位悪魔の肩を【魔槍マジックランス】が貫いた。

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この作品の本家になります。 無双モノです。 墓守は意外とやることが多い
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