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決戦⑦

 ゲントを睨みつけたヴェインは剣を構えると斬りかかる。右脇腹を斬り裂かれ、双掌打と顎を打たれたゲントが迎え撃つ。


 普通に考えればゲントの傷は決して浅いものではなくヴェインは非常に有利だ。だが、ゲントは中位悪魔だ。人間の常識は本来通用しない相手だ。


 ヴェインは当然、反撃が来る事を想定してゲントに斬りかかる。


 ゲントは右脇腹を庇いながらヴェインと戦わなければならない。ヴェインが狙うのはゲントの膝、指、手首などだ。足を奪えばゲントの機動力を封じることが出来るし、指、手首などを切り落とせば攻撃の手段をかなり削ることができる。


 ヴェインはまず、ゲントの右足を狙い、躱されると次は左足、左腕、右手首と立て続けに斬撃を放つ。ヴェインの斬撃は流麗であり、淀みなくゲントに放たれていく。


 ゲントは斬撃を躱し、魔力で強化した腕で弾きながら、ヴェインの隙を探るがヴェインの隙を見つけることは出来ない。


 そこに下級悪魔達がゲントを救うために参戦してくる。下級悪魔達はヴェインに狙いを定めており他の者への意識が完全に欠落していた。いや、下級悪魔達だけではない、ゲントも『破魔』のもう一人のメンバーから意識が外れていたのだ。


 そのもう一人の『破魔』のメンバーとはもちろんシェイラだ。シェイラはオリヴィアの護衛と言う事でゲントとの対峙はしていない。だが、彼女は魔術師だ。虎視眈々とゲント達を付け狙っていたのだ。


 そして、『破魔』、アグルスに善戦…いや、優勢に戦いをすすめられた事で、シェイラから意識が外れたのだ。


 そして、シェイラが下級悪魔達に【魔矢マジックアロー】を放ったのだ。


 意識外からの【魔矢マジックアロー】に当然下級悪魔達は反応出来ない。ことごとく直撃した。


 シェイラの【魔矢マジックアロー】は、下級悪魔達の顔面を撃ち抜いたり、胸部を貫いたり、腹部を貫いたりと5体の下級悪魔達を瞬く間に討ち果たした。


「な…」


 ゲントは配下の下級悪魔が全滅したことに驚きを隠せない。その一瞬の驚愕がヴェインにとってこれ以上無い好機となった。


 ヴェインの剣が左膝に入り、何の引っかかりを生じること無くゲントの左足を斬り落とした。左足を斬り落とされた縁とは当然床に倒れ込む。


 床に倒れたゲントは自分の置かれた状況を把握すると凄まじい痛みを自覚する。


「ぎゃああああああああああああああぁぁぁぁぁ!!!」


 耳を劈くような絶叫が響き、ゲントが敗れた事を周囲に知らしめる。


 ヴェインは絶叫を発するゲントの口に剣を突き刺す。ゲントの両手が虚空を掴み、やがて力を失うと両腕は床に落ちる。ゲントの氏を確認するとヴェインはゲントの口から剣を引き抜く。


「はぁはぁ…」


 勝利を収めた事で、ヴェインは荒い息を吐き出し、ジェドとデヴォードとの戦いの推移を見ようと視線を移す。


 そこにはジェドがデヴォードの首を刎ね飛ばす瞬間が目に写る。


(あっちも斃したか…)


 ジェドが中位悪魔を一人で斃した事にヴェインは今更驚かない。驚くとすれば、ジェドが『ゴールド』クラスの冒険者である事だ。


 ゲオミルは自分の配下の中位悪魔3体が為す術無くやられた事に対し、あからさまに憤っていた。人間如きにやられた自分の配下に対して悲しみでは無く怒りが支配していたのだ。


「さて…後はお前だけだな」


 ジェドがゲオミルに言い放つ。


「覚悟しろ…」


 ヴェインもまた言い放った。


 ゲオミルは剣や槍を持っていない。と言う事は魔術師である可能性が高く、間合いを詰めることが勝利への近道である事がわかっている。


 ゲオミルはニヤリと嗤う。その顔にジェドや『破魔』はゲオミルに何か手がある事を察する。


 悪魔との戦いは佳境を迎えていた。

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この作品の本家になります。 無双モノです。 墓守は意外とやることが多い
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