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決戦⑥

 ゲントはアグルスから奪った大剣を後ろに投げる。どうやらゲントは剣術の素養は無いらしい。


 5体の下級悪魔達はゲントの背後に控えており、次の行動は読めない。


 だが、この下級悪魔達は必ず動くと言う事をヴェイン達は察している。この段階で下級悪魔が動かないのはゲントが優勢だからであり、情勢が悪くなれば即座に下級悪魔達は参戦してくる事は明らかだったのだ。


 そのため、ヴェイン達は下級悪魔から意識を完全に外すことはしない。


「人間にしては中々やるな…だが…俺には勝てない」


 ゲントはヴェイン達にそう言うと一瞬で間合いを詰め、ヴェインとアグルスに襲いかかる。


 ゲントの右拳をアグルスはさっと横に避け、手にしている小剣でゲントの胴に斬撃を繰り出した。アグルスは小剣に魔力を流し込んで強化しており、ゲントのような中位悪魔であっても問題なくダメージを与える事が出来るだろう。


 ガギィィィ!!


 ゲントはアグルスの小剣を左腕で防ぐ。金属同士を打ち付けたような音が響き。アグルスの攻撃を防いだゲントは次の瞬間に右肘でアグルスの顔面を襲う。


 アグルスは咄嗟に身を翻し、ゲントの肘を躱すが、それはゲントの狙いの一つだった。身を翻した事により一瞬、アグルスの視界からゲントが外れた。いや、正確に言えばゲントの左手に集中した魔力の塊が視界から外れたのだ。


 ドゴォォォォォ!!


 左手から放たれた魔力の塊は凄まじい速度でアグルスの左脇腹に直撃する。


「がはぁ!!」


 痛撃を受けたアグルスは2メートル程の距離を飛ぶと床を転がった。


 ヴェインはアグルスを攻撃した一瞬の硬直を狙い斬撃を繰り出す。


 ドガァァァァ!!


 ゲントは右腕でヴェインの斬撃を防ぐことに成功するが、魔力による強化が間に合わなかったのだろう。ヴェインの剣が4㎝程ゲントの腕にめり込んでいた。傷口から血がしたたり落ち、床を塗らす。


「やってくれたな」


 ゲントの声に怒りの感情が含まれるのをヴェインは感じた。


「ふん!!!」


 ゲントはヴェインの剣がめり込んだ右腕をヴェインの方向に押し出し、ヴェインを吹き飛ばす。一歩分程度の距離を飛び着地したところでゲントが、ヴェインに襲いかかる。


 凄まじい速度で拳、手刀、虎爪、掌打、肘が連続で放たれる。ヴェインはそれを躱し続け反撃の隙をうかがう。ヴェインとゲントが戦っている間にフォーラがアグルスの元に向かい治癒魔術を施す。


 コルマは治療の間、フォーラの護衛に当たる。


 そしてロッドもヴェインとゲントの戦いに参加する。目まぐるしく攻守が交代するヴェインとゲントの戦いに入り込むのはかなりの勇気がいるのだが、ロッドには何の躊躇いも無い。


 ゲントが拳を振りかぶった瞬間に、ロッドは殺気を放つ。ゲントはロッドの殺気に一瞬だがそちらに意識を奪われる。


(ロッド…さすが)


 一瞬だけ意識が逸れたゲントの首にヴェインは斬撃を放つ。


「くっ…」


 ゲントはかろうじて躱すが体勢が崩れてしまう。ロッドはその隙を見逃すことなく、ゲントの懐に潜り込むと双掌打と呼ばれる打撃をゲントの腹に放った。


 ドゴッ!!


 体をぶつけてくるような衝撃にゲントの体は浮く。ロッドはまたも間合いを詰め、懐に潜り込み双掌打をそのままゲントの顎に放つ。もちろん、ロッドは双掌打を魔力で強化しておりゲントはまったく無傷というわけにはいかない。


 そして、顎への双掌打はゲントの脳を揺らし、ゲントの膝が折れる。そこにヴェインがロッドの横から斬撃を放ちゲントの右脇腹を斬り裂いた。


「くそがぁ!!」


 ロッドの双掌打とヴェインの斬撃によりゲントは負傷したが、致命傷には至っていない。


 ゲントは中段蹴りをロッドに放つ。ロッドはその中段蹴りを魔力を込めた腕と受け流しの技術でやり過ごそうとしたのだが、ゲントの中段蹴りの速度が速く。受け流すことが出来なかった。


 腕での防御はしたのだが、ゲントの中段蹴りをまともに受けたロッドは吹き飛び、ヴェインに激突する。


「ぐぅ…」

「くそ…」


 ロッドの口から苦痛のうめき、ヴェインの口からは悔しさを滲ませた声が発せられる。どうやら、防御したロッドの腕の骨が折れたらしい。


 ヴェインはすぐさま立ち上がりゲントを睨みつける。


 『破魔』、アグルスとゲントの戦いは激しさを増していた。

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この作品の本家になります。 無双モノです。 墓守は意外とやることが多い
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