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決戦④

「がぁぁぁぁぁぁ!!」


 右腕を斬り落とされたデヴォードの口から苦痛の声が発せられる。ジェドは容赦なくデヴォードの首に向け斬撃を繰り出した。デヴォードは後ろに跳ぶとジェドの間合いから逃れることになんとか成功する。


 先程、部下に対して不当な扱いをし、デヴォードに「命を何だと思ってるんだ」と責め立てたのに、自分が下級悪魔を平気で再び盾にした事に対してデヴォード達が非難の目を向ける。


「う~ん、ここまで上手くいくとは思わなかったな」


 呆れた様なジェドの声に全員が止まる。


「何?」


 デヴォードは苦痛に呻きながら憎々しげな声をジェドに投げ掛ける。


「ああ、俺が本気でお前が下級悪魔ごと俺を攻撃した事について怒ったとでも思っているのか?」

「…」

「演技に決まってるだろう。最初に下級悪魔を盾にした段階で、俺がお前らの命を重視していない事なんぞ丸わかりだろう。その後に怒った演技をしたら、勝手に道化のお前らは無様に踊ってくれた」

「な…」

「もう一度、盾として使えば、お前はアホだから下級悪魔ごと攻撃してくると思ったんだよ。と言う事はさっきと同じように下級悪魔ごと貫いて攻撃するはずだ。来る場所がわかってるんだからそこを攻撃すれば腕ぐらい斬り落とせるかもと思ったんだ」


 ジェドの言葉にデヴォードは何も答えない。だが、その表情は怒りに満ちている。まんまとジェドの誘いに乗ってしまった事への怒りだ。ジェドが再び下級悪魔を盾にしたとき、調子に乗って貫いた事の代償が右腕を斬り落とされるという事だった。


「さて…下級悪魔はあと4体だな…」


 ジェドがジロリと下級悪魔達を睨みつける。その視線を受けた下級悪魔達はすくみ上がった。ただ殺されるだけでなく、どのような形で利用するつもりか考えると平静ではいられなくなったのだ。


 ジェドは下級悪魔達が不安気に顔を見合わせた瞬間に動き出し、近くの下級悪魔の首を刎ねる。刎ね飛ばされた首が地面に落ちるまでにジェドはもう一体の下級悪魔の心臓に剣を突き刺す。


 心臓を貫かれた下級悪魔は何かを掴むような手の動きをした後で力を無くしダラリとぶら下がった。ジェドは剣を抜くとそのまま下級悪魔は倒れ込む。


「くそ……がぁ!!!!!」


 デヴォードは立ち上がると左腕でジェドに殴りかかる。だが、速度も威力も先程までに比べて圧倒的に落ちる。


 これは苦痛によるものばかりではない。片腕を失ったことにより、体のバランスが崩れてしまい思い通りの打撃を放つ事が出来なくなったのだ。


(決まりだな…)


 ジェドは余裕の表情でデヴォードの攻撃を躱すと、胴を薙ぐ。ジェドの剣はデヴォードの腹を斬り裂いた。


「がぁ…」


 腹を割かれたデヴォードは膝をつき蹲る。


「まったく…本当にお前は弱いな…。弱いくせに相手を舐めて掛かるとは正気の沙汰とはとても思えんな」


 ジェドの冷たい言葉がデヴォードに投げ掛けられ、デヴォードが顔を上げたとき、ジェドの剣がデヴォードの首筋に放たれ、デヴォードの首はゴトリと床に落ちる。


 首を落とされたデヴォードの体はゆっくりと横に倒れ、傷口から血が噴き出し床を塗らした。


「よし、では後はこいつらだな」


 ジェドの冷たい声が発せられると同時に残りの下級悪魔達を斬り伏せる。


 下級悪魔達は抵抗した。だが、ジェドの剣の前に為す術無く斬り伏せられ、3分程で下級悪魔達も屍をさらす事になった。


 ジェド対デヴォードの戦いはジェドに軍配が上がったのだった。

 

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この作品の本家になります。 無双モノです。 墓守は意外とやることが多い
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