■ 冷たさに残るヌクモリ ■
悲しむ程遠く 流れる程熱く 揺れる程戸惑う
嘆く程痛み 痛む程冷たく 思う程それは去って行く・・
抱え切れない程の花束は 赤黒い死んだ薔薇の花
赤黒い血は一滴・・一滴・・と落ちて
やがて真っ黒な薔薇に変わって行く
死に人は何も祈らず 何も願わず 何も思い出せず 花を添えて行く
冷たい箱に敷き詰められた薔薇は
やがて眠る人すらも真っ黒く埋め尽くして行く
どこに横たわっているのかも分からない程に・・
悲しいと 切ないと 嘆き悲しんでいたのに
誰も救えない 誰も気付かない 誰も見ようとしていない
赤い目でどこを見つめても どこを見渡しても・・
景色は全て歪んでくすんで行く
祈っても 願っても 叶わない事ばかりで
いつか無表情になった心は屍の様に彷徨い続ける
心を失くした死に人は 温度も無くなった
それでも頬を伝う涙だけは・・温かさを忘れない
忘れたいんじゃなく
忘れたくない・・忘れられない・・と・・
誰かがホラ・・また呟いた。