白雪姫の母⑤
ユリは極力、マサシの本妻の子供………ユウマと自分の子供タクマが一緒になる様にした。
同じ、保育園・小学校・中学校……
マサシに気付かれないかユリは不安になったが、不思議と気がつかれる事は無かった。
優秀なタクマは何処にいても注目されていた。
タクマが注目される度にユリの鼻は高かった。
タクマが中学三年生になり
、ユリの命令でレベルの高い高校と、もう一つ違う高校を受験させた。
担任からはレベルの高い高校一本で集中するべきでは?っと言われたがユリは聞く耳を持たなかった。
タクマはユリの言う通り2校受験した。
結果はユリの予想通り2校とも合格。
ユリはタクマの合格祝いをする為、奮発してフレンチをご馳走していた。
「タクマ。よく頑張ったわね」
「ありがとう。お母さん。本命は少し緊張したけどね」
少し照れながらタクマは答えた。
控え目な性格もBDの時に注文していた。
何でも出来る人間は控え目の方が印象が良いからだ。
「そう……もう一つの滑り止めで受けた高校はお断りしなくっちゃね」
「そうだね」
手際よくサラダを食べるタクマ。
ユリはタクマに怪しまれ無い様に然り気無く話題を変えた。
「…そう言えば……その高校ユウマ君も受験していたみたいね………」
「ユウマ?……あぁ。保育園から一緒だった子だね。確か不合格だったよ。一生懸命、勉強していたのに………残念だね」
「そう………残念ね…」
ユリは一口ワインを飲むとタクマに気付かれない様に笑みを浮かべた。
「(勝った……あの女に勝った………!!)」
ユリは知っていた。
タクマの滑り止めで受けた高校がユウマの本命だった事を調べていたのだ。
ユリは嬉しくて仕方なかった。
自分を捨てたマサシの家族の遥か上の立場に居ること。
自分を捨てた女の子供が本妻より比べ物にならない位、優秀なことに。
容姿も。頭脳も。何もかも。
しかしユリの心は一瞬しか満たされなかった。