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野茨の血族  作者: 髙津 央
第二章.王都

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30/93

30.呪い☆

 開放政策の反対派は、王女の一人娘が魔力を持たないことを知ると、勢いを増した。

 それが広く王都に住む民の知るところとなると、更に数が膨れ上がり、政府はその不満と不安を抑えきれなくなった。


 国王は(つい)に、鎖国に戻すことを宣言し、事態の収拾を(はか)った。

 三つ首山羊の王女は離婚させられ、再び日之本帝国に渡ることも許されなかった。

 検査を受けにきた一人娘は、たった一人で、父が待つ日之本帝国の家へ帰された。


 反対派の中でも特に強硬な一派は、王女の一人娘を亡き者にせよと主張した。

 流石に、罪もない少女の命を奪う案に、同意は得られなかった。

 代わりに、子が産まれなくなる呪いを掛け、魔力を持たない野茨の血族は、この子一代限りとして見守ることになった。



 「えっ……でも、僕ら……」

 「えぇ。お生まれになっていらっしゃいますね」



 一人娘は、呪いの件を知らされずに帰国した。

 成人後、日之本人の男性と結婚し、一男一女を儲け、三人目を懐妊中に亡くなった。


 この兄妹も検査の結果、魔力を持たないことがわかった。

 二人を更に詳しく調べたところ、魔力を持つ子が生まれない状態であることが判明した。


 担当者が娘を不憫(ふびん)に思った為か、曲がりなりにも王家の血族を呪う事を躊躇(ちゅうちょ)した為か、術の効きが甘かったらしい。


 霊視力を持つ兄は、結婚したものの、なかなか子宝に恵まれず、不妊治療の末に三つ子の男子を授かった。

 八年後、妻は妊娠中に交通事故で亡くなり、兄自身もその二年後に航空機事故で命を失った。

 半視力(はんしりょく)の妹は、魔力を持たない娘を三人、無事に出産し、いずれも健在だ。


 挿絵(By みてみん)


 「はんしりょく……?」

 「通常は、物質と霊質の両方が見えます。霊質が視えない目を【半視力(はんしりょく)】と呼び、魔法文明圏では保護の対象となります」


 「科学文明の国では、半視力(はんしりょく)の人が多数派だから、視えないのが普通だけど、魔法の国では、視えないと色々困るからね」

 「僕、幽霊とか視えたことないんですけど……」

 政晶は恐る恐る申告した。


 魔法使い二人は、当然のように頷いた。

 「君のお父さんも半視力(はんしりょく)だからね。きっとそうだと思ってたよ」

 「ご安心下さい。一時的に視力を付与(ふよ)する術がございますので、ご滞在中、差し(さわ)りありませんよう、手配致します」

 政晶(まさあき)は少し安心して窓の外を見た。

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地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』

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野茨の環シリーズ 設定資料
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