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野茨の血族  作者: 髙津 央
第二章.王都

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27.馬車☆

 挿絵(By みてみん)


 エレベーターが上昇するような一瞬の浮遊感の後、叔父に声を掛けられた。

 目を開けると、何もない石壁の部屋だった。


 大使に促され、皆の後について外に出る。

 政晶(まさあき)は、眩しさに目を細めた。

 (まぶた)越しに真夏の日差しが感じられ、熱風が頬を撫でる。

 ゆっくりと目を開く。


 一気に眠気が消し飛んだ。

 空気は澄み渡り、雲ひとつない蒼天の彼方に山脈が連なる。

 平野の上に森の陰が落ちていた。


 遠くに村らしき家の集まりが点々と見え、畑が広がっている。植わっているのは、政晶が見た事のない種類の葉物野菜だ。


 畑を貫いて石畳の道があり、麦わら帽子やとんがり帽子を被った人々が、徒歩や馬車で行き交う。

 人々の行く先を目で追うと、巨大な城壁に囲まれた街があった。


 政晶は長袖の衣服が汗で貼り付き、貫頭衣(チュニック)だけでも脱ぎたかった。

 政晶よりも厚着の叔父と双羽(ふたば)は、全く汗をかいておらず、涼しい顔をしている。道行く人々も同様だ。


 「結界がございますので、王都の中は魔法で移動できないのですよ。馬車をご用意致しておりますので、こちらへ」


 大使の声に横を見ると、道の脇に三頭立ての馬車が停まっていた。

 騎士と馬が馬車の傍らに控えている。男女各三人で、いずれも双羽(ふたば)隊長と似た服装だ。

 何故か腰の剣には刀身がなく、(つか)(つば)だけを帯びている。胸には(ワシ)徽章(きしょう)が輝いていた。


 馬車には、王家の紋章と黒山羊が描かれていた。王子殿下の専用車だ。

 御者が恭しく(こうべ)を垂れ、扉を開ける。

 外交官は政晶を乗せると最後に自分も乗り、扉を閉めた。

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地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』

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野茨の環シリーズ 設定資料
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