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甲高い音が耳をつんざく。
それがグラスのわれた音だと気付いたとき、薄暗い店内が目に飛び込んできた。
「そうだ…。俺…酔って、眠くなって…」
記憶がおぼろ気ながらよみがえる。
小熊から酒を進められるままに、次々とグラスを空けていったのだ。そのうち慣れないアルコールで酔いがまわり、潰れてしまった。
カウンターに並ぶ何杯もの空きグラスを、ぼんやりとする頭で眺める。
しかし悠長に考えている場合ではなかったのだ。
「なにすんだよ…!!」
小熊の怒声が響き、俺はびくりと体を震わせる。驚きのあまり少し目が覚めたようだ。
何事が起きているのかと、イスごと後方へと向きを変える。
そこで小熊の襟首を掴みあげる結城を見つけ、瞠目した。
「お前こそなにしてんだよ!深谷を酒に酔わせて、どういうつもりだ…!」
結城は彼らしくもなく、眉を吊りあげ小熊をきつく睨みつけている。
甘い顔が台無しだ。
豹変した結城を、同じテーブルにいた女の子たちも呆気に取られたようにして見ていた。
(というか…、俺を酒に酔わせて…て、どういうことだ…?)
依然アルコールが残っているためか、うまく頭がまわらない。芯がぼんやりとし、目眩に似た酩酊感がただよっているのだ。




