12
俺はうつむきながら、続く言葉を待つ。
酔っていたのがウソのように、全身が冷たくなっていた。
「だから…、俺を簡単に無視できるのかと思ってた…」
結城はそこまで言うと、突然俺を抱きしめた。
「ちょっ…と、結城…!」
「恵多…、覚えてる…?」
耳元で結城の落ちついた声音が、俺に問いかける。
「俺たちが触れあったの…、去年の俺の誕生日以来だ…」
「……」
「ちゃんと話したのもそう…。恵多がほかのやつと楽しそうにしてるの、見ててイヤだった…」
「結城…?」
話しの流れがよめない。
俺は、結城から見放されるんじゃないのか…?
「恵多…ごめん…。謝るから、もう一度やり直そう?」
しかし結城から復縁を迫られた途端、目の前が真っ暗になった。
「ふざけんな…!!そんな謝罪一つで、済むとでも思ってんのかよ…!」
「…恵多」
「俺が…俺が、どれだけつらかったと思ってんだ…!」
彼の裏切りを知ったときの、絶望を思い出す。
あのとき止まらなかった涙が、また眼球の奥へと押し寄せていた。
「浮気なんて…、許せるわけないだろ…!」
最後通告のつもりで叫んだ。
はずだった。
「え?恵多、なに言ってるの?」
しかし返ってきたのは真の抜けた台詞で、体をべりりと引きはがされる。
結城が、俺の顔をのぞきこんだ。
「ねえ恵多…?浮気ってなんのこと…?」
「とぼけんのかよ…!!」
頭にきた。
自宅に女を招いておいて、とぼけるつもりなのか。




