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さかゆめ
私の眼の前には、すっかり変わってしまった友人がいた。
彼女が悩んで、苦しんでいたことは知っていた。
今彼女は、泣きながら走っている。
やがて、小刻みに息をしつつ、苦しそうに立ち止まる。
彼女の悩みは、私にはどうしようもないものだった。
「夢をみたの・・・
山盛りのナポリタンだった。
食べると・・・食べただけ…む、胸が大きくなっていったの。
止められなかった。
苦しかった。
夢だとわかっていたのに、夢でしかありえないことなのに、食べれば食べただけ胸が大きくなっていった。
夢なのに喉が、息が苦しくて…それでも必死に呑み込もうとして・・・
だって胸が大きくなるんだよ。」
「でも、夢でしょ!?」
「わかってたの!
わかってはいたのよ・・・
でも、初夢だったし・・・正夢だと思ったのよっ!」
「それで・・・それ?」
彼女は、うつむきながら、それでも走りだした。
私は、見る影もなく太ってしまった彼女の後ろを走りだした。
「でもさ、太った割に胸育ってないよね。」
「いーわーなーいーでー!?」