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二択の先

作者: すねじい


 ある日、私は芸能界にスカウトされてしまいました。


 家に帰ると、ある芸能事務所のマネージャーだと名乗る男性が両親と話をしていて、街で見かけたという私を、うちの事務所に入って欲しいと言ってきたのです。両親含め私も、これまで芸能界に興味など全くなく、ましてや自分なんかが成功するわけがないと断りました。


 するとマネージャーの男性は興奮し、私を100年に1人の逸材だと言うのです。入らなければもったいない、芸能界に入ればいくらでも稼げると。そして1000万円の契約金を払うと言ってきました。


 これにはさすがに目がくらみ、すぐに返事ができなくなってしまいました。両親に目を向けると、最後は自分で決めなさい、と私に結論を委ねました。


 私はしばらくの間どうしようか悩んでしまいました。そして30分近く経っても結論が出ない私に、男性は財布の中から1枚の名刺を取り出しました。


 「今日は突然すみませんでした。もし気が向いたら連絡を下さい。こちらはいつでも待っています。あなたほどの人間が芸能界に入らないなんて、あまりにももったいないと思います」


 そう言い終わると、名刺を両手で丁寧に渡してきました。そして最後に深く頭を下げると、”杉内”と名乗ったマネージャーの方は帰って行きました。名刺には私でも聞いた事のある、大手事務所の名前が書いてありました。


 この日から、大きな決断を迫られる事になりました。私は来年に大学受験を控えています。そして1週間考え抜いて私が出した結論は、 


 1.芸能界に入る

 2.芸能界に入らない


 やっぱり私なんかが成功するわけないと、結局2を選んだ私は、その後周りの人と同じように大学へ行き、就職して、職場で出会った人と結婚をし、今では2人の子供に恵まれ、幸せに暮らしています。


 しかし、時折この時の事を思い出すのです。もしあの時芸能界に入っていたらどうなっていただろうか?と。もしかしたら杉内の言うように成功して、また違った人生を歩めたのかもしれないな、と。


 もはやそれを知る術はありませんが、私の決断は間違ってなかったと思うのです。人生は一度きりなので、わざわざリスクのある選択をして、後戻りできなくならなくて良かったな、と心から思います。



 私はさんざん迷った挙句、1に決めました。人生は一度きりなので、悔いのないように生きようと思って出した結論です。


 私は金曜日の夜、その旨を伝えるため杉内に電話を掛けました。すぐに電話に出た杉内は、私の声を聞くなり、


 「待ってましたよ!やっと決断してくれたのですね。あなたは未来の大スターになる存在なんですから良かったです。早速明日、名刺に書いてある事務所に来て頂けませんか?よろしくお願いします」


 とうれしそうな声で言いました。


 翌朝10時。杉内に言われた通り事務所に行きました。港区にあり、立派な造りのビルです。受付の女性に話をすると、既に私の事は聞いていたらしく、どうぞと言いながら通行証をくれました。


 通行証で入り口を抜け、エレベーターで10階にある社長室へ向かいました。そのエレベーター内、テレビで良く見る女性モデルと一緒になり、一瞬夢ではないかと錯覚してしまいました。


 興奮と緊張が入り混じった気持ちで社長室に入ると、杉内と社長と思われる小太りの中年男性が座って待っていました。


 「社長この子ですよ。どうです?将来楽しみでしょう?」


 杉内が笑顔で社長に話しています。社長は私をジッと見た後、


 「確かに素晴らしいオーラを持ってるな。キミは将来うちの事務所の誰よりも売れるようになるよ」


 そう言ってニコっと笑いました。


 その後は契約書にサインをして、今後の日程、私の売り出し方などを話し合ってから帰りました。


 この日から、私の芸能人としての新たな人生が始まりました。帰宅して両親に報告すると、複雑な顔を見せながらも祝福してくれました。


 友達にも報告しました。皆笑顔で、私の新しい門出を応援してくれました。


 また1ヶ月後には、約束通り1000万円という大金が両親の口座に振り込まれていました。


 全てが順風満帆で、私はこれからの人生が楽しみで仕方ないくらい充実していました。


 しかしその1年後、事務所の社長吉田に呼ばれた私は、またもや大きな決断を迫られる事になります。


 吉田は険しい顔と口調で、私に聞いてきました。


 「キミはどんな手を使ってでも成功したいと思うか?それが例えこれまでの自分を失う事になっても、上に行きたいと思うかね?」


 私は吉田の言葉の意味をすぐに理解しました。私の今の現状は、最初期待されていたものとは大幅に違い、吉田や杉内の期待を大きく下回るものでした。


 何をやっても結果が出せず、今や事務所のお荷物となっていました。月の給料は出ればいい方で、出ても1万を超えれば上出来といった感じです。


 私を絶賛してくれた吉田や杉内と、世間の方の目は大きく違っていたようです。俯く私に吉田が続けます。


 「もしこの世界で活躍したいなら……整形してもらうしかない。費用はうちで出す。目、鼻、顎、整形後は全く違う顔になっているだろう。しかし活躍は保証する。会社全体でキミの活躍を後押しするよ」


 ”成功”という言葉から、”活躍”という言葉に変わっていた事が、既に私に対する期待がなくなっている事を物語っていました。


 しかし、1年前にこの世界で生きると決めてから、大学受験を辞めて、他の事は何1つやってこなかった私です。今さら何かできるというのでしょうか?友達は就職や進学しているのに対し、私の今後は全くの白紙です。この世界で生きていくしかないように感じます。


 その日は結論を出す事が出来ず、しばらく時間を頂く事にしました。そして2週間後に吉田の元を訪れました。、


 1.整形する

 2.整形しない


 私が出した結論は2でした。やはり自分を変えてまで、この世界で生きていきたいとは思えませんでした。


 その後、やはり芸能界で活躍できなかった私は、半年後に事務所と契約を解除し、芸能人から一般人へと戻りました。


 そして勉強して、2年前に受験する予定だった大学へと入りました。一緒に入学した人達とは年齢も違うし、最初は戸惑いましたが、しばらくすると気の合う仲間もでき、毎日を楽しく過ごす事が出来ました。


 同級生から2年遅れで就職をし、大学の頃に知り合った人と結婚をして、今では1児の母親として、大変ながらも充実した毎日を送っています。


 あの時、整形するを選ばなくて本当に良かったなと思います。



 私が出した結論は1でした。2週間悩みに悩み抜きましたが、今さら後戻りできないと思い、何としてでも成功したかったのです。


 その旨を吉田に伝えると、


 「そうか。じゃあ早速杉内と一緒にここへ行ってくれ。うちの人間を手術してくれている整形外科だ」


 と何ともあっさりと言われました。


 その後、言われた通り会社ご用達の整形外科へ行き、そこの先生と杉内と共に入念な打ち合わせをしました。そして2週間後に手術を行うと告げられ、その日は帰宅となりました。本当にこれで良かったのか、と自問自答しながら帰り道を歩きました。両親に整形する事を伝えると、父は俯き、母は涙を流していました。しかし私にはもはやこれしか道はないのです。


 2週間後


 同意書にサインをして、いよいよ手術を受ける時間がやってきました。手術台に乗せられて、顔に布を置かれ、麻酔をされた後、私の顔に次々とメスが入っていきます。


 私は手術の間、自分の人生を振り返っていました。家族、友達、知り合いは整形した私を見て何と思うでしょうか?否定する人もいると思います。中には離れていく人もいるかでしょう。しかし、私にはもうこうするしかないのです。この世界で生きていくためには、こうするしかなかったのです。


 手術を終えてから1ヶ月の時間が経ちました。洗面台の鏡を見てみると、そこには自分ではない誰かが映っていました。


 目はパッチリと二重になり、鼻はクッキリと高く、顎はスッキリとなった私は、もはや今までの私の面影を残していませんでした。


 私は鏡の前の自分に酔いしれました。そして確信したのです。


 今の私ならいけると


 全くの別人に生まれ変わった私は、これまでの人生にお別れを告げ、これから始まる新たなる人生に、期待を寄せました。


 整形して生まれ変わった私は、会社の後押しもあり、1年も経つ頃にはそれなりの活躍のできる芸能人へと変わっていました。


 ファンの方も増え、大きなイベントにも呼ばれるようになり、一般のサラリーマン以上の給料を貰えるようにもなりました。


 そして更に1年後


 吉田に呼ばれた私は、更にうれしい報告を聞く事になるのです。


 「売れるために整形もして、今まで良く頑張ってきたな。そんなお前に大きなチャンスが巡ってきたぞ。来月収録のバラエティ番組への出演が決まったんだ」


 夢にまで見たテレビ出演が決まりました。しかも大物お笑い芸人が司会の人気番組です。私はうれしくなり両親へ報告しました。両親は泣いて喜んでくれました。


 友達にも報告しました。友達は私のために集まってくれて、お祝いパーティを開いてくれました。


 今まで頑張ってきて、自分の顔まで変えてまでやってきて、本当に良かったと思いました。やはり私の選択は間違っていませんでした。


 そして、いよいよ収録のためテレビ局へやってきました。初めて見る生のテレビ局を目の当たりにして、私は緊張して足が震えてしまいました。すると、半年前から私のマネージャーを務めている杉内が、


 「大丈夫だよ。キミの持ってるものを自信持って出せば良いんだから。失敗したら自分と一緒に怒られたら良いだけの話だよ」


 と言って優しい笑顔で微笑んでくれました。緊張がスーッと和らぎ、足の震えが収まりました。


 収録現場では実に大勢の人が収録の準備を行っていました。こんなに多くの方が、たかが1時間の番組のために働いているんだな、と考えると、やっぱりテレビはすごいんだな、と改めて感じました。


 その後、杉内と共に、今日の出演者の方に挨拶に行く事になりました。今日の出演者は全部で10人です。来ている方から順に、楽屋を訪問して挨拶をしていきます。


 そしてある楽屋の前で、私はフーッと大きな深呼吸をして、気合を入れました。


 それはこの楽屋の中に、昔から大ファンだった歌手の方がいるからなのです。滅多にバラエティに出る方ではありませんが、奇跡的にご一緒する事になりました。私は意を決してドアをコンコンと叩きました。


 「どうぞ」


 楽屋の中から、私の憧れの人の声が聞こえてきました。


 「し、失礼します。本日ご一緒させて頂きます。よろしくお願いします。」


 私は緊張でいきなり噛んでしまいました。そんな私に対して、


 「押井です。こちらこそよろしくね。緊張しないで楽しめば大丈夫だよ」


 と優しく言ってくださいました。わざわざ名乗って頂かなくてもあなたの名前はよく知っています、と心の中で思いました。何せ押井さんがデビューしてから7年、ずっとファンだったのですから。


 出演者の方全員に挨拶をしてから1時間後、緊張の中、収録が始まりました。この番組はテーマに対して出演者がエピソードを語っていく定番の作りですが、司会の明石さんの仕切りの上手さ面白さもあって、老若男女問わず大人気の番組です。


 収録開始直後からハイテンションで話す明石さんが、次々と出演者の方に話を振っていき、現場が笑いに包まれていきます。押井さんも貧乏生活時代に味わった恐ろしい体験の話をして、明石さん含め出演者の方の笑いを取っていました。歌っている時とは違い、気さくに自分の話をする。そんな所も押井さんの魅力です。


 番組収録から30分後、ついに私の出番がやってきました。私はこの日のために、エピソードを考えに考え抜き、何百回と話す練習をしてきました。話す練習に付き合ってくれた杉内も、スタジオの端で見守ってくれています。私はこれまで練習してきた事を思い出し、身振り手振りを加えて一生懸命話しました。すると……


 「それ、めっちゃおもろいやんけー!」


 司会の明石さんの声に合わせて会場が大爆笑に包まれました。出演者の方の視線も、一気に私に注目された事がわかりました。


 結局私の出番はこれだけでしたが、番組で1番活躍した人に贈られる、MVP賞を頂く事が出来ました。


 その後、杉内に褒められ、気分よくタクシーに乗って帰ろうとする私に、押井さんが声を掛けてきてくれました。


 「お疲れ様。待ってたよ。キミ今日面白くて目立ってたね。良かったら番号でも交換しない?」


 それは突然の事で、一瞬心臓がギュッと縮まる感じがしました。7年間、すっと大好きだった歌手の方と、番号を交換するチャンスがやってきたのです。


 1.押井と番号交換する

 2.押井と番号交換しない


 私は興奮する心を抑え、2を選ぶ事に決めました。押井さんは残念だ、と言って帰っていきました。私は押井さんの何十倍も残念だったはずです。本当なら交換したくないわけがなありません。


 しかし、杉内の言葉が脳裏をよぎりました。


 「この世界では一歩道を間違えると、そのまま落ちていってしまう。特に新人のキミは、まだ芸能界の右も左もわからない危うい存在なんだ。下手な行動を起こすと事務所もピンチになりかねない。くれぐれも勝手な行動は慎んでくれ」


 押井さんと仲良くなれる事は夢のような事ですが、それによって事務所や杉内に迷惑が掛かるのなら、と考えたら出来ませんでした。


 その後は定期的にバラエティ番組にも呼んで頂くようになり、私は数年間、この浮き沈みの激しい芸能界で活躍する事が出来ました。


 そして20代後半に入り、私の人気に陰りが見え始めた頃、杉内に呼ばれ、


 「結婚してほしい」


 と告げられました。2年間の交際の末のプロポーズでした。私はうれしくなり、すぐに承諾して、芸能界を引退する事に決めました。


 今では杉内との間にできた元気な男の子と3人で、幸せな生活を送っています。杉内の休みが不安定なため、先の予定が立てられないのが悩み事なくらいです。


 「テレビの需要が低くなってるから、これからの自分達の仕事は大変になりそうだ……」


 最近の杉内は暇があればこの言葉を口にしています。杉内の休み同様、これから不安定な生活になると思いますが、家族3人で仲良く暮らせていけたらうれしいです。



 私は夢のような気持ちで、


 「は、はい。ぜひお願いします」


 と急いで携帯を取り出しました。私は迷う事なく1に決めました。2を選ぶ人がいるわけありませんよね?何せ長年憧れだった人に、番号交換をしよう、と求められているのですから。


 番号とアドレス交換を終えると押井さんは、


 「ありがとう。必ず連絡するからね」


 と言って帰っていきました。


 押井さんの背中を見送ってから、私もタクシーに乗り込み、去年から住み始めたアパートに帰りました。そして着くなりベッドに横たわり、今日1日の夢のような出来事を振り返っていました。


 テレビ出演に始まり、憧れの人との会話、更には番号の交換までする事が出来て、今の私は幸せな気持ちで胸が一杯です。この幸せがいつまでも続くと良いな、と思いながら眠りに付き、目が覚めると昼の12時を回っていました。


 起きてすぐに携帯をチェックすると、2件のメールが入っていました。


 1つは杉内で、昨日の収録内容を称えるものでした。


 『昨日は本当によく頑張ったね。お疲れ様。今日はゆっくり休んで下さい』


 そしてもう1つは。


 『昨日はお疲れ様。早速だけどメールさせて貰いました(笑)キミともっと仲良くなりたいので、良かったら近い内に食事でも一緒にどうですか?』


 またもや私を幸せな気持ちに導く、押井さんからのメールでした。私はすぐに返信をしました。


 『押井さんからメール頂けて本当にうれしいです。ぜひ食事ご一緒させて頂きたいです』


 メールを送ってから30分後、返信がありました。ドキドキしながらメールを開くと、


 『こちらこそ返信もらえてうれしいよ。じゃあ食事一緒に行きましょう。いつなら都合良いかな?ちなみに今日なんかどうですか?(笑)』


 私は食べていたパンを置いて、すぐさま返信しました。


 『はい。今日は休みなので大丈夫です。本当にうれしいです。よろしくお願いします』


 私は1番お気に入りの服装を用意して、待ち合わせの21時に備えました。


 21時


 私は、約束した待ち合わせ場所の焼肉店の前で帽子を被って待っています。ここは芸能人がよくお忍びで使う事で有名な店です。


 待ち合わせから遅れる事5分、押井さんが赤のフェラーリに乗ってやってきました。


 「遅れてごめん。前の収録が押しちゃってさ」


 車を店の前に停めると、押井さんが急いだ様子で降りてきました。


 「全然待っていませんから大丈夫です。それより本当に来て頂けただけでうれしいです」


 私は自分でも言ってるのが不思議なくらいの言葉が、すらすらと出てきました。恐らく今日1日、頭の中で何回もシミュレーションしてきたからでしょう。


 「そんな事言ってもらえるなんてうれしいよ。急いで来た甲斐があったかな。じゃあ早速中に入ろう。1番落ち着ける席を予約してあるんだ」


 押井さんは車のキーを店の人へ預けると、私の手を引き、席へと案内してくれました。

そこは適度な広さの個室で、照明の光加減も絶妙な素敵な部屋でした。店の従業員の方も、ここがどういう目的で使われているか承知しているらしく、押井さんほどの芸能人が来ても何ら意識している様子はありませんでした。ここがお忍びで使われるのも納得です。


 席に着くと、押井さんが高級そうなワインを注文して注いでくれました。


 「じゃあ、キミのテレビ初出演、そして大成功に乾杯」


 2人で乾杯をして、次々に運ばれてくるお肉を口にしていきました。今まで食べた事もないお肉の柔らかさに、思わず下がとろける、なんてありきたりな言葉を口にしてしまいました。押井さんはそんな私を笑顔で見つめてくれていました。


 一通り料理を平らげて談笑していると、押井さんが突然、私が考えてもみなかった言葉を口にしたのです。


 「今日は本当に来てくれてうれしかったよ。実は昨日キミを初めて見た時から気になっていたんだ。楽屋に挨拶に来てくれた時からね。収録本番で更に気になる存在になった。もし良かったらこの後一緒に、もっと仲良くなりに行きたいな」


 長年大好きだった方ですが、さすがにこれには一瞬俯いて考えてしまいます。


 ”もっと仲良くなる”とはつまり……


 私はしばし思考をフル回転で動かして考えた後、押井さんに告げました。


 1.押井の誘いに乗る

 2.押井の誘いに乗らない


 「ごめんなさい……。今日はそんなつもりで来たわけではなかったので……」


 私は悩んだ末、2という決断を下しました。確かに夢のような話でしたが、会ったその日からこんな事を言い出す人は信用できませんし、ましてや杉内や事務所に迷惑をかける事にもなりかねません。


 私なんかに断られた事が気に入らなかったのか、押井さんは無言で会計を済ませて、その後一切私に声を掛ける事なく帰っていきました。


 私はその後食事をご馳走になったお礼のメールを送りましたが、宛先不明で戻ってきてしまいました。


 押井さんとはこれっきり連絡が取れなくなりました。しかしこれで良かったのだと思います。逆に押井さんの本性がこんな人だと分かり、もし誘いに乗っていたら、と考えると怖くなります。


 私は今日の事は良い思い出と教訓にして、また明日から頑張ろう、と決意を固めて家に帰りました。


 1週間後


 吉田に呼ばれて、私は社長室へと向かいました。収録で成功した事もあり、てっきり良い話だとばかり思っていました。


 社長室に入ると、既に吉田と杉内が待っていました。私は失礼しますと声を掛け、2人の向かいのソファに座りました。


 ワクワクしてる私とは対照的に、2人は浮かない表情です。私は2人の顔を覗き込み、

 

 「どうしたんですか?」


 と聞くと、吉田が曇った表情で口を開きました。


 「押井の事務所からお前をNGにしてくれないかと言われた……。すまないが、今後は活躍の幅は少なくなると思ってくれ」


 しばらくの間、言葉が出てきませんでした。私が断った腹いせに、押井は私をNGタレントにしたのです。それどころか幅広い人脈を利用して、私の悪評を至る所に流し、腫れ物扱いにしたのです。


 結局、私はこれ以降、芸能界での居場所が徐々になくなっていき、精神的に病んでしまいました。そして半年後に1人寂しく芸能界を引退したのです。


 今は精神科に通いながら、アルバイトで生計を立てる日々です。あの時最初から断っておけば、と今更ながら後悔しか残りません。



 「はい。私も仲良くなりたいのでぜひ!」


 私は迷った挙句、長年憧れた人の誘いなら、と1を選択しました。それに押井さんと仲良くなれば仕事も増えるかも……という意地汚い考えもありました。


 私の返事に気分を良くした押井さんは、軽快にカードで支払いを済ませた後、私の手を引いてお店を後にしました。そして再び車に乗り込むと、一切の寄り道をせずにホテルへと向かいました。


 7年間憧れ続けた歌手の方と、肉体関係を結ぶ事が出来ました。芸能界に入って本当に良かったです。


 「知り合いのプロデューサーや作家、音楽家に、キミの事良く言っておくからね」


 私をホテルから家まで送る時に押井さんが言っていた言葉です。私は心の中でガッツポーズをしました。これで仕事もたくさん貰えるようになるんじゃないか、と。


 半年後


 押井さんのおかげで業界での評判も良くなった私は、この半年間の間で、色々な番組に出られるようになりました。バラエティはもちろん、音楽番組から情報番組まで、色んな番組に引っ張りだこになったのです。そして来年にはドラマの出演も決まり、私は一躍、時の人と呼ばれる程の存在になれました。


 もちろん押井さんとの関係も続いていて、自宅に招かれるようになるまで親しい間柄になりました。全てが順調に進んでいて怖いくらいでした。


 怖いくらいでした


 「押井が覚せい剤所持の現行犯で逮捕されたそうだ。で、警察の方がお前に事情を聞きたいと言ってきたぞ?押井がお前と親しいと言ってるそうじゃないか!?そんな話は聞いてないぞ!?何故勝手な事をしたんだ!?」


 今日、活動報告のために事務所に訪れた私に、吉田が怒鳴り声を上げてきました。私は事の重大さを理解するのに、しばらく時間が掛かりました。


 杉内に連れられ、警察署に向かうまでも記憶が曖昧です。杉内が執拗に耳元で何か訴えてましたが、頭に入ってきませんでした。


 警察署に着くと、数人の女性警官に連れられて、尿検査をさせられました。この時になると、押井のせいでこんなとばっちりを、と怒りの感情が1番になっていました。


 しかし、尿検査の結果が出ると、怒りから絶望の感情へと変わりました。


 私の体から、覚せい剤の陽性反応が出たのです。


 押井は私との行為の時に、シャブと呼ばれる感度が飛躍的に上がる薬を常用していたのです。しかも、それを知らない間に私の体内にも入れていたらしく、いつの間にか私も薬物常用者の体になっていました……


 私は緊急逮捕され、芸能界を強制的に引退せざるを得なくなりました。私は一瞬にして”時の人”から”犯罪者”と言うレッテルを貼られる事になってしまったのです。


 7年間好きだった歌手は、殺したい人間へと変わりました


 お父さん、お母さんごめんなさい。芸能界なんかに入らなければ、2人を悲しませる事もなかったのに……


 吉田さん、杉内さんごめんなさい。私が押井なんかの誘いに乗らなければ、事務所の評判を落とす事もなかったのに……


 今さら後悔しても遅いですよね……


 私の華やかだった生活は、ここで終わりを迎えました


 3年後、懲役も終えて、薬物の禁断症状も抜けた私は、1から出直すために、美容師の免許を取る事にしました。何歳になっても働き口がある事と、昔から手先が器用だと褒められていたので、これしかない、と思い決めました。


 昼間は免許取得に向けて専門学校へ通い、夜はコンビニのアルバイトで生計を立てる日々を送っています。


 22時、アルバイトを終えた私は、自宅アパートへと帰るため、電車に乗り込みました。この時間になっても、サラリーマンやOLの方で一杯です。皆一様に、疲れ切った表情をしています。


 電車は2駅目へ停まりました。私はこの駅へ停まるといつも、華やかな生活を送っていた3年前を思い出します。


 私が、芸能人として所属していた事務所の最寄り駅です。売れない時代、押井と会う前は、よく電車で通い、この駅から事務所まで歩いたものです。


 私が物思いにふけっていると、ふと見覚えのある顔が目の前に現れました。3年前より派手な見た目になっていますが、その特徴的なパッチリとした目は変わっていませんでした。


 杉内?間違いない。杉内だ


 私は咄嗟にそっぽを向いて、気付かない振りをしました。私が降りる5駅目まで、何とかバレないでくれ、と思いながら反対方向を向いて、ただ俯いていました。


 そして到着するや否や、逃げるように電車を降りて走りました。


 何とか気付かれなかったか、とホッとして改札口を出た瞬間、背中から懐かしい声が聞こえてきました。


 「あの、杉内だよ。覚えてる?」


 「あ、あれ、杉内さん?」


 私は振り向き、さも気付かなかった、というような演技をしました。


 「やっぱり、キミだよね?久し振りだね。元気でやってる?久しぶりに会えたんだし、良かったらちょっとそこで話でもしようよ」


 そう言って杉内は、駅前のファミレスを指差しました。私は断るのも気が引けて、承諾して付いて行く事にしました。


 店内に入ると窓際の喫煙席に座り、飲み物を注文しました。しかし見れば見るほど、杉内は大きく変わっていました。


 3年前は田舎の冴えない若者、といった感じの風貌だったのに、今は悪い意味で都会に染まった、と言った感じになりました。昔は吸わなかったタバコも、慣れた手つきでくわえています。


 「杉内さん。あの……3年前は本当に申し訳ありませんでした」


 私は飲み物が運ばれて来るなり、3年前に犯した過ちを謝罪しました。事の大きさから、どれだけの迷惑が事務所に掛かったかは想像できます。特に私のマネージャーだった杉内は、その後の対応には相当な苦労があった事でしょう。


 もう芸能業界の方とは関わりたくなかったので、出来れば杉内とも他人のふりをしてやり過ごしたかったのですが、社長の吉田と、この杉内には大きな負い目を感じていたため、無視する事が出来ませんでした。


 下げていた頭を私が上げると、杉内は3年前と変わらない笑顔で、


 「もう終わった事だから気にしないで大丈夫だよ」


 と言ってくれました。私は胸につかえていた大きなものが取れたように、スッと楽な気持ちになりました。と、同時にこんな方の期待を裏切って、愚かな行動を取った自分が情けなくなりました。


 20分ほど他愛もない会話をし、お互いの飲み物も終わったので、私は、ではそろそろ、と言って帰る事を促しました。


 すると杉内は、最初に家に来た時と同様、1枚の名刺を取り出しました。そこには、


 ”芸能事務所 アリスト社長 杉内”


 と書いてありました。どうやら杉内は。自分で芸能事務所を立ち上げたようです。


 「実は3年前に当時の事務所を首になってしまったんだよね。それで自分で会社を作ったんだ。あ、キミを恨んでなんかいないよ。むしろいつかは自分で芸能事務所を立ち上げたいと思ってたんだから、むしろ良いきっかけだったかなと思ってるくらいなんだ」


 杉内はニコッと笑い、


 「どうかな?もう一度芸能界でやってみない?また2人で一緒に、華やかな場所を目指して頑張ろう。キミならまたやれるさ。大丈夫!」


 と言ってきました。


 既に30を間近に控えた私が、しかも犯罪歴のある私が、芸能界で活躍できる場所などあるわけがありません。もちろん私は断ろうとしました。


 断ろうと……


 しかし芸能界に未練がないかと言ったら嘘になります。しかも杉内に迷惑を掛けてしまった負い目と、この杉内の誘いなら、という期待感が頭をよぎります。思えば芸能界にいた頃、ずっと支えてくれたのは杉内だったのです。


 私はすぐに決断を下す事が出来ず、初めの時と同じく、また1週間の時間を貰い、アパートへと帰りました。


 私は1週間アルバイトも手に付かないほど悩み抜いた後、杉内に電話を掛けました。


 1.杉内の芸能事務所に入る

 2.杉内の芸能事務所に入らない


 「ごめんなさい。杉内さんには大変な迷惑をお掛けしましたが、今の私は、新しい目標に向けて歩き出しているんです。また芸能界に戻る気などありません」


 私は杉内に申し訳ない気持ちを感じながら、2を選んだ事を告げました。杉内は残念そうな様子でしたが、頑張って、と言ってくれました。


 私は翌日から気持ちを入れ替えて、また美容師免許を取得するために一生懸命頑張りました。


 そして2年後


 美容師免許を取得した私は、今日面接を受けるために電車に乗ってます。これで8社目になりますが、未だ内定が出る気配はありません。


 1つ反応が良かった所があったので期待していたのですが、結果は不採用でした。やはり年齢が30を越えている事と、何と言っても元芸能人の元犯罪者という人間を受け入れるのは、なかなか難しいのだと思います。


 ですが私にはもうこれしかないので、諦めるわけにはいきません。今日こそは良い結果を出して、両親を安心させたいです。



 「杉内さん。私……もう1回頑張ってみます」


 私はもう一度芸能界で活躍したい、杉内のために頑張りたい、という思いから、1を選択しました。


 杉内は大変喜んだ様子で、


 「また、キミと一緒にやれるなんてうれしいよ」


 と言ってくれました。また以前のように成功するというのは非常に難しい事ですが、今度は過ちは犯さない、今度こそ杉内の気持ちを裏切らないようにしよう、と心に決めました。


 それからすぐに専門学校を辞め、杉内の事務所と専属契約を交わしました。予想通り杉内の事務所は、100以上ある芸能事務所の中でも特に小さい部類で、在籍タレントも、私含めて10名にも満たないほどでした。


 私は杉内と共に、毎日のように各方面へ売り込みと言う名の挨拶回りを行いました。そして空いた時間に演技のレッスンをしたり、発声練習をする、といった生活を送るようになりました。


 私を見る業界の方の目はゴミを見るように冷たかったですが、杉内の励ましもあり、何とか、この辛い毎日を耐える事が出来ました。


 この生活を続けて半年ほど経った頃でしょうか。私の元に1つのチャンスが舞い込んできました。


 それは3年前にお世話になった事のある演出家の方から頂いた話で、私を劇団の1人としてミュージカルに出演させてくれるそうです。単なる端役の1人に過ぎませんでしたが、久し振りの表舞台に出れる事が決まり、私は泣いて杉内と喜びを分かち合いました。


 そして何とか結果を残そうと、本番までの5ヵ月間、必死に練習しました。


 本番当日


 出演させてもらうミュージカルの内容は、人間の男性に恋をした人魚が、様々な困難に立ち向かいながらも、最後は人間になり、男性と結ばれるといったストーリーで、私は主人公の人魚をいじめる3人組の人魚の1人といった役でした。


 出演が決まってから、私の元には様々な芸能記者がやってきました。当然、今回の舞台についての質問ではなくて、3年前の私の過ちについての質問ばかりでした。


 質問する記者の顔は、心なしか笑っているようにも見え、とても不快な時間でしたが、全ては今日のため、そして杉内のために、笑顔で耐えてきたのです。


 再び芸能界に戻ってきてから1年、私がまた世間の皆様に認めてもらえる時が近づいてきました。


 14:00 開演


 主演の人魚役の女優が、人間の男性と出会うまでを熱演しています。私の出番はまだまだ先です。舞台の脇で緊張して待ちながら、その女優をただジッと見つめていました。私より5歳も年下の女性に羨望の眼差しを向けていたのです。


 私もあんな風になりたかったな……


 そして開演から45分後、私の出番が近づいてきました。同じ役どころの2人の女優と、最後の打ち合わせをします。私は端役として、与えられた仕事をきっちりこなそう、と気合を入れました。


 杉内も、舞台の端から見守ってくれています。今はお互い端の立場だけど、いつかは中心になれるように。あなたのためにも頑張ります。


 「よし、行きましょう!」


 同じ役どころの中で1番年上の女優の掛け声と共に、舞台に上がりました。


 練習通りにやれば問題はないはず。私は自信を持って、自分の演技を行う事にしました。


 ……よし、いける


 私は久しぶりの表舞台にも関わらず、緊張もなく、予想以上の演技が出来ていました。5ヵ月間の練習の成果がはっきりと出ていたのです。これで私を見る世間の目も変わり、杉内にも恩返しできる……はずだったのです。


 「何であなたがここにいるのよ!?まだあなたを許したわけではないわ!」


 突然、主演の女優が台本にない台詞を言い出しました。いじめられる主人公の人魚役が、何故いじめる役の私にこんな事を言うのでしょうか……?私は訳が分からず、ただただ戸惑う事しかできませんでした。


 その内、私と同じ端役の2人も、私の事を罵倒し始めたのです。


 「何でまた戻ってきたのよ!?」

 「あなたのせいでみんな迷惑してるのよ!」


 おかしい……


 これは明らかに”私自信”に言ってる言葉だ……


 観客席もざわつき始め、状況の異常さに気付いたようです。しかし、スタッフも会場の関係者も誰も、この事態を止める気配がなく、罵倒は続きます。私は過去の負い目もあり、会場の人間全員が敵に思えてきたのです。


 杉内、助けて……


 私はこの場で唯一の味方である杉内に、救いの目を向けました。杉内なら何とかしてくれる……


 そう信じて。


 次の瞬間、私は目を疑う光景を目撃したのです。


 そこには杉内と、3年前に所属していた事務所の社長吉田が、私をニヤニヤとした顔で見ていたのです。


 私は発狂して、その場からを逃げ出してしまいました。


 気付くと、自宅アパートに戻っていて、倒れこむように寝てしまい、目が覚めると夜中の2時になっていました。私は今日の出来事が夢である事を祈りつつ携帯を見ました。


 そこには杉内から留守電が入っていました。せめて今日私が見た杉内の姿は夢であって欲しい、と願い留守電を再生しました。


 「今日は悪かったね。ビックリしただろう

?キミには酷な事をしたと思ってるよ。だけどこれは当然の処罰だと思ってる。まさか3年前の事が、もう許されたとは思ってないよね?あの事件を機に俺は事務所を首になり、社長の吉田は色んな関係者に頭を下げる日々と、多額の損害金を請求されるはめになった。そんな原因を作ったお前が、また芸能界で頑張りたいだと?ふざけた事を言うなよ!」


 私は携帯を落としそうになる左手を、右手で必死に押さえながら話を聞きました。


 「今日の事はキミ以外の人は了承済みでね。主演の女優の子も、キミと同じ役どころの2人にも、そして舞台の関係者全員にも話は通してある。世間には今回のは台本通りで、キミが昔の自分とフラッシュバックして、役と現実の区別がつかずに混乱したみたいだ、と発表したよ。……もちろんそれ相応のお金は必要だったけど、吉田に今回の話を持っていったらすぐに承諾してくれた。それだけ自分も、吉田の恨みも強かったって事だよ」


 私は目から流れ出る大量の涙を拭いながら、最後まで話に耳を傾けました。


 「電車でキミを見かけた時、思わず殴ってやろうかというぐらい、未だに腹が立っていた。でも既に過去の事だし、キミも新しい人生に向けて頑張ってるみたいだったから、どうしようか悩んだよ……。だからキミに一度だけチャンスを与えたんだ。また芸能界に戻らないか?という話にNOと言ったら、もうキミに対する憎しみは忘れて、陰ながら応援しよう。でも万が一キミがYESと言ったら……。残念だよ。できればキミを応援したかったけど、またこの世界に入り込んできたキミは応援できない。舞台の代役は既に用意してある。……キミともこれで終わりだ。さようなら」


 ツーツー


 …………


 私は携帯を床に落とし、その場に泣き崩れました。


 その後の人生は、思い出したくもないほど荒んだものになりました。信じていた杉内に裏切られた私は、やけになりAVに出ないかという話にあっさりと承諾しました。


 話題性もあり、AVの売れ行きは好調でしたが、両親に縁を切られました。


 しばらくはその売れたお金で生活できましたが、心のよりどころをホストなんかで補ってしまったため、あっという間になくなりました。


 お金が尽きたらまたAVに出て、そのお金をホストにつぎ込み、なくなったらまたAVに出るという生活を数年間続け、私の年齢は40を迎えていました。


 そして昨日、ついにAVメーカーの社長から、いつかは来るだろうと思っていた言葉を聞かされました。


 「残念だけどキミの需要はもう終わった。今後キミに出演の話がいく事はないよ。契約も今日限りで切らせてもらう」


 私は静かに受け入れました。わかっていた事でした。これで私の居場所はまたなくなりました。


 帰り道、今後どうしようか悩みながら歩いていると、目の前にどこかで見た事のある顔を目撃しました。あちらは昔から変わっていなかったので、すぐにわかりました。


 高校の時の同級生で仲の良かったのんちゃんが、旦那と2人の娘を連れて歩いていました。2人とも高校生くらいでしょうか。のんちゃんの面影がありますが、のんちゃんよりはっきりした顔立ちをしています。


 私は昔の面影も、芸能界にいた頃の面影もなくなっていたため、のんちゃんは気付く事なく、そのまま歩き去ってしまいました。


 その後ろ姿を複雑な心境で見送りながら、私は誰もいないアパートへと帰りました。


 私も、あんな風になれるチャンスはいくらでもあったはずなのです。どこかで選択を間違えて、一度きりの人生をこんな風にしてしまいました。


 世の中は常に選択を迫られています。その選択を誤ると、私みたいになってしまうので、皆さんもくれぐれも注意して、安易な選択をしないように気を付けてください。


 私は明日、地方の風俗店で面接があるため、そろそろ寝させて頂きます。


 おやすみなさい



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[良い点] 最後のどんでん返しがイイ! [気になる点] エピソードがありがちなパターンすぎるかな [一言] 終わり方がさりげなくて好きです
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