20/21
面倒事回避
「レイッ」
熱くなる目頭を押さえたところで、ユイの切羽詰った呼びかけが聞こえてきた。
「ユイ、ここだ」
顔を上げると、泣きそうな表情で駆け寄ってくるユイの姿が見えた。
「悪ぃ、心配させた」
まだ少し痛む身体を起こし、ユイに手を伸ばす。
「ううん」
伸ばされた俺の手をギュッと握り、ユイは首を横に振った。
「レイなら大丈夫だろうって思ってたから」
そう言うが、握られた手からは、ユイの震えが伝わってきた。
そうか、俺と同じように、大丈夫な筈だと分かってても、無事な姿を実際に見て確かめないと気が済まなかったのだろう。
大丈夫だと、握られた手を、力を籠めて握り返す。それが伝わったのか、ユイの震えは段々と収まった。
「何があったの?」
戦いの跡が残る周りと青龍を見上げ、ユイが尋ねる。
「ああ、そうだーーー」
「ストームさん、確か音が聞こえてきたのはこの辺りの筈です」
説明しようとしたら、カインの声と共に、数人の気配がした。
「取りあえずここを離れよう」
ユイの手を握ったまま、声が聞こえてきたのとは反対側に進む。
魔獣を倒したのは編入生なのだから、俺らはここにいない方がいい。幸いながら、皆気絶してて、誰も俺が来た事に気付いていない筈だから。




