青龍
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『主、ご命令を』
突然頭の中に響いた懐かしい声に、考える前に反射的に言葉が口を出た。
「我が呼びかけに応えよーーー青龍!」
空間が歪み、青い龍が現れた。ドラゴンとは似ても似つかない細長い身体を持ち、頭には鹿のように枝分かれした角が鈍い光を放っている。
「久しぶりだな、青龍。傷はもういいのか?」
「はい、おかげ様で完全に癒えました」
「そうか、それは良かった」
「ですが、主が怪我をされるのはいただけません」
「別に好きでしたわけじゃない」
「それはそうでしょうとも」
頭の角を押し付けられ、体が淡く光りだして痛みが半減した。
「鳳凰ほど治すのは早くないが、しばしのご辛抱を」
「はは、ありがとう」
「何者ダ」
聞こえてきたしわがれた声に、あっ、と思い出す。
青龍の登場で、危うく魔獣を忘れてしまうところだった。
ギラリと目を光らせ、青龍が後ろを振り向く。
「薄汚い獣の分際で、よくも我らが主に傷をつけたな。万死に値する」
低い声に、ああキレてるなぁと苦笑いする。青龍たちは皆過保護な所があるから。
「消エロ」
「危なーーー」
黒い炎を吐き出す魔獣に、咄嗟に声を上げる。
だが青龍は焦った様子も無く、尾でそれを振り払って消滅させた。
「いぃ!?」
「どうかしましたか、主?」
あんまりにもあっさりやってのけるもんだから、驚いて語尾が変に吊り上った。
「い、いや……ナンデモナイ」
久しぶりすぎて忘れてたが、青龍の強さは折り紙つきだ。
魔獣なんかが適う相手じゃない。
そこに思い至って、途端に何とかしようとした自分がバカらしくなった。
「この害虫、いかがいたしましょうか、主」
丁寧に尋ねられ、やけっぱちに「駆除しとけ」と返したら、これまたいとも簡単にやってのけた。
「ナ……ンダトーーーッ」
魔獣の頭と心臓を鋭い爪を持った腕で貫き、捻る。
あれだけ皆が手こずっていた魔獣は、そのまま黒い霧となって消滅した。
あっさり過ぎて泣けてくる。ホント、降りかかる災いが定めの編入生はともかく、珍しく張り切った俺の努力は一体……!!
規格外に強い青龍登場!
あっさり過ぎる。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
後二話で完結しますので、もう暫しのお付き合いを!




