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脇役謳歌中  作者: 百佳
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魔獣




 二日目、俺らは瘴気発生の第三ポイント、かつこのグループが担当する最終ポイントに向かった。

 霊亀の言葉を忘れてはいなかったが、それでも起こるべきことは起こった。

 第三ポイントも昨日の二ヶ所と同じ状況だった。ただ編入生は事前に浄化の魔術が籠めれたカプセルを飲んだため、昨日より顔色はだいぶ良い。

 現場を見て、新しい発見を求めて調査をしていた途中だった。

 『それ』が現れたのは。


「これはこれは。魔導師協会の方と、かの有名なテューア学院の生徒ではありませんか。それに、ほお」


 いかにも陰険そうな男がいきなり現れ、俺らを見回してから卑しい笑みを浮かべた。


「魔王の右腕の保持者もいるとは、今日はついているな。持って帰るお土産が出来た」


 ニヤリ笑う男に、全員絶句した。

 男に対してではない、こんな貧相な男なんてどうでも良い。問題は、その後ろに控える大きな獣についてだ。

 十メートル以上はある高さで、赤い目が爛々と光っている。

 黒い躯には瘴気が纏わり付いているが、『それ』は破壊衝動に突き動かされる様子はなく、悠々と歩いている。


「まさか……魔獣?」

「おお、そうか。見るのは初めてかね?正真正銘の魔獣だよ」


 誰かが漏らした呟きに、男は見せびらかす様に獣ーーー魔獣を紹介する。



 魔獣。魔界からやってきた獣。この世界のどんな獣よりも強い。もっとも厄介なのは、自我を失うことなく瘴気を取り込み、自分の力に変えてしまうことだ。



 背筋を冷たい汗がつたって落ちた。

 さり気なくユイの一歩前に出る。


「馬鹿な、魔獣は決して人に従わない筈だ」


 動揺するあまり、ストームさんの声は震えていた。


「そうですとも。しかし、魔獣は人語を解するため、意思疎通はできる。お互いの利益のために、契約を結ぶ事はそう難しくはないのだよ」

「契約?」

「そうだ。我々に力を貸す代わりに、こちらで瘴気を提供する。言わばギブアンドテイク」

「瘴気を提供?どうやって?」

「簡単だ。瘴気の素がある場所で大量虐殺を行えばいい」

「なっ、まさかあれはお前らの仕業だったのかっ!」

「そうだ。見てきたのか?なかなかの傑作だったろ」


 声を荒げるギルさんに、男は自慢するように頷く。


「傑作だと、ふざけるなっ、命を弄びやがって!!」


 全員が男を睨む中、俺は駄目もとで尋ねる。


「お前らの目的はなんなんだ」

「目的?はっ」


 鼻で笑う男に、やはり教えてくれるわけがないかと諦めたとき。


「世界征服だっ。魔王を復活させ、その力を利用して世界を我々の支配下に置くのだ」


 あっさり喋ってしまった男に、思わず呆れた。


 ---おいおい、言っちゃっていいのかよ。


「そういうのは、普通黙っておくもんじゃないの?」


 やはり呆れたように、ユイが呟いた。

 だがそれを聞いて、男は高笑いをする。

 ペラペラよく喋るのと高笑いをするのは典型的な雑魚の特徴だな。


「ハッハハハ、問題ない。どうせお前ら全員ここで死ぬのだからな」


 言いつつ、ずっと黙って編入生を眺めていた魔獣を振り返った。


「行けっ、魔獣。あいつらを皆殺しにしろ!!」


 声高く命令する男に、しかし魔獣は動かない。


「どうした、さっさとやれ!!」


 それでも動かない魔獣に、男はイラついたように近づこうとした瞬間ーーー


 グシャッ


 いとも簡単に、男が悲鳴を上げる間さえ与えず、魔獣は前足を上げて男を踏み潰した。





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