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脇役謳歌中  作者: 百佳
15/21

夢と現実の狭間



 

 気が付くと、真っ暗なところにいた。


「主様」


 老成した口調で呼ばれて振る向けば、淡い光を放つ亀がいた。

 随分と年を取った事が一目瞭然な外見を持つその亀は、のっそりと動き、一際強い光に包まれた。

 あまりの眩しさにとっさに目を閉じ、再び開いた時には、亀がいた所に十二、三歳くらいの少年が立っていた。


「お久しぶりでございます」


 同様の淡い光を纏う少年が口を開き、先ほどと同じ声が紡がれる。

 外見にそぐわない、落ち着き払った口調で話す少年は、ふと目を緩ませた。


「お元気そうで何よりでございます」

「もう大丈夫なのか、霊亀?」

「はい。主様のおかげで、もう傷は完全に癒えました。彼もそろそろ全癒するでしょう」


 ゆったりした仕草で頷き、少年の姿を取った先ほどの亀ーーー霊亀(れいき)は、右のほうを指し示す。

 視線を向けると、やはり淡い光を纏った一つの半透明な卵のようなものが並んでいた。

 中には影が入っており、呼吸するように僅かに体が上下している。


「おそらく近い内に目覚めると思われます」

「そうか」


 卵に手を伸ばし、表面を撫ぜる。人肌のように温かく、時折脈を打つようにドクドクと振動する。




 彼らは俺が受け継いだ式神たち。青龍と霊亀。

 四年前に起こったとある事件によって、彼らはボロボロに傷ついた。その傷を治すため、俺はほとんどの魔力を使い、彼らの傷を癒すこの卵を作った。

 今でこそ魔力はそれなりしかないが、彼らが全癒すれば、傷を治すために使っている魔力が戻ってくる。それはユイが持つ魔力にも引きを取らないだろう。







「突然お呼びして申し訳ございません」

「何かあったのか?」

「いえ、ただ寝起きに占った結果、凶が出ましたので、気になった次第でございます」


 霊亀は占いが得意で、簡単に運勢の書かれたクジを引くと言うシンプルなものだが、今の所百発百中。吉が出れば良い事が、逆に凶が出れば悪い事が起こる前兆。


「明日、どうかお気を付けなされ」

「ああ。ありがとう、霊亀」

「当然のことでございます」





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