隊長と副隊長
集まって一人ずつ自己紹介をした。
髭面ながらも渋い声を持つ隊長となるギルさん。後ろに控えている神経質そうな若い男が副隊長となるストームさん。
「いいか、瘴気ってのは非常に危険なもんだ。分かっているとは思うけど、くれぐれも注意してくれよ」
集まった俺ら一人一人の顔を見回し、真剣な表情で話すギルさん。
「よし、それでは出発する」
俺らが頷くのを確認すると、満足そうにニヤリと笑い、森の方に足を向けた。
どうやらなかなか豪快な性格のようだ。無駄に長く注意話をしないところには好感を持てる。長ったらしいのは聞く気しないからな。
「これから瘴気が発生した現場を回る。どんな些細な事でもいいから、気付いた事があったら遠慮なく言ってくれよ」
先頭を歩きながら、迷いのない足取りで進むギルさん。
「それがもしかしたら原因判明のきっかけとなるかもしれないからな」
『はい』
二時間ほど歩いた頃、突然ギルさんが足を止めた。
「もう少ししたら瘴気の第一ポイントに着く。あれを渡せ」
ギルさんの指示に頷き、ストームさんはバックから小さなカプセルのような物を取り出して全員に渡した。
「これは?」
真っ先に声を上げたのはケート。
「協会が対瘴気用に開発した薬だ。気休め程度の効果しかないがな」
ガハハ、と笑い飛ばすギルさんを、ストームさんが控えめに窘める。
「そう言わないでください、開発部の皆さんが四苦八苦しながら作った物ですよ」
「大量の実験費をかけた割には大したことないだろうが、三時間ほどしか効果は続かないしな」
「……」
スッパリ言い切るギルさんに、ストームさんは返す言葉が見つからないのか、または同じ意見なのか、何も言わず沈黙した。
「まぁ、とは言ってもないよりはマシだからな。飲んでおくことをお勧めするぞ」
言いつつ、まるでお手本を見せるように、ギルさんはカプセルを口に入れて飲み込んだ。
ストームさんがそれに続き、やや躊躇いながらも、俺らもそれに習った。異物が喉を通る感覚だけで、特に何の味もしない。
「じゃあ行くか。防御壁を纏っておけよ」
全員が防御壁を完成させたのを待ってから、ギルさんは再び歩み出した。




