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眠れない夜に  作者: ミィ
第二章
31/74

15 Burgundy (Ⅰ)

翌日、真理亜がズキズキする頭を抱えて起きたのはもう正午に近い時間だった。


喉が渇くので冷蔵庫から水を出して飲むと、洗面所の鏡を見てぎょっとした。


もう若いとは言えない女の顔がそこにあった。


全てを後回しにしてシャワーを浴びることにした。


化粧落としが雑だったので毛穴に汚れが詰まっている気がする。


洗顔フォームを丁寧に泡立てて顔の隅々まで丹念に洗い、シャワーで流すと生き返ったような気がした。


洗った髪を乾かして一段落するととっくに午後になっていた。



冷凍のデニッシュをトーストし、ハーブティーを淹れて一口飲みながら、メールを確認する。


軽い食事の途中で佐々木から着信があった。


「4日には帰ってくるから待ってろよ」


「お土産に楽しみにまってるね」


「おいおい、俺じゃなく土産を待ってるのか?」


「もちろんよ」


それが冗談だというのがわかっているので、佐々木は笑って電話を切った。


家族旅行にでかけてしまうことを気にしていた佐々木に、

あまり気を遣わないで欲しいと真理亜は思っている。


気軽に出掛けてもらいたかった。



その夜から真理亜は実家に帰ることにしている。


洗濯だけを済ませてノートパソコンを入れたバッグを持つと、真理亜は部屋に鍵をかけて駅に向った。



2泊ほど実家に泊まってアパートに戻り、カレンダー通りに出勤した。


休みを取っている人も多いので、会社もいつもより人が少ない。


想定してる範囲ではあったが、人が少ない分だけ業務は多かった。


たった2日の出勤だがヘタをすれば残業になる。


真理亜はいつもより集中力を要した。


有難いことに社食はいつもどおりやっていて、同僚に誘われて行ってみると空いている。


ランチは社食でとることにし、先日の飲み会で同席だった人たちと近くのテーブルで食べたりもした。


休憩中に飲み物を買いに行っても顔を合わせるので気軽に挨拶を交し合う。


「仁科先輩って思ったより話し易いですね」と言われたのにはびっくりしたが、

同じドリンクを選んだりするとなんとなく親しみが湧くのも真理亜には不思議な気がした。


そういう姿を田所が見かけていたのは真理亜は気がつかなかった。



2日間はあっという間に過ぎた。


「仁科の頭から蒸気がでているようだったぞ」と課長に冷やかされながら、PCの電源を落とした。


周りの雑音を遮断して凄い勢いでデータと格闘していたのだからそう言われても仕方が無い。


お天気が悪く湿度が高いので、私の体温が上がれば湯気もでるでしょうよと

真理亜は課長を軽く睨むだけにして職場を離れた。


明日から4日間連休だ。


一日のんびりしようと真理亜は思った。



自宅に帰って気がついたが、佐々木からメッセージが届いていた。


『明後日、予定通り帰る。そっちに行くよ』


と一行だけのメッセージだ。


男子ってこんなものかな・・・そう思うと可笑しくなって真理亜は一人の部屋でクスクス笑った。






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