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眠れない夜に  作者: ミィ
第二章
14/74

   土曜日(Ⅲ)

とりあえず今日の分があれば、あとはネットで見てからにしようと思い、

真理亜はブラとショーツのお揃いのセットと、少し大人っぽい小さな下着を買った。


ランジェリーショップを出てなんとなく他のショーウィンドウも見ながらぶらぶらと歩いていると、真理亜の携帯が鳴った。



「おはよう」


佐々木からだった。


「あ、おはようございます」


「今、起きた・・・・」


佐々木の声は少しかすれている。


「何時ごろ寝たの?」


「えっと、5時頃かな」


「それなら今頃おはようと言うのは納得できるわね」


「今何してた?」


真理亜の言葉は無視して、佐々木はそう聞いてきた。


「駅ビルにいます」


「少し騒々しいと思ったんだ」


「今から帰るところ」


「買い物?」


「うん、まぁそんなところ」


「そっか」


佐々木はちょっと言葉を切って、


「今夜って言ってたけど、夕方から時間とれないかな?」


「あ、いいですよ?」


「飯、食いに行こう」


「あ・・・」


「都合悪い?」


「いえ、お仕事は大丈夫かなと思って」


「今夜は俺が居なくても大丈夫そうなんだよ」


「はい、じゃ、何時ごろですか?」


「そうだな、夕飯はいつも何時くらい?」


真理亜が答えないでいると、


「ま、いいや。ちょっと遠出するけどいいか?」


と佐々木が言った。


「はい・・・どこに?」


「それは着いてからのお楽しみ!」


「ドレスコードは?」


「ん~、普通でいいよ」


「普通って・・・」


「歩きやすい服装がいいな。ちょうど駅ビルでのんびりウインドーショッピングするような」


そういうと佐々木はクスっと笑った。


「急な変更で悪いが、4時半に迎えに行く」


「ええっ?」


真理亜は思わず時計を見た。


「あと1時間少々じゃないですか」


「あぁ、今からシャワーを浴びるからそのくらいの余裕は欲しい」


「じゃ、すぐに戻らないと・・・」


真理亜が焦ってそういうと、更に佐々木はクスクス笑いながら「じゃ、4時半にな」と言って電話を切った。



大急ぎで駅前からタクシーに乗り、部屋に戻った真理亜は出かける準備をした。


佐々木はシャワーを浴びると言っていたが、真理亜のほうにはそんな余裕はなかった。


なんとかお化粧だけはやり直し、買ったばかりのブラとショーツを身につけ、歩き安いローパンプスにあう服を着る。


小さな化粧ポーチとやはり先ほど買った勝負下着、それに薄い素材のロング丈の部屋着をブランドもののトートバッグに放りこんで仕度は完了した。


女性の下着やインナーはこういうとき良くできてると思う。


軽くて、折りたためば手の平に隠れてしまう嵩だ。


トートバッグも膨らみもせず、気軽に街歩きしてますという見栄えに真理亜は満足した。



4時半ちょうどに佐々木からメッセージが届いた。


『到着した。外に居る』


真理亜は玄関で部屋をぐるりと見渡してからドアの鍵をかけた。


外を見ると、車にもたれている佐々木が見えた。


このボロアパートには恥ずかしくなるくらい不釣合いな男だ。


真理亜は知らず知らず微笑みを浮かべて、アパートの階段を下りた。









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