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眠れない夜に  作者: ミィ
第二章
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   土曜日(Ⅱ)

『明日の夜。お店に行きます』


と、真理亜は佐々木にメールを送ってから化粧落としにとりかかった。


佐々木からはすぐに返事がなかったものの、お風呂から上がると携帯のメッセージランプが点滅している。


『おぅ!待ってる。泊まる用意してこいよ』


という返事だ。


(やっぱりそういうことなのね)


真理亜は先週の夜を思い出した。


佐々木の丁寧な扱いを思い出して思わず赤面する。


久しぶりだったにも係らず、充分な高みまで何度か登りつめることができた。


しばらくこのまま流されてみようと思った。




翌日は晴天とはいかないまでもまずまずのお天気だった。


朝から部屋の掃除と洗濯を済ませ、一通りヨガのポーズを終えるともうお昼近くになった。


簡単に昼食を作って食べ、午後は読みかけの本を手に取る。


ベストセラーの推理小説だが、今日はなかなか集中できない。


真理亜はとうとう本を閉じてクローゼットを開けた。


今夜着ていく服を見繕う。


着替えはどうしようかと考えると、どうしても自分の女子力の低さに唸りたくなった。


とりあえずバッグを引き寄せ財布の中身を確認すると、隣駅まで出掛けることにした。


駅ビルにランジェリーショップがあったはずだ。


そこで気に入ったのがなければデパートもある。


ここしばらく勝負下着の必要はなかったし、まだ当分いらないと思っていたのに


急にこんな展開になって戸惑っているだけだと自分に言い聞かせながら出掛けることにした。



ランジェリーショップは久しぶりだ。


意外に楽しい気分で、薄くて小さな下着を手にとった。


最近はほとんどネットで購入するので、こうやって店頭で見るのも悪くないと思う。


真理亜よりあきらかに若い店員が説明をしながらサイズを出してくれる。


久しぶりなので採寸してから何点かお薦めを試着することにした。


フィッティングルームに入ったところで、真理亜はふと過去の忌まわしい出来事を思い出した。


真理亜を捨てた元カレは時々真理亜と一緒にランジェリーショップに来たがった。


男性と一緒に下着を選ぶという、真理亜に顔から火が噴出すような恥ずかしいことさせて、元カレは楽しんでいたのだ。


わざと店員に聞こえるように「もっと小さいのがいい」だの「Tバックも見たらどうだ」とか言って、恥ずかしがる真理亜の反応を楽しんでいた。



真理亜はぎゅっと目を瞑って、元カレの亡霊を意識から追い出した。


あの頃とは違う。


あいつとは完全に切れた。


今の私は大丈夫。


そう呪文を繰り返して目を開け、用意してもらった下着の試着にとりかかった。





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