あるかもしれない未来の話
処女作ですので、いろいろ未熟なところはご勘弁ください。
ご意見、ご指摘などございましたら、遠慮せずにお願いします。
――過去に滅びた文明の遺産が見つかった――
それは、決して少なくない驚きを現代の人間にもたらした。
XXXX年
ついに人間が老いを克服し、数年がたったときのことだった。
過去に栄え、滅んだ文明の遺産――それも映像の類だという――の発見は、人々を――もちろん私もだが――大いに沸かせた。
発展していたとはいえ過去の技術は高が知れていて、技術者たちは解析にさほど時間を必要としなかった。
そうして解析された映像には、想像を絶するような、過去の文明の、滅びの瞬間が映し出されていた。
天から降り注ぐ幾本もの光の柱、光に飲まれ跡形もなく消失していく建築物、人、おそれおののきながら、光に飲まれまいと、他人を押しのけ逃げ惑う人々。
光はやがて数と密度を増し、都市を覆い尽くし、光が消えた後には何も残っていなかった。
――それはまさしく『滅び』だった――
*
過去の遺産が発見されてからも、人々は普段通りの生活を営んでいた。
その中で私は、日々映像を記録していた。
人工の森、天を突くビル群、道を行きかう人々、過去には夢でしかなかったであろう空を走る自動車。
遺産の影響であろう、何ともいえぬ不安に突き動かされて、そんなものをただ記録していた。
*
きっかけは何だったのか。
いま私は、私たち全人類は、『滅び』によってすべてを失おうとしている。
過去の遺産で見たように、幾本もの光が天から降り注いでくる。
過去の遺産でみたように、建築物が、人が光に飲み込まれ消えていく。
過去の遺産でみたように、人々が逃げ惑う。
それは、過去の遺産の焼き直しであるかのように進んでいく。
すべてが光に飲み込まれようとする中で、恐らく、これまでも、これからも、遺産が発見され、私のように日々を記録する人が出て、そして結局すべてが『滅び』によって消えていくのだろう。
そんなことを考えた。