喫煙者
「ねぇオオワ。あの……、今週の週末なんだけどね」
「気持ち悪っ?!」
「ひどっ、えっ、ひどっ!?」
「いきなり女みたいな口調になるなよ。引くだろ」
「女みたいなも何も僕は……、いいやバカらしい」
「それで、終末がどうしたって? 終末論的なものでも書いたのか? 俺はあの手の話があまり好きではないけどキコが書いたなら読もうじゃないか」
「……オオワ。そういえば君ってタバコ吸ってたっけ」
「うん? まあ三日で一箱開ける程度だけど」
「箱にさ、肺癌のリスクがどうこうって書いてあるじゃないか。あれについてどう思う?」
「何も書かないよりましじゃないのか?」
「僕はね、こんなくそ高い物に割く金なんかあったら趣味に邁進したり友達とカラオケやボウリングに行って遊ぶことに使いましょう。とか書くべきだと思うんだ。そしたら喫煙者は減ると思うよ。健康被害なんていくら訴えても意味がない。最近の若者はある意味自分の体なんてどうでもいいんだからね。財布の中身に比べたら」
「喫煙者を悪みたいに言うなよ……。だいたいあれは喫煙者を減らすためじゃなくて正しいリスクの認識のために書いてるんだろ」
「それもそうか」
「それで、週末がどうしたって?」
「オオワ、君ってもしかして僕が思ってるよりずっと性格悪いかい?」
「何を言ってるかわからないな」