チャレンジ
「あははははっ。なにそれ。命令権まで使って言えたのが結局“仲直り”?! キコ、お前最高だよ!」
「……笑うなよ。ハジメ。これでもなけなしの勇気を振り絞ったんだ」
「いやこれは笑うしかないよ。トランプの時には冗談混じりとはいえ好きって言えたんだろ? なんで付き合ってくれくらい言えないんだよ」
「うるさい。僕だっていま深刻に自己嫌悪感してたところなんだ」
「これを生かしてなんか一本書けよ。文筆業なんてのはたぶん文筆業以外の経験をいかに生かせるかだぜ」
「うーあー。痛いところを突くなよ……」
「うん、あえて言わせてもらうけどキコ。君はいくらなんでも閉鎖的すぎる。つーかそのオオワってやつ、ボクが見たところ別に告白が失敗しても読者では居続けてくれるよ」
「会ってもないのによくそんな無責任なことが言えるよな……」
「いやいや、キコは一見おとなしめの普通の子だけど、関わってみないとわかんない変な魅力があるんだって。ボクが保証するよ」
「ハジメに保証されても説得力に欠ける」
「あっはっはっ。こりゃ手厳しいや」
「それにそれってあれじゃないか? 友達にしとくには楽しい子、みたいな」
「うん。そうだよ」
「切るぞ!」
「あ、ちょっと待って。最後に一つだけ」
「……なんだよ」
「がんばれ。応援してる。幸せになれよ」
「……ありがと」
「あとフラれたらボクの相手──、ちぇっ。切られたか」