男女間
「ヤマトー」
「……」
「ねぇ、ヤマトってば」
「……」
「このイヤホンが悪いのか? それともお前の頭が悪いのか? あ?」
「い、いきなり何すんだよ! 耳ちぎれるかと思ったぞ?!」
「何度も呼んだのにあんたが気づかなかったんだろうが。このバカチン」
「肩叩くとか他にやり方あるだろっ」
「なんかムカついたの!」
「理不尽だ!」
「うるせぇ。で、あんたが授業サボって喫煙所にいるなんて珍しいじゃん? どったの?」
「……」
「例の女の子のとこ、遊びにいかないの?」
「喧嘩中」
「ふぅん。楽しそうだね」
「どこがだよ」
「喧嘩できるなんて楽しいじゃん。うちのとこなんて冷戦だよ。表面上仲良くやってるだけ」
「へぇ」
「というわけで浮気しよーぜ!」
「……いいな」
「冗談に決まってるだろうが。なんか知らんけどさっさと謝ってこい」
「俺、悪くないぜ?」
「男のダメさを女が許す。っていう優越感が嫌いな女なんていないのさ!」
「ははっ。絶妙にずれたアドバイスだな」
「ついでに自分の悪いとこを男に指摘されるとヒステリー起こすから注意してね」
「アカバ、そのデニム似合ってないぜ」
「それはヒステリーじゃなくてガチでへこむ方……」