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第8話 「吠える。終末のドラゴン。」

戦士との戦いからまた日が経ち、桜聖おうせい学園は夏休みに入った。剣道部では毎夏恒例の夏の追い込みが始まる。追い込みでは体力をつけるためや、苦しい中での集中力を身につける連続での打ち込みや掛かり稽古など、苦しいメニューに打ち込む。

「あっちぃ〜!」

第一メニューが終わり、バテバテの沢島照。マネージャーの角田美雪は今日休みで、水を持ってきてくれる人はいない。

「そうじゃん、今日マネージャーいないじゃん! せいじぃ、みずぅ‥。」

掠れた声で飲み物を求める沢島に呆れた顔をした誠司がジャグからコップに水を注ぎ、沢島のに持ってくる。

「おつかれさん。」

誠司から水を受け取り、一気飲みをした沢島は紙コップを潰して

「よっしゃ! 回復! 誠司、次何やる?」

驚いた顔を見せる誠司とキラキラと目を輝かせる沢島。

「お前、回復速いな。僕にも少し休ませろ。」

そんな会話をしていると現顧問の影沼宗介が道場のドアを開けて入ってくる。

「皆さんお疲れ様です!」

それに気づいた誠司たちがそちらを振り返ると、

「影沼先生、こんに‥ちは…?」

道着と剣道具を身につけた影沼先生がいた。

「え? 影沼先生、今日稽古すんの?!」

沢島が少し小馬鹿にするように言う。そう、4段を取得はしていたものの、日々トレーニングを重ねる全国常連の実力校である桜聖では、影沼の実力は下の下であった。しかしどこか自信ありげな感じで影沼は

「えぇ。久々にやろうかなと。舐めないでくださいよ、つい最近5段を取得しましたから!」

道場全体がざわつく。

「すげぇ! 影沼先生!」

「おめでとうございます。」

「凰堂先生がいなくなったからってこの剣道部を弱くするわけにはいきません! 僕もやれることを精一杯やりますよ!」

少し浮かない顔をして、父・武司の言っていたことを思い出す誠司。

(任せたぞ。)

父の言葉が頭をよぎる。

「さぁ、やりましょう!」

「はい!」

元気の良い返事をし、面をつけ、再開の準備をする。

30分ほど稽古をし2回目の休憩に入る剣道部。

「影沼先生強くなりすぎ…。」

30分間、1vs20の稽古を終える、20人を相手した影沼先生はまだ元気であったが、30分ほぼ休みなしの打ち込み稽古を終えた部員はヘロヘロだ。普段はあまりバテない誠司が珍しく今日はバテていた。

(大丈夫かい、誠司。)

流石のフェニルも心配して気に掛ける。

「あぁ、なんとか。」

誠司も紙コップ3杯分のスポドリを飲むと今度は影沼先生が声をかけてくる。

「大丈夫ですか? 凰堂くん。」

「はい、なんとか。」

「これからは『体力』必要ですもんね。」

その言葉に一瞬ハッとする誠司。

「今なんて。」

影沼先生は不思議そうな顔をしながら

「ん? 『体力』が必要になると言っただけですよ? これから戦っていくのですから。」

緊張した空気が続く。

(どうした誠司。)

「まさか、そんなわけ。」

「どうしました? 凰堂くん。」

誠司の中で『影沼先生が失墜の戦士ではないか』と言う考えが頭に浮かんだ。しかし、そんなこと聞けない。

「なんでも、ないです。」

何かに気づいた影沼先生。

「あっ! そっか、まだ言ってなかったか!」

「何を、ですか。」

「全国大会のことです!」

「全国大会?」

「はい! この前、中止になった大会ですが、予定を変更して秋に執り行うことが決まったそうなんです!」

「おぉー!」

と言う声が上がる道場。

「そんな、怪物の騒動はまだ完全に終わったわけではないのに大丈夫なんですか?」

「はい! 連盟で決定したそうなので、参加は自由となるそうですが、様子を見て、再予選などもあるそうです! 出ますよね? 凰堂くん。」

「はい。もちろん。」

拍手が上がる道場。

「じゃあ、もっと練習しないとだな! みんなぁ凰堂パイセン一人でもう一回掛かり稽古したいって!」

沢島が元気よく言う。そこに少し焦った様子の誠司が

「ちょっと待てよ、もう体力が…。」

「そんなこと言ってていいのかな? 全国行く凰堂パイセン?」

沢島が煽るように言ってくる。

「よし、じゃあ技練習に入るか。」

沢島の煽りを全スルーして指揮をとる誠司。

そして面をつけて準備に入った瞬間、学校が大きく揺れる。

「なんだ!? 地震か?」

慌てふためく道場。フェニルが声を上げる。

(誠司! 上だ、屋上に何かいる!)

「屋上?」

その声を聞いた窓に一番近かった沢島が屋上を見る。

「屋上に何かいるのか? ってなんだありゃ!」

沢島が叫ぶと、その声に誠司も反応して窓から屋上を見る。すると、緑色のゴツゴツした肌をもつ巨体に大きな翼を纏った4メートルほどのドラゴンがいた。

(あれは!)

「おい、まさかあれって。完全に取り込んだとかじゃないよな。」

(いや、恐らくそうだ。とにかく早く退けないと学校が崩れるぞ!)

「行くしかない。着装!」

誠司はノーヴァ 打ち込みXのフォルムになり、飛び降りる。その後、フェニリングをセットしてノーヴァ フェニックスフォルムになり、羽を広げて屋上へと上がる。

「重装、完了。」


************************


 屋上まで上がり、ドラゴンの上まで来たノーヴァ。

「フェニル、完全に取り込まれた場合でも分離からなのか?」

(できればそうした方がいいだろう。でもなんで私が察知できなかったんだ。)

「外で解放されて飛んできたんじゃないのか。」

(とにかく引き剥がそう!)

「あぁ!」

ノーヴァの存在に気づいたドラゴンはノーヴァに向かって吠える。その声の風圧で押されて前に進めなくなるノーヴァ。

「くそっ。なんだこいつ。」

(一旦上に!)

ノーヴァは羽を広げ直し、さらに上空へ羽ばたく。

(分離リングで上からいこう!)

「あぁ!」

“人妖分離リング”を不死剣 ノヴェルにセットし真上から斬りかかる。


赫炎断かくえんだん・離”


見事にドラゴンの頭に当たる。しかし、ピクリともしなかった。ダメージを負うどころかドラゴンは爪で反撃をしてくる。鋭い爪の攻撃を受けたノーヴァは校庭に落ちる。

「誠司!」

沢島が道場の窓から叫ぶとドラゴンが道場の壁に爪を立てる。ミシミシという壁。校庭に落ちたノーヴァは着装が解除されていた。

(誠司、大丈夫か?)

「なんとか。でも、体が動かない。」

仰向けの状態で落ちた誠司はただ、ドラゴンが道場に入り込もうとしているのを見ることしかできなかった。

(誠司…。)

そこでフェニルがあることを閃く。

(そうだ誠司! 私を外に出せ!)

「お前を出してどうするんだ。まさかあいつと戦おうっていうのか。」

(そのまさかだよ! 私があいつを学校から引き剥がして裏の山の方まで連れて行く。)

「ダメだ! あいつの力、見ただろ。感じなかったのか。もう、僕は戦えない。」

(何を言ってるんだ! 今この状況をなんとかできるのは力を持った私たちだけだ! こんなところで諦めていい訳がない。)

校庭の砂利を握りしめる誠司。

(『支えてくれてる人を笑顔にするために』。君は戦ってるんじゃないのか? いいのか、このままではみんなやられるぞ!)

誠司はハッと忘れていたことに気づく。

「そうだったな。自分で言ったことを忘れていた。僕はみんなのために戦う。怖いことがあったって、悲しいことがあったって、その何倍も何百倍の笑顔を生み出すために! 『明日』は僕が守る。」

人妖分離リングが光り、中からフェニリングのような形をした少しラメの入ったリングが生まれる。。

「なんだこれ。」

(人妖分離リングの本来の姿…? 私にもわからない。)

“ギャオォォォォォォン!”

ドラゴンが壁を崩し始める。

「まずい! 早く行こう! 頼む、フェニル!」

フェニリングをセットし、ボタンを押す。リングを外して誠司はノーヴァ 打ち込みXに着装。

フェニルは実体化して羽ばたき、足でドラゴンを捉える。

その状況に驚く沢島たち。

「ドラゴンの次はフェニックス?」

「フェニルだよ。」

そうフェニルが言うと、ドラゴンを引き剥がし、炎を纏った球になり、森の方へと運んでいく。


************************


 山の最深部付近に到着し、フェニルがドラゴンを投げ落とす。

「こいつ、だいぶ重かったぞ。」

「そりゃ、見た目からしてそうだろうね。でもこっからどうするか。」

と話していると、ドラゴンが目を覚まし、暴れ始める。それをフェニルは抑えようとするが、振り払われて木木を薙ぎ倒していく。

「フェニル!」

誠司はクロスバンドにリングをセットしてコアの部分を押すとノーヴァ フェニックスフォルムに重装。フェニルの実体はフェニリングに収められる。

(助かった、誠司。)

「早く体を癒せ。それまでは僕の力で抑える。」

(誠司、気づいていたのか。)

「そんなの気づくでしょ。明らかに技を使う時、僕と君の体力を大きく使って発動してる。だからその反動が来ていた。でも、君の治癒能力のおかげで多少は緩和されていたんだろ。」

(お見事。その通りだ。)

「だから、君が治るまでは羽も技もなしだ。」

というと、八相の構えからドラゴンに斬りかかる。ドラゴンの足に切り掛かっていくが、びくともしない。するとドラゴンは足を上げて踏み潰そうとする。潰される寸前で転がって避ける。

「あぶねー。」

(気をつけろ誠司。)

「あぁ、でもこりゃ大変だ。」

(君はコアは見えたか?)

「まだ見えてない。足にはなさそうだ。」

(探るしかないか。)

ノーヴァは足の付近で細かく動き、ドラゴンの注意をひく。するとドラゴンは足をバタバタさせ、踏み潰そうとする。しかし、バランスを崩し、周りの木々を薙ぎ倒しながら倒れる。

(誠司、もういけるぞ!)

「了解。」

ノーヴァは羽を広げ、ドラゴンの周りを飛んでコアを探す。

「あれだ! ん?」

ノーヴァはドラゴンの目にコアがあるのを見つけると、目の奥に人影があるのを見つける。

「まさか、あそこに取り込まれているのか。」

(そうみたいだね。)

「人妖分離リング…。こいつにまだ分離の能力はあるのか。」

(残ってるぞ。恐らく私の力も入って技のリングとしても使えるようになっているはずだ。)

「なるほどな。」

倒れていたドラゴンは起き上がり、吠える。すると、ノーヴァを無視して歩き出す。

「どこに行くんだ?」

(まさか、あの方向は!)

フェニルがそう言うとノーヴァはドラゴンの歩く先を見て気づく。

「桜聖学園だ! やっぱり学校を狙ってるのか。」

(なんとしても止めるぞ)

ノーヴァは人妖分離リングをノヴェルにセットし、回転する。


“赫炎断・インパクト”


ノーヴァは背後から正面に斬りかかる。



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