第7話 「技のぶつけ合い。剣士vs戦士」
バレー部の騒動後、道場に戻った誠司は、
「遅い! 影沼先生ほぼお前が出てった後すぐ来たしのにお前は稽古終わるまで帰ってこないし!」
沢島が道場の前で仁王立ちして大声で叫ぶ。
「悪かったって。また怪物が出たんだ。」
謝りながら事情を説明する誠司。
「また怪物かよ。俺との一本勝負の約束もすっぽかすしよ!」
「ごめんな。また今度やろう。」
と誠司がいうと、怒り気味に沢島が返す。
「ふんっ。30分本数無制限の勝負でチャラにしてやるよ。」
「30分!? 無茶だろ、そんなの!」
「全国決めた凰堂パイセンなら余裕じゃないですかねぇ。」
ニヤつきながら沢島が言うと
「あー。わかったよ。次の自由練の日な。
ダルそうな感じで誠司が返す。
「そうこなくちゃ! じゃ、今日は帰るか。」
「もうそんな時間か?」
誠司が時計を見るとまだ17時30分だ。部活の時間ではある。
「影沼先生が今日急用で17時には終わってたんだ。」
「そう言うことか。じゃあ今日は帰るか。」
そう言いながら荷物をまとめ、出る準備を整え、道場を後にした。
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帰り道。あたりは薄暗くもう少しで日が落ちそうなところまで沈んでいた。誠司と沢島は帰る方向が一緒で駅の改札を通った。ホームで電車を待っていた時、フェニルが何かを感じ取る。
(誠司! この近くに気配が!)
「なんだと!」
誠司は思わず声に出してしまう。
「どうした?」
沢島が不思議そうな顔をして誠司を見る。そこに電車が来て沢島は乗る。
「おい誠司、ドア閉まるぞ。」
「悪い沢島。先帰ってくれ。」
電車のドアが閉まる。
「えっ? ちょっ‥」
扉が閉まるとすぐに電車は出発した。
「それでフェニル。気配の方向は。」
(ホームの目の前の森の中だ。)
「だったらすぐに行こう。」
クロスバンドにフェニリングをはめる。
「重装。」
ノーヴァ フェニックスフォルムに変身し、ホームから羽を広げて森へ出る。
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森の中。気配が近いところまで飛んできたノーヴァは最深部の神社があるところまでたどり着く。
「境内ある方まで来ちゃったぞ。」
(この近くに、いる。)
ノーヴァの体に緊張が走る。
「なんだこの感じ。でも、前にも感じたことある。」
「よぉ。」
後ろの茂みから姿を現したのは黒い鎧を纏った失墜の戦士だった。
「お前は。」
ノーヴァは警戒しながら剣を向ける。
「そんないきなり剣向けて来んなよ。今日はお話に来たんだ。」
「話だと?」
向けていた構えを解くノーヴァ。
「こっちおだってお前に聞きたいことが山ほどある!」
「ほぅ。なぁお前、どんぐらい倒してきた?」
「何をだ。」
「惚けるなよ〜。俺の『子分たちだよ。」
「子分だと? まさか、怪物のことか‥。」
「あぁ。お前はそう呼んでるんだな。そうだよ、その怪物のことだよ!」
「ふざけるな!」
ノーヴァは失墜の戦士にノヴェルを向ける。
「そんなピリピリすんなよ〜。話をしに来たって言ったろ?」
戦士はノーヴァの肩をポンッと叩きながらさらに語りかける。
「そろそろ勝つことの気持ちよさがわかったか?」
ノーヴァは戦士から少し距離をとる。
「お前、何が狙いだ。まさか、強制解放を繰り返したのも僕に意味が‥。」
「それ以上は俺に勝ってからだ!」
と言いながらノーヴァに斬りかかる。それを受け止めるノーヴァ。
「何が、話をしに来ただ!」
「ギリギリで一歩引くとは。いい体捌きじゃないか。」
鍔迫り状態が続くが、次の瞬間、ノーヴァが突き放して胴切りを決める。剣を受け後退する戦士。
「ハッハァ! 前は掠らせることもできなかったのになぁ! オレも本気出さないとかな。」
戦士は八相の構えをとり、高速でノーヴァまで間合いをつめる。ノーヴァを切り付け、背後に回って背中に一撃。
「くっ。速い。」
「俺についてきてみろ。」
(誠司、私の特徴も速さにある。足に力を入れてバンドを押せ!)
「わかった。」
ノーヴァは言う通りにバンドを操作し、前に体重をかけるとエネルギーが足に集中。戦士の元まで瞬間移動する。
(今だ!)
「‥! そうか、“炎旋斬”」
ノーヴァの炎旋斬は見事に戦士の胴にヒット。吹っ飛び、倒れる戦士。
「まさか、ここまで強くなっているとは。」
(誠司! 勝てるぞ!)
「あぁ! お前は誰なんだ失墜の戦士! その姿を見せろ!」
不死剣 ノヴェルのレバーを展開し、焔突を発動。距離を詰めて炎旋斬と連続して技を繰り出す。戦士は守りに徹するしかなかった。
「フンッ‥。お前のカミは無能だな!」
戦士が言うとノーヴァはさらに火力を上げた焔突を発動。
「煽りのつもりか。そんなのは‥。」
「お前の体が一番わかっているはずだ! もうクタクタだろ。そんなに技を連発したら。」
(しまった!)
ノーヴァは焔突の構えをとっていると、体の力が抜け始める。
「なんだ、体が。」
「お前にその体力は身に付いてなかったんだよ!」
戦士は炎を払い、一気に間合いをつめ、ノーヴァのアーマーを掴む。
「残念だぜ。お前とはもっといい勝負ができると思っていたのに。」
「わかっていないのは君だ!」
「なんだこの声。」
「誠司のココロノカミのフェニルさ。私は不死鳥だ。体力の治癒など容易い。」
ノーヴァの体力が徐々に回復し始める。
「あれ、体が。」
(さぁ誠司こっからが本番だ!)
「あ、あぁ!」
「そんなのありかよ。まあ、ここで仕留めればいい。“黒斬”」
エネルギーを溜めた剣でノーヴァを斬ろうとするが、高速移動で避ける。ノーヴァはいったん距離を取ってから再度間合いを詰め、赫炎断を発動。それを躱す戦士。さらにノーヴァは体制を整え、炎旋斬を発動。それに応えるように戦士は正面斬りで抑える。
“堕黒斬”
オーラを纏った剣が確実な方向へと変化する。今回はノーヴァの剣を抑えるだった。
「さぁ、もっとぶつかろう!」
「流石に妖みたいに簡単には倒せないな。」
二人とも息切れの状態でふらふらになっていた。
「ハッハッハ! お前との戦いはやっぱ燃えるな。さあ、続きを…。」
と戦士が仕切り直そうとすると、
「おーい、君たち。そこで何をやっている。」
その声に気づく二人。
「クソッ。」
と言うと戦士は姿を消した。
「おいっ。待て!」
(誠司! 今は逃げるよ。飛ぼう!)
「あぁ。わかった。」
ノーヴァに羽が生え、空中を飛ぶ。木の間を抜け、なんとか撒いた。
「なんで逃げる必要があるんだ。」
(まあ、なんとなくまずいかな?って。ヒーローが補導されてたらみっともないだろ! さあ帰ろ帰ろ。)
「まあ、いい、のか?」
ノーヴァは空を飛んで家に帰っていくのであった。
一方、失墜の戦士は。
「ナニヲシテイルンダ。キミハ。」
「俺は俺のしたいようにしているだけだ。まあ、強さは予想外だったがな。」
「ナゼノーヴァヲシトメナカッタ。」
「まあなんだ。邪魔が入ったんだよ。」
「ソウカ。ナラツギハコイツヲ。コレデノーヴァヲケス。」
「こいつは確か。へぇ、面白いじゃん。」
「マカセタゾ。」
「はいはい、仰せのままに〜。」
謎の影との対話を終えた戦士はその場に崩れ
「あいつ、思ったより強くなってたな。」
影から受け取った写真を眺めながらニヤリと笑う。
「さぁ、第2ゲームの始まりだ。」




