第4話 「学校を守るため。」
怪物事件から1週間が明けた。桜聖学園は予定通り学校を再開。生徒も皆とは言わないが、活気をとり戻していた。と思われたが、
職員室
「だから、また妖怪が学校を狙ってるんです!」
鬼気迫る声で職員室中に声を響かせているのは誠司だった。
「そんなわけないだろ凰堂。アニメの見過ぎだ。」
「先生だって見たでしょ。あの現場にいたんだから。また、父さんみたいな犠牲者を出したくないんです。」
威勢を失っていく誠司を見て体育教師は「はぁ。」とため息をついた後に誠司の肩に手をついて言う。
「わかったから、ついて来い。」
そう言うと、誠司を職員室の奥に連れていく。
「これは。」
誠司の目の前には大量に置かれたパソコンとモニターが置かれており、誠司はその光景を見て呆然とするしかなかった。
「お前を助けるシステムだ。影沼先生が作ってくれたんだ。1週間でここまでやるとは思ってなかったが。」
「でもこんな大量のパソコン何に使うんですか?」
「この1週間で学園のあらゆるところに防犯カメラを取り付けた。それによって怪物がここに来たとしてもすぐ探知できる。この部屋は警備員がずっといるから怪物が出ればすぐに放送で流してくれることになっている。」
「ありがとうございます。先生。」
体育教師は鼻を高くして笑うと誠司に
「わかったらとっとと教室戻りな。」
「はい。」
と言って誠司は職員室を出る。
授業は終わり、部活の時間になる。部内は久しぶりの部活だからか、「強豪らしさ」のようなものはなく、みんな何かを気にしている様子だった。その中、誠司だけは違った。身支度を済ませ、一人で既に何かと戦っているかのような闘志が見えた。
「誠司、お前…。」
何かを言おうとした沢島だったが、途中で辞めてしまう。
「なんだ?」
「いや、なんでもないんだ。思ったより普通で安心したよ! さあ、練習始めようぜ!」
肩回しをしながら部室に入っていく。誠司はどこか安心したような眼差しで沢島を見つめる。そこで誠司は違和感に気づく。
「マネージャー、木田は今日来てないのか?」
角田美雪。桜聖学園剣道部のマネージャーで高校三年生。
「木田くん? 今日見てないけど。」
「そうか、珍しいな。毎回一番にきて道場掃除してるやつなのに。」
「何かあったのかな?」
「何かあったらあいつは連絡するやつだ。」
二人で少し考えているとフェニルが動き出す。
(誠司、校舎裏から嫌な感じがする。)
「まさか。」
そう言うと誠司は道場を飛び出す。
「凰堂くん?! 練習は?」
美雪の声は届かず、誠司は去ってしまう。
一階まで降り、校舎の裏
「てかお前、その状態でも察知できるのかよ。」
(まあね。それより前!)
校舎裏に着くと誠司の前には顔以外取り込まれている木田が目の前にいた。
「木田!」
「誠司…先輩‥。」
助けを求め、誠司に手を伸ばした木田はそのまま、猫のような顔をした化物に取り込まれていった。
「ニャハハハ! 猫又様、参上だニャ!」
「きだぁぁぁ!」
飲み込まれていく木田を見て誠司はその場に膝から崩れ落ちてしまう。
(しっかりしろ誠司! まだあの青年は死んでない。)
「え?」
フェニルの声が聞こえ、誠司は顔を上げる。
(まだ取り込まれただけでコアさえ破壊できれば彼を救える。)
その言葉を聞いて誠司はすぐさま立ち上がりクロスバンドをつける。
「だったら今すぐにでもやってやる。いくぞフェニル。」
(オーケー誠司!)
「木田の明日は僕が助ける。重装!」
誠司はクロスバンドにフェニリングを装填して一気にフェニックスフォルムに変身。不死剣ノヴェルを構え、猫又に斬りかかっていく。その動きに対して猫又は爪で剣をいなし、もう片方の爪で反撃する。その攻撃をモロに受けてしまうノーヴァ。
(誠司、振りも動きも雑だぞ!)
「でも、早く木田を助けないと。」
乱れた剣捌きで猫又に襲いかかる。しかし、ノーヴァの剣はかすることもなく、空振り、爪で防がれるばかりだった。苛立ちを抑えられずに感情に任せて剣を振っていた。しばらく斬りかかるが、躱され、間合いを取られてしまう。
「くそっ。全然当たらない。」
(落ち着け! 誠司らしくないぞ!)
「僕は十分落ち着いてる!」
「ゴチャゴチャうるさいニャ! これでも食らエ!」
と猫又は二つの尻尾から火炎弾を無数に出す。それを喰らってしまい、誠司は壁に叩きつけられる。その衝撃でフェニリングが外れ、打ち込みくんのフォルムに戻ってしまう。
「大丈夫か! 誠司!」
そう声をかけてくるのはフェニルだ。変身が解除されてフェニルが実体化している。
「まだ戦うニャ。戦えニャ。」
猫又はそう言いながら火炎弾を再度打ってくる。炎を纏った弾が誠司を襲う。その誠司の前にフェニルは立ち、全弾受けた。
「フェニル!」
「ニャハハハ! 自分から受けにくるとはバカなヤツだニャ!」
「フェニル…。」
絶望に満ち、地面に手をついてしまう。
「だから、私たちはカミサマだ。そう簡単には死なないよ。それに、」
誠司の目の前にはいつもに増して強い炎を纏ったSDフォルムのフェニルがいた。
「フェニル、その姿は。」
「火力が上がっただけさ。今ならさらに強い技が打てそうな気がする!」
「そんな見せかけ、猫又様には通じないニャ!」
「今度はこちらの番だ。」
そう言うとフェニルはSDフォルムから下の大きさに戻り、翼を大きく広げる。3メートルに届くであろう巨体は校舎裏には狭く、翼がつっかえてしまう。
「そうだった。この狭さだったか。」
「何してるニャ! 来ないならこっちから行くニャ!」
爪をたて、フェニルに突進する。フェニルが引っかかれると思ったそのとき、誠司が後ろから飛び出し、爪を剣で受け止めた。剣はもうノヴェルではなく、ただの剣になっている。
「守られてばっかじゃ悪いからな。」
「下がれ誠司! 打ち込みくんのフォルムでは本来の力は出ない!」
「本来の力は出なくても多少なら戦える。このフォルム、使えないフォルムじゃない! 父さんが残した『打ち込みX』だ!」
「打ち込みXか。すごい名前してるね。」
誠司はそう言うと猫又に斬りかかる。
「早くそっから脱出しろよ! トドメは任せるから!」
「やっといつも通りかな。まあ、もう抜け出せるけど!」
体を回転させながら空中へ舞うフェニル。一方誠司は最初こそ何度か当たったが、爪で防がれ、逆に突かれてしまう。吹っ飛んだ誠司はまた火炎弾を喰らいそうになる。
「これで終わりニャ!」
正面では猫又が火炎弾を構えている。
「そうはさせないよ!」
と言う声と共にフェニルは炎の弾を空中から猫又に向けて打つのだった。見事にフェニルの弾は猫又に直撃。猫又の攻撃を防いだ。
「上からとは卑怯ニャ!」
「誠司、トドメだ! 連続変身は危険だが、一撃で決める!」
「わかった。」
誠司はフェニリングをバンドに再装着。
「重装!」
フェニルがアーマーに入り、フェニックスフォルムに変身。剣も不死剣ノヴェルへと変化。しかし、誠司の体は突然痺れ始める。
「動きづらい‥。」
(強制解除後の変身の副作用だ。コアは頭だ一気に振り切れ!)
「そうだな。」
ノーヴァは左上段をとり、ノヴェルに力を溜める。
「ガラ空きニャ!」
空いた腹に向けって猫又は爪で突き刺そうとする。
「かかった。“赫炎断”」
力の溜まったノヴェルで突進してきた猫又を正面に真っ二つに斬った。猫又のコアは壊れ、中から木田の姿が現れる。
「木田!」
ノーヴァは猫又の体内に埋まった木田の手を右手で取り、引き抜こうとする。そこでノーヴァは猫又の体に鍔のようなものが見え、左手でそれも掴む。両方同時に抜けると、猫又の魂は消えていった。
「木田! 大丈夫か。」
木田が目を覚ます。木田の前には誠司の姿が映る。
「あれ、誠司先輩。」
ほっとした誠司。
「よかった、なんとかなって。」
「すみません。部活、無断で遅れて。」
その場で土下座しながら誠司に謝る木田。
「大丈夫だ。それより、こんなところで何してたんだ?」
「ホームルームが終わって部活に行こうとしたら、黒いフードを被った人にこちに来いって言われて…。」
「黒いフードだと?!」
(まさか、失墜の戦士。)
「そいつはどこにいったんだ! まだその辺にいるのか!」
「わからないです。でも、自分に『もっと強くなりたくないか? 主将が憎くないのか?』って何回も言ってきて。強くなりたいって言ったら突然、先輩がしてるような時計のようなものを押さえつけられました。」
左胸部を手で押さえながらそういう木田。
「クロスバンドをあいつが? しかも押さえつけて体に埋めたってことか。」
(そうすると強制解放になるのかもしれないな。)
「木田、お前は一旦保健室に行って様子を見てもらいな。僕はこの辺りをもう少し調べてみる。」
「わかりました。。失礼します!」
そう言うと木田は駆け足で保健室へ向かう。見送った誠司はフェニリングをつけ、フェニルを実体化させる。
「どうした誠司。」
「今は戦士のことも気になるがもう一つ。強制解放のことだ。」
「そうだな。何がトリガーで強制解放されるのか。」
「あと、このリングだ。」
左手には猫又の体内から回収した鍔があった。
「フェニリングに似ているが、少し違うみたいだ。」
フェニルは誠司が手で持っている鍔を眺めながら不思議そうに言う。
「まだまだわからないことだらけだな。」
といいながら、誠司はその鍔をしまうと、
「よし、僕は練習に戻るかな。」
と言って道場に戻ろうとする。
「誠司、もう終わってるんじゃないか?」
フェニルが時計を指しながらそう言うと時計は18時を指していた。
「まじか! 最後の早素振りだけでも!」
と言って誠司は階段を駆け上がっていく。その場に残ったフェニルは、
「あの鍔はもしかすると…。」
と言って誠司に戻った。
「少ないけどアイテムはこれで十分かな。さてさて、これからの成長が楽しみだな。」




