第30話 「喰らわれた魂 最強の『シグマクロス』」
桜聖学園の裏山。
「やっと追いついた…。」
山の中を独走したケガレ・アリウム館全体を追いかけてノーヴァに重装した誠司は空を飛んで追いかけていた。
「ずいぶん遅かったね。」
腕をぶんとふり、ノーヴァを吹き飛ばそうとする。
「…。」
「あれ、効果切れか。まあいいや、ここまで走って来れる脚力にはなったから!」
「何が狙いだ! それにその鎧は…。」
「言ったろ。君たちの言う『神道獅』の魂を鎧にしたものさ。まあ、かと言ってもこれは『旧式』。これから色々なココロノカミを喰らって更に強くなる。」
そう言いながらケガレの封装アイテムのシグマクロスを掲げる。
「てことは…今までの怪物…いや、ココロノカミは…。」
「そうだよ? 僕が『食べた』。そしてシグマクロスは完成した!」
高らかに笑いながら誠司を睨む。
「その魂。よこせヨ。」
その殺気に身体中がゾクッとする誠司。
(大丈夫か? 誠司。)
「あ、あぁ。大丈夫だ。それより何だ今の気迫は。」
「ボクは君の『不死鳥』の力を得て完璧になる。守りは硬く、攻撃は強く、そして不死身だ。不老だけではない、不老不死の力を手に入れ、ボクがこの世界の『王』になる!」
「なんで…。僕の知る『影沼先生』はそんな人じゃない…。」
「君は騙されたんだよ。明るく騎乗に振る舞う『僕』と実は裏では世界征服を目論んでいた『ボク』。『影沼宗介』はとうの昔に死んだ。ボクはこれから全ての人間のココロノカミを『曝神』に変え、人間を喰らいボクの世界にする。」
シグマクロスに封装アイテムのライオリングを構える。
「戦うか、大人しくボクにソイツをよこすか。」
「僕は…。戦うに決まってる。許さない。父さんのことも『みんなの』ココロノカミのことも。やるよフェニル。」
(ここで終わらせよう!)
誠司もクロスバンドにフェニリングを装着する準備をする。
「決まったみたいだね。ザンネンだ。」
“重装”
“封装”
二つの装着声が重なり、誠司はノーヴァ フェニックスフォルムへ、ケガレは完全体へと姿を変える。
「全部、取り戻す!」
「ゼンブ、奪う!」
ノーヴァの剣、不死剣ノヴェルとケガレの剣がぶつかる。
「何だ…こいつの剣!」
一度ぶつかった剣を解くとノーヴァの腕が痺れていた。
「腕が…。」
「オワリか?」
動けないノーヴァに追い打ちをかけるケガレ。
(誠司! しっかりしろ!)
「痺れ…まさか!」
「そうだよ、正解。ドラグから奪っておいたものさ。まだまだいくよ!」
“ヤツザキ”
“牙斬撃“
イタチの怪物カマイタチ、恐竜の怪物ガジリオスの技を繰り出す。
「グハっ…!」
ノーヴァは痺れが取れるも、避けることはできていなかった。
「そんな…今まで戦ってきた奴らの技を…。」
「よそ見するな!」
“鴉哭一閃”
強烈な黒い一閃が入る。
“鳳焔影“
対抗するようにノーヴァも回避技を繰り出していく。
「武叶…絶望の戦士の技まで…!」
“滅爪 三日月”
「もう技が読めてきたぞ。」
“炎旋斬“
ノーヴァは上から振られる剣を躱し、右斜前に移動、胴技を繰り出した。
「決まった!」
“蛇鱗結界”
「ボクが策もなく飛びかかるわけないでしょ。」
「…っ!」
胴切りは切りきれずにケガレの間合いで止まってしまう。
「終わりだ。せっかくならこの技で!」
“鴉哭一閃”
超至近距離にいるノーヴァめがけて剣を下ろすケガレ。
「まだ終わらない…。」
“焔ノ壁“
不死鳥の羽がノーヴァを守った。
「本当に厄介なやつだ…!」
技の反動は大きく、大きく吹き飛ばされることになるが、その勢いで一気に距離を取る。
「フェニル、使うよ!
(そうだね。それがいい。)
フェニリングにバーストリングをセット。
明日の剣士 剣聖ノーヴァFに真装。
不死剣ノヴェルは煌命剣 リヴァイブへと姿を変える。
「一気にいくぞ!」
“紅蓮翔破“
離れた間合いから一気に間合いをつめてケガレの懐へと入る。
「こざかしい!」
間合いに入ってきたノーヴァに剣を振りかざすも空振り。
「何だ…牽制のつもりか。」
からぶった後に背後に回ったノーヴァが
“聖炎断鳳”
で面技を繰り出す。
「クッ…!」
惜しくも東部ではなく肩をかする攻撃。
「まだだ!」
“聖炎胴刃”
肩をかすめ、一歩引いたケガレに胴切りを打ち込む。
「ぐわぁぁぁ!」
胴切りが直撃し、木に打ち付けられる。
「何で‥ナンデだ! ボクは最強になったはず…。」
「僕のフェニルを、そして僕を見くびった結果だ!」
ノーヴァは上段に構え、“聖炎断鳳”を放つ構えをする。
「これで終わりだ。」
「ボクの力は本物だ…。」
ケガレは技を放たれる瞬間ボソッと呟く。
“聖炎断鳳”
強い斬撃を放ち、ケガレの身体を焦がす。
「やったか…。」
「終わりだね。『明日の剣士ノーヴァ』。」
炎の中でケガレが呟く。
「何だと? ぐふっ…。」
剣聖ノーヴァFのフォルムが解け、打ち込みXに着装した姿になる。
「何でだ…?! フェニル! おい、フェニル!」
「無駄だよ。君のココロノカミのフェニルはもうボクのものだ。」
ケガレの手からは炎が噴き出る。
「君の『気』が乗った技のおかげでそこにフェニルの力も強くかかったみたいでね。本当にマグレさ。炎の中、僕は一つ光るものが当たんでそれを掴んだらまさか『フェニル』だったなんて。」
「そんな…フェニル…。」
「散りな。」
“焔突”
突きの遠距離攻撃を誠司に打ち込む。
“龍鱗結界“
「…。青葉!」
「大丈夫か誠司!」
“白鴉翔天斬”
焔突を放ったケガレの上からホーヴか斬りかかる。
“蛇鱗結界”
ケガレも結界をはり、打ち返す。
「あれは…八岐大蛇の技?」
「あいつは、奴が吸収した全てのココロノカミ、つまり今まで僕たちが倒した怪物、僕たちのココロノカミの力が使える。フェニルも…あいつに…。」
「何だそれ! チートじゃん!」
「それが…『王』の力って訳か。」
「武叶…。」
「…。」
「あいつを倒せばいいんだろ? 俺たちに任せろ! フェニルも必ず救い出す!」
ゼロとホーヴが構え、誠司は一歩下がったところで見ている。
「君たちのココロノカミも貰っとくよ。目障りなのは面倒だから。」
「いくぜー!」
ケガレとゼロ、ホーヴの戦いが始まる。




