第27話 「絶望を超えて掴む希望」
何…何ってんだよ武叶。父さんを殺したのが影沼先生?」
「嘘は言ってねぇ! でも…。」
誠司は重装を解除している武叶の左頬を強く殴る。
「なぁーんで今言っちゃったのかな? 武叶くん。」
ハッと意識が戻る武叶。
「イッテ! なんだよ。何があった?」
武叶を睨みつけていた誠司はケガレに視線を移す。
「まさか…あんた。」
「そうだよ? まだ『そいつ』はボクの操り人形さ。それが解ける装置はあそこのロボットのノーヴァに埋めたから精々頑張って倒すんだね。」
「当たり前だ! 必ず倒す。父さんの仇…。」
今のお前じゃ無理だ!」
武叶が誠司に言う。
「何を言って…。」
「お前は豆腐のメンタルだから今の状態で勝てるわけない!」
「じゃあ棄権するかい? それならこいつを…。」
「あんたは黙ってろ!」
煽りを入れるケガレに武叶は誠司の方をガシッととかみながら話す。
「お前は強い。だからお前と『フェニル』の力を見せてやれ! お前ならやれる! 誠司!」
「僕がいつまでも豆腐メンタルだと思ってるのか。父さんが死んだあの日から僕は忘れない。僕に与えられた『使命』を!」
(その意気だ誠司!)
「やろうフェニル。最初からフルパワーで!」
誠司はフェニリングを手に取り、裏にバーストリングをつける。
「真装!」
誠司は“明日の剣士 剣聖ノーヴァF”に真装。“煌命剣 リヴァイブ”を持ち、八相の構えをとる。
「始めるぞ。」
黒い道着と袴に紫色のエネルギーラインの入った鎧を着たノーヴァも八相の構えをとる。
「始め!」
ケガレの掛け声で勝負が始まる。
「誠司…。頼むぞ!」
武叶は両手を強く握り合わせている。
二人の打ち合いが長く続き、先にバランスを崩したのは剣聖ノーヴァだった。
「(こいつ…本当に強い。攻撃が全く入ってない…!)」
膝をつく剣聖ノーヴァに黒いノーヴァが襲いかかる。
“赫炎断“
「まずい…!」
“鳳焔影“
黒いノーヴァの正面斬りに対して回避の技を使った剣聖ノーヴァ。しかし、避けた先に黒いノーヴァが先手を打っていた。
“凍獄波“
氷属性の突き技を地面に放っていた。
「まさか…こいつ。」
「そうだよ! 君の今までのデータ全てが入ってる。もちろんアイスフェニックスのものもね。」
剣聖ノーヴァの足が凍り、抜こうとしても動かない。
「暴走しない最恐の力。君はこれを超えられるかな? アイスフェニックスを溶かして覚醒したその『安定しない』フォルムで勝てるかな〜?」
誠司に聞こえる声で煽りをかけるケガレ。
(誠司…。)
動けない剣聖ノーヴァに容赦なく黒いノーヴァが剣で打ち付ける。足が使えず、攻撃は全て避けられる。ひたすらに打ちつけられて剣聖ノーヴァは防戦一方だった。
そこに黒いノーヴァが技を放つ。
“炎旋斬“
炎属性の胴切り技で剣聖ノーヴァは斬りつけられ、大きく吹き飛ぶ。
「誠司!」
「まだだ、あいつなら大丈夫だ。」
「武叶…。」
吹き飛んだ剣聖ノーヴァにジリジリと詰め寄る黒いノーヴァ。
「終わりか…。もういいよ『ノーヴァ』。そいつを消せ。」
「ハイジョ。」
剣聖ノーヴァの目の前まで来た黒いノーヴァの面金が光り、技を放つ準備をする。
「くそっ…。」
“零鳴衝“
氷属性の正面斬りを倒れるノーヴァに打ちつける。
「誠司!」
次の瞬間、剣聖ノーヴァからフェニルが飛び出し、羽で黒いノーヴァの高下寺を受ける。
「キミの力はこんなモノじゃないだろ!」
打ち込みXの姿に戻ったノーヴァの目の前でフェニルが燃える。
「フェニル。」
「ワタシはキミを信じる! それがキミとの約束だから!」
地面に手をつき、起き上がる誠司。
「まだ…終わってない。フェニル! 危険なのは分かってる…。でも、もう一度『剣聖ノーヴァ』で!」
「そう来なくっちゃな。」
誠司はクロスバンドで打ち込みXのフォルムに着装。フェニルは翼を広げて誠司の背後につく。
「真装!」
誠司はバーストリングをつけたフェニリングをセット。剣聖ノーヴァになり、黒いノーヴァの剣を受け止めて鍔迫りになる。
「僕は迷わない。みんなの『明日』を守るために!」
剣聖ノーヴァと黒いノーヴァが打ち合う。
互いの剣が体に当たることなく剣と剣が交わる。
「誠司…本当に強くなったな。」
武叶が場外でボソッと呟く。
「武叶…。」
一方、ケガレは
「何をしている…『ノーヴァ』。そんなやつ‥とっとと滅ぼせ!」
壁に拳を打ち付けて叫ぶ。
“鳳焔影“
打ち合いの中、剣聖ノーヴァが黒いノーヴァの一撃を回避して背後を取る。
黒いノーヴァは大きく空振り、体制を崩す。
「いけ! 誠司!」
「がんばれ…ノーヴァ!」
青葉と武叶の叫びが響く。
「僕は勝つ…。この戦いを終わらせる。」
前方に体制を崩した黒いノーヴァが後ろを振り返ると目の前には剣を大きく振りかぶる剣聖ノーヴァが映る。
「これで終わりだ!」
“聖炎断鳳”
剣聖ノーヴァの一撃は黒いノーヴァの頭頂を打った。
「やったぞ!」
「…よし!」
場外から見ていた青葉と武叶も拳を握りしめて喜んだ。
「やったな。」
二人が浮かれていると会場内で倒れたのは剣聖ノーヴァだった。
“氷閃胴葬”
「残念だけど、誠司くんの負けみたいだね!」
ケガレは高らかに笑いながら言う。
剣聖ノーヴァの胴が凍りつき、動かない。
「誠司!」
「やりな。『ノーヴァ』。」
「ショウキョ。」
倒れる剣聖ノーヴァに黒いノーヴァが剣を突き刺そうとする。
「避けろ! 誠司!」
「クソっ…! 重装!」
武叶がホーヴに重装し、助けに向かおうとする。
「ダメだよ。乱入は。」
ホーヴの目の前に現れたのは杖のような黒い棒を持ったケガレだった。
「こいつ…いつの間に…!」
ホーヴは杖で腹を突かれ、ケガレの蹴りで壁に打ち付けられる。
「武叶!」
「君も手を出すならあーなるよ?」
ケガレが吹っ飛んで重装解除した武叶を指差しながら青葉に言う。
「ぐっ…。」
「ハハッ! 偉い偉い。」
ケガレはまた高らかに笑いながら自陣へと戻っていく。
「…っ! 誠司は!」
“焔ノ壁”
剣聖ノーヴァは技で壁を作り、黒いノーヴァの剣を受け止めていた。
「なん…だと。」
「影沼‥いや、ケガレ・アリウム! 僕はあなたを絶対に許さない。この戦いを終わらせて楽しく剣道がで切る時間を取り戻す!」
「楽しく…剣道ダト。」
「『みんな』と約束したからな! 僕は絶対勝つ!」
壁で下から黒いノーヴァを弾き飛ばし、技を打つ姿勢に入る。誠司がこれまで極めてきた“上段”の構えだった。
「久しぶりに見たな…誠司の上段。」
「あいつは上段に変えてから本当に変わった。気持ちも、構えも、体の使い方も。」
「この一撃に全部乗せる!」
“聖炎断鳳”
誠司は煌命剣 リヴァイブを振り下ろし、斬撃をとばす。
「2回も受ければロボットの身体は耐えれないだろうな。」
斬撃をけた黒いノーヴァは倒れずに身体から火花を散らす。
「『ノーヴァ』! 負けるな! お前が壊れたら僕は…!」
バチバチと音を鳴らしながら黒いノーヴァは爆散した。
黒いゼロ、絶望の戦士の日にならない業火だった。
「今度こそっ…! 勝ったぁ!」
青葉が両手をあげて喜ぶ。
誠司も全身の力が抜けて真装を解除、その場にへたり込んだ。
そこにパチパチとゆっくり拍手しながら歩いてくるケガレ。
「全勝おめでとう。まさか本当にするとは思ってなかったけど、これは想定内さ!」
「なん…だと。」
「こっち…。来な。」
そう言うとケガレは道場の入り口と反対の壁にあった扉を開き、そこに入っていく。
「いくか。」
「あぁ。」
それについていく3人。




