第18話 「戦士からの挑戦」
豪猿帝グランザンが現れて1週間。大きなダメージを受けた青葉はまだ回復していなかった。誠司は桜聖学園に戻り、部員に武叶の所在、今までの怪物事件のことを話していた。
「まさか、武叶が…。そしてこいつが誠司のペットのフェニルか。」
かつて桜聖学園剣道部で共に汗を流し特に仲の良かった沢島照は相当落ち込見ながらもSDフォルムのフェニルをモフモフしている。
「私は誠司のペットではなくココロノカミだ! そしてその手をどけないか!」
「別にいいだろぉ〜触り心地石よ〜。」
沢島は気持ちよさそうにフェニルをモフり、フェニルはその手を退けようとしている。
「武叶くんは‥助かるの? それに、なんでそんな怪物を作るようになっちゃったの?」
マネージャーの角田美雪も武叶の話を聞いて心配をしている。
「それは僕にもわからない。でも、僕が必ず助ける。絶対もとに戻してみせる。」
沈黙の桜聖学園剣道部でとてもこれから練習という雰囲気ではなかった。
「てかもう何が起こってんだよ! 凰堂先生もやられて、牙焼の青葉まで大怪我で‥。」
沢島がいつに無く感情的になる。
「怪物事件もまだ片付いた訳じゃない。ガジリオスってこの前父さんをやったやつは倒せたけど、新しくグランザンって怪物も出てきた。さっき言ったようにそいつが兄さんを連れ去ったんだがな。」
「そうなぁ。あいつの攻撃マジで半端なかった…。」
「うん。少なくともあいつを倒すまでは戦いは終わらない‥って。」
聞き覚えのある声が聞こえ、誠司はハッとする。
「なんでお前がいるんだ、青葉!」
「よっ!」
ニカっと笑いながら青葉は誠司に手を振る。
「よっじゃねぇよ。お前、入院してたんじゃないのか。」
「してたけど昨日退院したんよ!」
「お前、僕がお見舞い行った時には一回も目覚めなかったのに。」
「昨日目覚めたからな!」
「よくそこから一日で回復できたな。お前の相棒にも感謝するんだな。」
「そうだな、ドラグの力もあっただろうからなぁ。」
桜聖の道場で竹刀を振りながら話に混ざる青葉。
「てかなんでお前が普通にこの道場にいるんだ。」
「え? まあ細かいことは気にするなって! 元気になって誠司の様子を見にきただけだ!」
ニカっと笑いピースをしながらいう青葉。
「そうか。とにかく、今は気を抜けないからみんなも気をつけてくれ。」
そんな会話をしていると顧問の影沼宗介がパソコンを持ってドタドタと走ってきて道場の扉を強く開ける。
「凰堂くん! いますか!」
「は、はい。いますけど。」
「青葉くんもきていたんですか! それはちょうど良かった。」
息を切らせている影沼。
「そんなに焦って同化したんですか?」
「恐竜の怪物の討伐の話は僕も聞いたのですが‥桜聖のパソコンにグランザンと名乗るゴリラからの通信が!」
「グランザン‥?! だと。」
驚いた誠司は影沼の持っているパソコンを見ると
「久しぶりだな。明日の剣士ノーヴァくん、刹那の剣士ゼロくん。君たちに見せたいものがある。今すぐ『劔乃武道館』に来い。ノーヴァくん、君のお兄ちゃんに会わせてあげよう。では待っているぞ。」
そういうとパソコンの映像が消える。
「劔乃武道館だと。」
「日本の中心にある一番大きい武道館だ。今すぐ向かおう。」
誠司がそういうと向かう準備をし始める。
「誠司!」
準備をしている誠司に沢島が声をかける。
「絶対死ぬなよ。そして、武叶を連れて帰って来い!」
「当たり前だ。必ず一緒に帰ってくる。」
「頼むぞ!」
「…。」
二人は拳を合わせると誠司は着装の準備をする。
「俺には何もないのかよ!」
「まあお前とはあってまだ短いからな‥。まあ気をつけろよ!」
「そんな! 遊びに行ってくるから気をつけろよみたいな感じなのか?!」
二人がごちゃごちゃと揉めていると誠司が
「青葉、早く行くぞ。」
いつも以上に冷静な誠司を見てゾクっとする青葉と沢島。
「じゃ、俺もじゃあ行ってくるわ…。」
「お、おう。行ってらっしゃい…。」
青葉も着装の準備をする。
「二人とも気をつけて…。」
マネージャーの美雪も二人に声をかける。
「ああ。任せろ。行こう青葉。」
「おう!」
「着装!」
二人はクロスバンドで打ち込みXに着装。
「頼む!フェニル!/ドラグ!」
フェニルとドラグも五階道場の窓の外に元の大きさで出る。
「二人とも、くれぐれも気をつけてください! 健闘を祈ります!」
「はい!」
影沼にそう言われ、返事をした二人はそれぞれのカミに乗る。
「いくぞ。頼むフェニル。」
「任せろ!」
「ドラグ、初めて見たけどお前こんなデカかったんだな!」
「フンッ。緊張感のないヤツだ。行くぞ。」
「ああ!」
そして二人は飛び立った。
「よろしく…頼みますよ。」
劔乃武道館に到着した二人はカミを自身に戻し、武道館の扉を強く開ける。
武道館の真ん中に一人、豪猿帝グランザンが立っている。
「思ったヨリモ早かったな、ノーヴァにゼロ。逃げずにきたことはホメテやる。」
「グランザン! 兄さんはどこだ!」
「マア、焦るな。そんな遠くにいないでこっちに来い。いきなり殴り飛ばしたりゃあしねぇよ。」
そう言われ、グランザンの立つ中央部に歩み寄るノーヴァとゼロ。
「ヨク来た。ではここで俺の目的を話そう。」
「目的?」
「ああ。お前たちが倒したガジリオス、そしてこのオレも『王』に従ってこの街の破壊を繰り返す。」
「なんで…街を破壊する必要があるんだ。」
「お前たちみたいな強いやつを炙り出すためだ。俺たちの『王』は強いやつの魂を呑み込み、さらに強くなる。いずれはあのお方が宇宙をも征服する兵器になるだろう。」
「宇宙の征服? なんか規模デケェな。」
「オレたち『人』の魂からなる『曝神』の俺たちは『人』の怨念、願いが産むものだ。そこで地球でオレたちが存在するためにはニンゲンの体を使うもしくは大量のコアが必要となる。」
「まさか、それで多くの人を怪物にしてきたとでも言うのか。」
「その通りだよ。おかげで多くの強いニンゲンに出会うことができた。そしてお前たちのようなものも生まれた。」
それを聞いて何も言えず立ち尽くす誠司だった。そこで次に口を開いたのは青葉だった。
「てか、おい。『『王』は強いやつの魂を飲み込んでる』ってことは俺たちが倒した怪物は…。」
「ソウダナ。あのお方のハラの中だ。」
「?! …なんだと。怪物になった被害者のココロノカミは全て喰われたと言うのか。」
「そうだな。まあ魂を選んで呑み込んでいるとも聞いたことがあるからものによっては残ったものもあるカモな!:
「ココロノカミは僕たちの相棒だ…。」
「ソレがどうした。オマエたちには関係ない!」
「…許さない。人の心をなんだと思ってるんだ!」
「フンッ。あのお方のクイモノだ。オレは喰われず部下に置いてもらえた。あのお方に恩を返さねばなぁ! そしてもう一個紹介してやろう! 入ってこい、『絶望の戦士』!」
するとグランザンの背後から黒いボロボロの羽織を羽織り、左手には『クロガネ刻』という長い太刀をひきづった猫背の戦士が現れる。
「なんだ…?! あの姿!」
「兄さん‥兄さんなのか!」
それに応えるようにグランザンは
「もうアイツの意識はない。こいつは『絶望の戦士』だ。様々なニンゲンの絶望を取り込み、『凶化』した戦士だ。」
ノーヴァは拳を強く握る。
「いくぞ。兄さんを救う。」
「お、おう。いっちょやるか!」
「タノムゾ。絶望の戦士。」
絶望の戦士は静かに頷く。
「重装!」
誠司はノーヴァ フェニックスフォルムに青葉はゼロ ロックドラゴンフォルムに着装。
「うおぉぉぉ!」
いつになく気合の入ったノーヴァが戦士に斬りかかる。
すると戦士は立ち向かってくるノーヴァに最短の距離で喉部分に剣先を向け、そこに刺さるノーヴァ。
「グフッ‥。」
「凰堂! くそっオメェ!」
ゼロも切り掛かっていくが片手で受け止められる。そしてクロガネ刻で胴切りを受ける。
「クッ‥。あいつ‥前よりも斬撃が重い。それにオレのロックブレイブを受け止めるなんて!」
「弱い‥。オレの欲を満たせ!」
“鴉哭一閃”
クロガネ刻の一振りで斬撃が飛んでくる。
「グハァァァァ!」
斬撃を二人で受け、ゼロは着装解除に。
「つよ‥すぎる。」
「まだだ!」
ノーヴァは立ち上がり、攻め込む。
“炎旋斬”
遠間からの胴切りを決めようとするが、クロガネ刻に止められる。
「なんだと…!」
「オマエには特別だ。至近距離で鴉哭一閃。」
「(受けてたまるか)」
“鳳焔影”
回避技で避けると、間合いから離れる。距離を取れたと思ったが、技の切れ目にノーヴァの目の前には失墜の戦士が。
「逃げれたとでも思ったか。」
黒羽潜影
「オレの超加速技だ。じゃあな『ノーヴァ』。」
“鴉葬斬“
戦士の胴切りがノーヴァに直撃。
「グハァ!」
ノーヴァはモロにくらい着装解除。
「口程にもなかったな。ノーヴァにゼロ。」
ずっと見ていたグランザンが近寄ってきて声をかける。
「なぁ、ノーヴァ。オマエにはあるはずだ。あのお方がオマエに授けた『バーストリング』が!」
「これが…。だったら使わずして勝ってやる。」
(無理だ誠司! それを使おう、他に手段はない!)
「ダメだ。これもあいつの策だとしたら‥。」
(そうに決まってるじゃないか。でも君のお兄さんを救うためだ。これの力はホンモノだ。)
「くっ‥。わかったよ。使うしかないのか…。」
誠司はアイスフェニックスフォルムへの着装アイテムの『バーストリング』を強く握りしめ、立ち上がる。
「いくぞ! 超重装!」
「ヤれるもんならやってみろ!」




