第17話 「新たな影」
二人の大技がぶつかり、相打ちとなった直後、誠司の目の前に現れたのは失踪したはずの兄、武叶だった。
「なんで。なんであんたが。」
「ぐっ‥ぐぅぅ…。」
着装を解除した武叶は頭を抱えて悶えている。
「兄‥さん?」
「ぐっ‥せい…にげ‥。」
「何をしているんだ失墜の戦士。」
誠司と苦しみ悶える武叶の前にガジリオスが現れる。
「ガジリオス! 何のつもりだ。」
「コイツはオレの部下だからな! 強さを求めてきたコイツをオレが最恐の戦士にしてやった。それからコイツは自我を失い、俺の思うままだ。」
「まさか、お前が兄さんを操ってるとでも言うのか?」
するとガジリオスは笑いながら
「フン。どうだか。オレは全てを破壊したいだけ。その目的のためなら何だってする。」
「許して…許してたまるか! 兄さんは解放してもらう!」
「俺も協力するぜ!」
青葉がやってくる。
「身体は大丈夫なのか?」
「おぅ! 完全回復だ!」
「ここで終わらせる。全部!」
「やれるものならやってみろ!」
誠司と青葉はクロスバンドを巻き、それぞれのリングを着ける。
「重装!」
フェニックスフォルムとロックドラゴンフォルムになるとガジリオスに斬りかかる。
「オマエのあのフォルムは使わないのか。」
ノーヴァは一瞬躊躇う。
「使わない…。」
ガジリオスはニヤリと笑い
「ほう。オレを馬鹿にしているのか!」
“牙斬撃”
ガジリオスの胴切りがノーヴァを襲う。
「くっ‥!」
「凰堂!」
“龍牙面崩”
倒れたノーヴァをかばうようにゼロが必殺技を発動。そのまま間合いを詰め、ガジリオスと打ち合う。
「これを使うしかない‥のか。」
(誠司、本当にそれを使うのか?)
「フェニル…。」
(正直に言うと、それを使っている時の私の意識はほぼない。どのような力で強化されているのかは謎だが、それは危険だ!)
「でも、今のこのフォルムじゃ‥ガジリオスにも青葉にも勝てない!」
(誠司…。)
「僕は強くならなくちゃいけないんだ。みんなの明日を守るために。」
ノーヴァの右手には黒いリングが強く握られている。
「やるぞ‥フェニル。」
(やめろ! やめてくれ誠司!)
「超重装。」
(やめろー…!)
フェニルの気配は完全に消える。
「僕が…全部守る。」
ゼロガジリオスの戦っている足元に冷気が走る。
「なんだ‥足が冷たい?」
ゼロが冷気に気づくとガジリオスもそれに気づく。
「ヤット、きたか!」
ノーヴァの存在に気づいたガジリオスはゼロを振り解き、ノーヴァの方へと向かう。
「あいつ、また使ったのか! あのつえぇの!」
(フェニル…オマエは無事なのか…。)
ガジリオスとノーヴァが対峙する。
「オレはオマエを砕く! その心も身体も全てを砕く!」
「僕は負けない。父さんの仇、そして兄さんを取り戻す! いくぞガジリオス!」
ノーヴァは八相の構えからガジリオスに斬りかかる。ノーヴァとガジリオスは激しく打ち合い、互角になっていた。
“氷閃胴葬”
“零鳴衝”
“氷羽残影”
回避などさまざまな技を出し、斬っては斬られお互いの技も多く繰り出される中、先によろけたのはノーヴァだった。
「身体が…冷たい。」
「どうやらここまでのようだな! これで終わりだ!」
“牙斬撃”
ガジリオスの斬撃がノーヴァに向かってくる瞬間、眩い光に包まれ、フェニルの声が聞こえる。
(まだだよ。誠司!)
フェニルのいるノーヴァの心臓部から黒いリングにエネルギーが伝わり色が変わっていく。
「フェ‥ニル。」
(私は君のココロノカミだ! 君が強くなることを望むなら、私も力を貸す! だから、強さにとらわれるな誠司!)
ノーヴァの心臓部からフェニルが飛び出した。そのフェニルの姿は今までの炎を纏った姿ではなく、氷の翼を持ち、霜を纏った姿だった。
「フェニル?」
「このリングに私の力を流し、この姿になることを可能にした。力を合わせて戦おう誠司。」
「あぁ‥すまなかった。フェニル。」
「反省会はあいつを倒してからだよ!」
「わかった! いくぞ。超重装!」
フェニリングのついたクロスバンドの上から蒼く変化したリングを装着し、
“明日の剣士 ノーヴァ アイスフェニックスフォルム“
に超重装を果たす。
「いくぞフェニル。『一緒に』」
(あぁ!)
落ち着いた立ち姿でガジリオスにかかっていく。先程までとは違い、一撃一撃に重みが増している。
「ナンダ‥コイツさっきよりも!」
「僕は正しい力を手に入れた。お前みたいにがむしゃらに力を振るう者とは違う。」
左右の斬撃。足払い、ガジリオスの攻撃を的確に受け流してのカウンターどれも美しさを持った攻撃に変わっていた。
「今度はオレの身体が凍りはじめた…。」
「フェニルと一つになったこのフォルムでの斬撃は受ければ受けるだけ、この氷獄 ノヴェルに纏った冷気で動きを鈍らせることができる。」
「ソンな能力まで…。」
「これで終わりだ。父さんやっと終わるよ…。」
冷気を全身から発し、八相の構えをとる。
「このオレがオマエなんぞに負けるか!」
“牙斬撃・滅”
ガジリオスもそれに対抗して牙を纏った刀を構える。
「今までの日にならない力でオマエを砕く! ブチコワス!」
ガジリオスは大きく振りかぶる。
「終わるのは君だよ。」
ノーヴァは姿勢を低くし、向かってくるガジリオスに向かっていく。
「速さはガジリオスの方が上か‥!」
横から見ていたゼロの目にはガジリオスの方が速く見えていた。
「速さ・強さだけが全てではない。」
ノーヴァは前進しながら刀を少し下ろす。
「確実な間合いで…。」
間合いに入ったガジリオスはり振りかぶった刀を振り翳してくる。
そこに合わせてガジリオスの刀を避け、抜き胴を決める。
“氷閃胴葬”
斬られたガジリオスの身体は完全に氷に包まれる。
「終わり…だ!」
ガジリオスを包んでいた氷が砕け、中に入っていた10ほどのコアと共に全て破壊される。
ガジリオスを撃破した。
疲弊したノーヴァは着装解除。その場に倒れる。
「凰堂!」
青葉が駆け寄ってくる。
(誠司!)
フェニルも元の紅い姿に戻り、SDの姿で誠司を支える。
「やったよ‥。父さん。」
「あぁ! 私たちの力で倒したんだ!」
その時、失墜の戦士であった武叶の意識も戻る。
「あれ、ここは。」
その声に気づいた誠司が起き上がり。武叶に近づく。
「兄さん!」
「誠司…。」
「ナサケナイ。」
抱き合う二人のもとに声が届き、謎のオーラが武叶を包む。
「なんだこれ!」
「おい、てめぇ誰だ!」
龍帝高校の屋上にガタイのいい何かがいた。
「オレは『豪猿帝グランザン』。この小僧は連れて帰らせてもらうぞ。まだ使い道があるのでな。」
武叶はオーラの中で意識を失い、グランザンのもとへ飛んでいく。
「兄さん!」
フェニルがSDフォルムから元の姿に戻り、飛ぼうとする。
「フェニル! 俺を乗せてけ!」
ゼロに変身した青葉が駆け寄ってくる。
「あぁ! いくぞ!」
「(何がくるかわからねぇ。念のため龍鱗結界)」
(いい判断だ。龍悟。)
フェニルに乗ったゼロがグランザンに斬りかかる。
「そいつを返せ! このゴリラ!」
“龍牙面崩”
「弱い。」
グランザンが拳を振るうとフェニルとゼロは吹っ飛び対にあった建物に激突。
「フェニル! 青葉!」
「凰堂誠司よ。時を待て。またオマエの前に現れよう。」
グランザンはそう言い残して姿を消した。
「豪猿帝グランザン…。」




