第14話 「強化練習」
九尾を撃退し、失墜の戦士との戦いを終えたノーヴァとゼロ。フェニルの提案でお互いの技を磨こうとなった二人は翌日、青葉の提案で龍帝高校に来ていた。
「状況は大体わかった。だが、フェニルと誠司、お前らの話す内容からするに失墜の戦士は『影沼先生』である可能性があるんじゃネェか?」
技の特訓をする条件としてドラグの出した、わかっていることを全て話すことをのみ、2人でドラグに話した。
「あくまで、影沼先生が怪しいと言うのは龍帝の鬼崎先生が言っていただけだ。僕はいい先生だと思っている。」
「私も同感だ。」
二人の意見に少し不満を覚えるドラグであった。
「ふんっ。まあいい。オレの方でも少し探りは入れる。」
ピリピリとした空気が流れるところに青葉がやってくる。
「話し、終わったか? 早くやろうぜ! 技特訓!」
「そうだな。やるか。」
誠司も準備をし始めると龍帝の生徒がわらわらとやってくる。
「あれ? 今日って休養日じゃないのか?」
「俺が呼んだんだよ! まあ、ドラグに言われてだけどな。」
「ドラグが?」
「あぁ。オレの提案だ。龍悟がやっている普段の練習。遊びにしか見えなかったが、この前の戦士との戦いの中でこの練習があいつを強くしているのではないかと考えてな。」
誠司はまだ理解ができていない様子だった。
「ま、みてろよ! よっしゃ! みんな頼むぜ!」
そう言うと打ち込みXを着装した青葉が上手の開始線へ。龍帝の生徒3人が下手の開始線へと立つ。
「何が始まるんだ?」
「まあ見てろって!」
ドラグも今日は観戦に回り、誠司とフェニルとともに場外から見る。
竹刀を構えると青葉の雰囲気は変わる。
「あれは僕も知っている青葉だ。あの覇気は常人が持てたものじゃない。」
「ほぅ。お前も感じ取れるのか。アイツの謎の覇気。」
「あいつと初めて戦った時はびっくりした。僕も少し気を抜いたら負けていただろうからな。」
誠司とドラグがそんな会話をしていると青葉が始めようとする。
「よーし! じゃあ始めるぞ! 見てろよ凰堂!」
コクリと頷く誠司。
「始め!」
青葉の掛け声で試合が始まる。
「(今日のあいつの試合スタイルはなんだ。)」
「3人と1vs1ではなく、まとめて相手をするのか?!」
「あぁそうだ。これがあいつの集中力の権化ではねぇかとオレは思っている。」
青葉は試合場の真ん中で構える。
「あいつ、今日はいつもより冷静だ。」
「え?」
「たまに超攻撃スタイルなことがあるからな。スタミナの消耗が激しくなって、集中切れて反則負けの流れだ。」
「なるほどな。」
「だが、今日のあいつは違う見てぇだ。一瞬で決まるからよく見とけ。」
「わかった。」
試合場の真ん中から動かない青葉に対して龍帝の部員が一斉に攻める青葉から見て左から、面、小手、面の軌道で振ってくると見極めた青葉はそれぞれに面払い面(竹刀を表で払って面)、裏で小手払い面、面返し胴の3手で勝負を決めた。
「よしっ! 俺の勝ち! ここまでだな!」
「まだだ!」
「え?」
誠司の言葉にどよめく道場。
「どうしたんだ誠司?」
「あ、いや。今のは打突が軽い。しっかりと当たってはいたが一本とは言えない。」
静まる道場。
「ま、まぁ。3人を同時に相手していたわけだし、打ちが軽くなることもある‥よね?」フェニルが場を和ませようと言う。
「いいや、ソイツの言うとおりだ龍悟。」
「何言ってるんだドラグ。見たろ? 俺の完璧な一本!」
「確かにお前の勝負に対しての覇気は本物だ。だがな、勢い任せなところが多い分、決まり技が少ない! それがお前とコイツの差。攻撃技が一つも身につかない原因だ!」
そうするとドラグが誠司に近づく。
「試合の形式はわかっただろ。お前もやってみな一回よ。」
「あぁ。わかった。」
「龍悟、しっかり見とけ。」
険しい顔をしたドラグが青葉に言う。
「わーったよ…。」
打ち込みXを着装した誠司は上手に立ち、先程とは違う3人が並ぶ。
「え?! 主将やんのかよ!」
「主将?」
「あぁ。君とは一度手合わせしてみたいと思ってたからね。飛び入りで参加させてもらうよ。」
4人が開始線に立つ。そして青葉の掛け声で始まる。
「始め!」
掛け声に合わせて三方向に割れる龍帝剣道部員。
「さっきと違う‥?!」
正面にいた主将が仕掛けてくる。
主将の連続技を全て受け切り、間合いを切る。
「さすがだ。やるね。」
誠司は息を切らしながら言う。
「まだこんなものではない。」
主将の一声の直後、主将の背後から二人の部員が出てくる。二人に気づいた誠司は右側の一人に絞って面を打ってきたところを抜き胴(面を振るときに手元が上がったところに打ち込む)を決める。
「パァァァン!」
道場中に響く誠司が胴を打った音。
「ほんとだ。俺の音と全然違う。いっ‥一本!」
そしてドラグがフェニルに近寄る
「今のがアイツの強さか。」
「いや、違う。誠司の強さはそこじゃない。」
1vs2で試合再開し、今度は二人同時に攻めてくる。
「誠司、目だ! 集中すれば見えるはずだ!」
ハッとした誠司が二人同時に打ってきた面をかわし、二人の背後にいた。
「なんだよ! 今の!」
フェニルはキラキラした目で誠司を見る。
「フェニル…。今のは。」
「誠司の強さ。視力と対応力。」
「(この感じ…完全に掴み切りたい‥!)
「フェニル、頼む! ここで、技を作り上げる。!」
「わかった!」
フェニルは誠司に戻る。
(攻撃技は禁止だよ。)
「わかってる。」
中段を構える誠司に二人が打ち込んでくる。
「(眼を凝らす‥目を…!)見えた!」
“鳳焔影“
そこにいた誠司の姿が一瞬で消える。
「これが、僕の技。」
(やったな。誠司。)
「あぁ、もう一回だ。」
またも打ち込んでくる二人の竹刀を払い、返して確実な間合いをとる。
(くるぞ!)
「(ここは対抗する!)」
小手を打ってきたところが見えた誠司は相小手面(小手に対して小手を合わせ、2段打ちで面を決める)でドンッパンっと強い2段打ちで一本を取る。残すは主将のみ。
「さすがだぜ、凰堂。はえぇ。」
(また鳳焔影やるか?)
「いや、やらない。この主将との1vs1で僕は『本物の速さ』を身につける。」
(わかった。協力しよう!)
「凰堂と主将の戦いか! おもしれぇもん見れそうだな! ドラグ!」
「ふんっお前も技の一つや二つ覚えてくれたらな。」
「覚えてるだろうが!」
「はんっ。どうだか。」
試合場では誠司が主将の連続技に苦戦する。
「つけ込む隙がない!」
(誠司。お父さんとの稽古を覚えているかい?)
「父さんとの稽古‥。」
そして誠司は思い出す。全国予選前日での父・武司との稽古を。
「誠司。困ったら無理に間合いは詰めるな。でも苦しいからじゃない。もし、同じ苦しい状況で相面になったとき勝つのは確実に準備ができていた方だ。お前は特に目がいいからな。もっと『試合場全部』使う意識でやってみろ。」
「そうか。忘れてた。」
思い出した誠司はジリジリと間合いを切りながら攻める姿勢をとる。
「試合場‥。」
誠司の足に力が溜まっていく。
(なんだ。自然とエネルギーが吸われていくみたいだ。)
「アイツ、今とんでもねぇ集中力してるぞ!」
「ドラグ。力貸せ! そして歯食いしばれ!」
「お前‥何を…。…?!」
足にエネルギーを宿した誠司が八相に構える。
「実践で八相だと? 打ってこいとでも言ってるのか? まあいい容赦なく‥。」
打ち込もうとする主将を打ち込みXを着装した青葉が弾き飛ばし誠司の正面に立つ。
主将が弾き飛ばされる瞬間、誠司はものすごい速さで不死鳥の形をした炎をまといながら試合場を縦横に駆ける。
「なんだこれ?!」
主将は完全に腰を抜かしてしまっている。
「ドラグ、これこの前の技で止めれるか。」
(どんなのだ?)
「えぇーっとあの…鉄壁だ。あれだ。」
(フンッ。『あれ』な! やってみようぜ。だが、打ち込みXではお前の体への負担は大きい。)
「てことは今の凰堂は…。」
(あぁ、半分ぐらいフェニルに喰われている感じだな。)
「だったら尚更止めねぇと!」
そう話していると誠司がフェニリングを落とす。それを青葉が拾う。
「これは。」
(アイツのリングか。)
ここで青葉が一つ閃く。
「なあ、これをあいつのクロスバンドにはめれたら少しはマシになるかな?」
(お前まさか。)
「やってみなきゃわからねぇ!」
そう言うと試合場を駆ける誠司が通り過ぎるところを狙ってフェニリングを投げる。
上手くフェニリングは誠司のバンドに装着され、火力が弱まていく。
(上手くいくのかよ。)
「なんだ、これ止まれない‥!」
誠司が意識を取り戻し、ノーヴァ フェニックスフォルムになる。
「今助けてやるからな、凰堂!」
青葉もゼロ ロックドラゴンフォルムになる。
(龍悟、チャンスは一度きりだ。少し今勢いが落ちている。アイツが過ぎた瞬間にアイツの軌道に立ち、その剣を地面に刺して結界、龍鱗結界を張るんだ。)
「そうそれ! リュウショウケッカイだ!」
ノーヴァのタイミングをみて青葉が飛び出す。
「いくぜ! リュウショウケッカイ!」
ロックブレイブを道場の床に突き刺し、結界を張る。危険を感じ、主将が部員全員を道場の外に出し、扉を閉める。
「さぁ来い! 凰堂!」
ものすごい勢いで突っ込んでくるノーヴァ。結界の中でドンと構えるゼロ。二者がついに衝突する。
(解除!)
ドラグが結界を解除し、ゼロのみに集中する。
「なんだこれ?」
(結界のエネルギーをオマエに集中させた。これでオマエの言う鉄壁だぞ。)
「こんなことできたのかよ!」
エネルギーを纏ったゼロが全力でノーヴァを止める。すると、ノーヴァの勢いは落ちていき、次第に止まった。着装解除し、誠司がその場に倒れる。
「凰堂!」
青葉も着装を解除し、誠司の身体を支える。
「大丈夫だ。ありがとうな。」
(すまない誠司。私の力が止まらなくなってしまって。」
「フェニルも気にするな。大丈夫だ。」
すると、フェニルとドラグがなにかを感じ取る。
(なんだこの気配。)
道場の外から悲鳴が聞こえると誠司が一足先に着き、蛇の顔をし、両手も蛇の顔のようになっている怪物の存在に気づく。
(大蛇か。だがやつから人間の気配がしない。)
「完全に取り込まれたのか!?」
(いや、違う。でもなんだこの感じ。)
「ソリャア違うヨ。」
「ガジリオス!」
「そいつは妖刃軍のやつにチョチョイとサイクしたらデキタシロモノだ。」
「てことは思いっきり叩き潰していいってことだな牙野郎!」
青葉も追いつきガジリオスを指差す。
「フンッ。マアソウなるな。」
「だったらやってやろうぜ凰堂! 特訓の成果!」
「あぁ。」
「お前らは道場の中入ってろ!」
龍帝剣道部員たちは少し焦りながらもその場からは去っていく。
「さあ、やるぞ! フェニル/ドラグ!」
(ああ!)
「重装!」
誠司は明日の剣士ノーヴァ フェニックスフォルムに。
青葉は刹那の剣士ゼロ ロックドラゴンフォルムに。
「ヤッチマイナ! オロチ!」
「いくぜ! 大暴れだ!」
ノーヴァとゼロが同時に攻撃を仕掛ける。ゼロはロックブレイブで斬撃を決め、ノーヴァは鳳焔影で姿をくらまして背後へ。そして一撃を与える。
「まだまだいくぜ!」
よろけた大蛇にゼロはドラゴンを纏い、思いっきり体当たる。
“竜衝轟破”
ゼロにぶつかった大蛇は大きく吹っ飛ぶ。
「僕もだ! フェニル今度は頼むぞ!」
(まかせろ!)
ノーヴァは足にエネルギーを集中させ、一気に駆ける。
「新技… “紅蓮翔破”」
不死鳥を纏ったノーヴァが大蛇に衝突し、さらに飛ばす。
「なんかパクってね!?」
(お前のは体当たり技、アイツのは高速移動技だ。まあオマエには無理だな。)
「俺にだってできるわ!」
「出来ねぇだろ。それに気のせいだ。とっとと止め刺すぞ。」
その言葉に焦るゼロ。
「え? 俺技ねぇじゃん!」
「じゃあ僕だけでいく。」
「ちょっとまてよ! ドラグ、新技ねぇか?」
(うちの軽いお前じゃ無理だな。)
「だったら重くすればいんだな!」
ゼロは大剣を大きく振りかぶり、肩に担ぐ。
(オマエ、何を。)
「重けりゃいいんだろ! こうすれば!」
そう言うと腕に全エネルギーを集中し始める。
(なるほどな。このまま面技でオレたちはいくぞ!)
「わかった! 凰堂、俺たちは面技でいく!」
大蛇に向かって走るノーヴァに声を駆ける。
「あいつ、コアが二つある。それを見ていったのか。」
(いや、多分ドラグの入れ知恵だろう。)
「そうだよな。青葉が面なら僕らは胴の方だ。フェニル、頼む。」
(あぁ。いこう!)
(理解したな龍悟!)
「あぁ! いつでも行ける!」
左半身が石化したゼロが八相を構える。
(オレの力に耐えれなければオマエはそこまでだ。)
「わーってる! とにかく一撃で決める!」
ノーヴァにゼロも追いつき、大蛇の目の前まで来る。
「青葉、その姿は!」
「気にすんな! 必殺技発動の代償みてぇなもんだ。」
「…。わかった。一気いにくぞ! 僕が胴、お前が面だ!」
「わーってるよ!」
二手に分かれ、大蛇を挟む。
「喰らいやがれ! “龍牙面崩”」
“炎旋斬”
ゼロの頭の先からつま先まで斬る斬撃、ノーヴァの胴を切る斬撃が決まり、大蛇を撃破する。
大蛇の身体が消え、壊れたコアが落ちる。
そして、ガジリオスがとんできて回収する。
「コレはオソラクマダ使えるな。ドクターにモッテクカ。」
「ドクター? 誰だそれ。黒仮面野郎のことか!」
「オマエラにはカンケイない! だが、オレタチノタメにオマエラはケス!」
“滅双牙“
ガジリオスは牙を乱射してくる。




