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第1話 「僕は明日の剣士。」

 庭の紫陽花が朝靄あさもやをまとって佇んでいる。梅雨の合間の晴れ間、空は青く澄み、少しの湿り気を帯びた風が草の匂いを運んでくるような季節―――。


「おーい! せいじ! 稽古すんぞ!」

元気で張りのあるいい声が家の中で響く。

「なんだよ、たける。こんな朝早くから。」

それとは対照的に眠そうな声でダルそうに返事をする誠司せいじ

「朝早くって、もう8時だぞ! 朝から剣道したら1日楽しく過ごせるぞ!」

武叶たけるに手を引かれ、嫌々に庭へ出る誠司せいじ。暖かな風が吹く中、庭での朝練が始まった。二人が左腕に「クロスバンド」をつけ、バンドについた面のボタンを押すと、体に剣道具が装着そうちゃくされる。

「よーっし! はじめっぞ!」

「はいはい。」

2人がしばらく打ち合っている中で、武叶の小手体当たり(誠司が面を打とうと手元が上がったところの小手を捉えてぶつかる)が決まる。誠司は尻餅をつき、装着が解除される。

「せいじぃ、こんなもんかよぉ。」

がっかりしたような声で武叶が言う。

「この防具、動きづらいんだよ。練習用防具が装着できるからって父さんからもらったけど…。」

「防具のせいにするのは良くないぞ! 誠司。」

縁側で二人の稽古を見ていた父の武司たけしが言う。

「だって、動きづらいのは事実だし…。」

不貞腐れた様子で誠司が言う。その言葉に眉をひそめた武司が、

「今のはいい一本だった。誠司、お前が面を打たなければいけない状態を武叶が作ったんだ。お前が手元を上げたところに確実に小手を打ち込めるように。」

グゥの音も出ない様子の誠司。隣ではニヤニヤした武叶が自信満々に立っている。その様子を見た武司が武叶に目をつけ、

「武叶、今のは小学5年にしてはいい小手だが、まだまだだな。今のまま調子乗ってると誠司に先越されちゃうぞ。」

「おれがせいじに負けるわけないだろ!」

少し怒った様子を見せる武叶。そのまま誠司の手を掴んで

「誠司! もっかいやるぞ! 早く着装しろ!」

はぁ。とため息をつく誠司。


遠くから声が聞こえる。

「…。…じ。…いじ。」

「誠司!」

ハッとした顔をして誠司が目を覚ます。目の前には同級生で同じ剣道部の沢島光さわしま ひかるがいる。

「なに部活前に部室でうたた寝してんだ! 武叶がいなくなって今じゃお前がキャプテンなんだから。しっかり頼むぞ! おーい、みんなそろそろ始めるぞ!」

沢島は道場中に響く声でみんなに声をかけながら去っていった。

「さっきのは夢か。随分と鮮明だったけど。」

大きく伸びをした後に欠伸をしながら荷物を片付け始める。



♢♢♢西暦3000年この物語の主人公の凰堂誠司おうどう せいじ。高校三年生。母親は誠司が小学生の頃に亡くなっている。誠司には兄の武叶たけるがいた。幼少の頃はこれといった成績がなかった誠司に対して、武叶は幼少の頃から剣道界で注目選手として見られる選手だった。そして、高校2年生で夏のインターハイ個人の出場を決めた。その成績から高校三年生になって剣道部キャプテンを任されていた。しかし、先日行われた『高校剣道全国大会予選』の三回戦で誠司と武叶が対戦。面返し胴と出端面の2本で誠司に軍配が上がった。誠司はその後も順調に駒を進め、春の全国大会個人戦への出場を決めた。その日から武叶は姿を消した―。

ここは桜聖おうせい学園。現在の部員数は総勢121人。ここまで大きな無人ったことは、伝説の剣士と呼ばれた「神道獅しんどう らい」がの母校でOBであることも大きいだろう。高校時代、彼は公式、非公式の大会で一度も負けることのなかった無敗の剣士。学園自体は運動部に力を入れている中高一貫校で剣の杜地区の最北端にある。♢♢♢




誠司が部室から凛とした立ち姿で部室から出てくる。出てくる誠司の肩に肘を置きながら沢島が、

「さっきまでうたた寝してたやつとは大違いだな。」

と囁く。

「うるせぇ。とうさ‥、先生は?」

誠司は少し動揺しながらも話を逸らす。

「まだ来てないな。会議長引いてるんじゃないか?」

「そうか。そしたら先に練習始めるか。」

ニカッとした沢島は

「そうだな!」

と言うと、部員の方に駆け寄る。

キャプテンをしていた武叶が行方不明となり、誠司と沢島が部の指揮を行なっている。

沢島が調子に乗った様子で、

「よぉ〜し! 全国決めた凰堂パイセンがみんなをビシバシ鍛えてくれるって言うから! 負けねぇように頑張るぞ!」

威勢よく部員に向かって言っているが、これが沢島なりの指揮のとり方だ。誠司は焦った様子で沢島に、

「ちょっ、お前、あんま調子いいこと言いうなよ。ほんと昔の兄さんに似てるよ。父さんはあんまそういうの好かなかったけど。」

と食い気味に言う。そんな会話をしていると副顧問の影沼宗輔かげぬまそうすけがやってくる。

「皆さん、どうも。」

「こんにちは!」

剣道部部員が影沼に元気な声で挨拶をする。

「みんなは相変わらず元気ですね!」

ニコニコしている影沼。そこに誠司が

「影沼先生、父さんは?」

「父さん? あー、凰堂先生なら会議で遅れるからいつものメニューでやっててくれと伝言と今日のメニューをもらってるよ。」

影沼が稽古メニューの書かれた紙を誠司に渡す。

「わかりました。じゃあ素振りから始めます。」

誠司がみんなに向かって

「みんな。先生は会議で遅れて来るらしい。素振りから始めよう。」

「はい!」

誠司の一声から列を三列作り、上手に誠司と沢島が立ち、上下素振りが始まる。沢島はどこか満足げな顔をしている。素振りを初めて30本目に突入した頃、

「ドカーン!」

と、校舎五階の道場に聞こえるほどの爆発音が聞こえる。道場内が混乱する中、背中に窓を向けていた誠司が窓から校庭を覗くと黒煙が上がっている。そしてその中にいくつかの人影が見える。隣で一緒に校庭を見ていた沢島が校舎入り口を指差して、

「おい! あれ、凰堂先生じゃねえか?」

校舎入り口で、武司が黒いモヤの中に見える集団に向かって木刀を構えている。

「…! 父さん!」

真っ青な顔になった誠司は持っていた竹刀を落としてしまう。誠司は袴を数センチ上げて階段を小走りで駆けていく。

「待て! 誠司! 今お前が言ったところで何ができる!」

沢島の声で誠司は4階と5階の踊り場でピタッと立ち止まる。少し立ち止まった後、階段の上から見ている沢島を見て答える。

「なんでもいいから…今できることをやらなきゃ。父さんを、こんなところで失いたくない。」

一段飛ばしで階段を降りていく。

「待てよ! 誠司!」

誠司を追うように階段を降りていく沢島。道場を振り返って、

「みんなはここで待ってて! 凰堂を連れ戻す。沼セン! そっちは頼むぞ!」

普段とは違ったカッコよさを見た部員と、役目を取られたと感じている影沼が呆気に取られている。すると影沼は、

「それ、多分僕のセリフですよね。沢島くん、くれぐれも気をつけて! みんなは貴重品をまとめて避難の準備をしましょう。私も職員室に一度戻ります。」

影沼も2階の職員室へ降りていく。


 1階に着き、校庭に出た誠司と沢島。二人の目には、昼間では普通だった、1時間ぐらい前まで体育が行われていたはずの校庭が焼け野原になっているのが映る。二人はその光景を見て呆然としてしまう。

「嘘だろ。俺たちの学校が…。」

今まで聞いたこともない絶望に満ちたような声で沢島は言う。誠司は辺りを見渡し、父・武司の姿を探す。

「お前たち、何しにきたんだ! もうだめだ。今すぐに避難するぞ!」

体育教師が声をかけてくる。

「父さん…凰堂先生は!」

誠司は体育教師に息を切らせながら言う。それに対して体育教師は

「あの炎の中だ。木刀一本で恐竜みたいな怪物に立ち向かっていった。」

「なんで…、」

誠司は体育教師の胸ぐらを掴んで

「なんで、止めなかったんだ!」

体育教師は息を呑み、誠司から目を逸らす。その反応を見た誠司は袴の裾を腰に巻きつけ、落ちた木の棒を手に持つ。

「お前、どうするんだよ。」

沢島が弱々とした声で言う。誠司は覚悟を決めたような表情で

「沢島、あとは頼んだ。父さんを絶対助け出す。」

そう言うと、炎の中に去っていった。


************************


炎の中、木の棒で炎を振り払いながら進む誠司。火がはけている空間を見つける。誠司の目に映ったのは普通では考えられないものだった。炎に囲まれた中で武司を見つける。しかし、誠司の目の前で武司と面していたのは、恐竜のような顔。左右の手のは牙のようなものが生え、その牙を噛み合わせている。そんな怪物だった。誠司の足は前に進もうそしても進まない。

(なんでだよ。動けよ、僕の足! てかなんだよあの怪物。このままじゃあいつに父さんが食われちまう。)

そのような思考をしていると武司が誠司の存在に気づく。

「誠司! 何をしている! 早くここを離れろ! お前が来るようなところではない!」

ものすごい気迫で誠司に言う。

「でも、このままじゃ父さんが…。」

会話をしていると怪物が誠司を標的にする。

「オレの獲物になりに来たやつが増えたか。クイ散らかしてヤル!」

両手を合わせると恐竜の顔のようになり、その口から牙のようなものが乱射される。乱射に合わせて誠司の方へ体を裁く武司。次の瞬間、武司は木刀で全ての牙を弾いた。

「大丈夫か? 誠司!」

腕を顔の前で重ね、防御の姿勢をとっていた誠司はその手を解き、顔を上げる。目の前には肩から血を流す武司の姿があった。

「父さん!」

「大丈夫だ! これくらいの傷。お前から胴外されて太ももに当たった方が痛かったよ! それに、ここからが本番だ。よく見とけ誠司!」

武司はポケットから面のイラストが描かれたバンドを出し、腕に巻く。

「それは…クロスバンド?」

誠司は不思議そうな顔をしながら尋ねる。

「まあ、見てろって!」

ふぅーっと深呼吸すると武司は今までに見せないくらい鬼気迫る表情となり

着装ちゃくそう!」

と唱え、バンドのスイッチを押す。剣道具を模した装甲が武司の体に纏う。

「やっぱクロスバンドだし、昔父さんが作った『打ち込みくん』じゃん。」

ふっと笑った武司が答える。

「これはお前たちが使ってたクロスバンドとはちと違うぜ? 影沼先生と一緒に作った改良版だ。まだみんなには言ってなかったけどな。」

「見た目が変わっても状況は変わらんゾ。オレが喰い散らかす!」

「誠司、下がってろ。こいつのお披露目会だ。」

誠司は少し離れたところまで下がり、武司を見守る。怪物が地面に手をつくと地面から煙のようなものが湧き、刀のようなものを持ってウネウネと動く影が10程現れる。

「こいつらは『妖刃軍』。オマエごときこいつらで十分ダ。」

「こりゃ多い。骨が折れるねぇ。でも、」

木刀が展開し、中から刀が出る。武司は八相の構えをとると連続で妖刃軍を斬っていく。一撃が浅かったのかすぐに妖刃軍は立ち上がってしまう。

「くそ、力が足りねぇか。だったら奥の手だ。」

武司は胸に手を置き、心の中で唱える。

(頼む。俺に力を貸してくれ。目覚めてくれ『ココロノカミ』‥!)

しかし現実は何も起こらず、妖刃軍に切り付けられる。

「くそっ。俺ではダメなのか。」

「ナニをゴチャゴチャ言ってるのか知らねぇが、ココまでみてぇダナ。」

妖刃軍が武司を取り押さえ、正面に怪物が立つ。

「父さん!」

隠れて見ていた誠司が飛び出す。しかし、誠司もまた、妖刃軍の残党に取り押さえられてしまう。怪物は取り押さえられる誠司を見て、

「これはお前の父ちゃんなんダナ。いいだろう、せっかくダ。目の前でサヨナラさせてヤル。」

「やめろ!」

必死に抵抗しながら振り解こうとする誠司。怪物は牙のついた両手を振りかぶる。

「“滅竜牙“(メツリュウガ)」

両手で噛み付くように武司の腹を裂く。武司の着装が解除され、元の姿へと戻る。

「父さん!」

誠司は涙を浮かべながら妖刃軍を振り解き、武司の元へ駆け寄る。だが、武司はもうほぼ息をしていない。

「父さん、嫌だよ。だから止めたのに…。」

大粒の涙を流しながら父に語りかける。武司は閉じそうな目で誠司を見ながら

「泣くな。誠司。」

「いやだ。嫌だよ!」

武司は左手首からクロスバンドを外すと、誠司の手に渡す。

「こいつは改良したクロスバンドだ。小さい頃におめぇが前のは、動きずれぇ、嫌だって文句言ってたからな。そいつは動きやすい上に頑丈にできてる。あのキバヤロウの攻撃は防げなかったけどな。」

「嫌だよ。父さん、死なないでよ! 僕の全国見届けてよ!」

泣きじゃくる誠司に、にっこりと笑いながら武司が返す。

「お前はもう大丈夫だ。俺が保証する。影沼先生は街がこれから怪物で溢れると言った。それから俺たちは防具改良、そして街のためにクロスバンドを改良した。これからの凰堂家を、剣道部を、世界を任せたぞ。誠司。」

そういうと武司は息を引き取った。絶望に溢れた顔をする誠司。

「父さん…。」

怪物が誠司に声をかける。

「感動のお別れは終わったカナ? 次はお前ダ。」

牙を合わせ、乱射の構えをする。

「僕は…。負けられないんだ。」

クロスバンドを左手首に巻き、着装の構えをする。

「着装!」

剣道着のような紺でずっしりとした印象を持つアーマーが装着される。装甲を身に纏った誠司は父の持っていた刀を手に取り、乱射された牙を弾く。その剣捌きをみて少し驚く怪物。

「ナカナカやるジャネェか。何度来たって同じことヨ! お前に俺は倒せナイ!」

怪物は妖刃軍を呼び出し、攻撃の指示を出す。

「僕は負けない。」

武司と同じ八相の構えをとり斬りかかる。『ドクン』と心臓がなるが、振り切って妖刃軍を次々と撃破していく。

「さっきのヤツは倒せなかったのにナゼ。」

右・左と軽快な足捌きともに連続で倒していく。しかし半分倒した頃に誠司は全身の力が抜けてしまう。

「なんで、急に力が…。」

目の前が真っ暗になった。しかし、怪物の目には炎の柱が誠司の体を包むのが見えた。誠司を囲う炎に焼かれ、妖刃軍の残党を全て撃破する。

誠司は目を開けるとそこは真っ白な空間だった。

「僕は負けたのか。ここは天国か。」

「違うよ、凰堂誠司。」

聞き覚えのない声が聞こえる。

「誰?」

「私は、君の心に宿る神様さ。『ココロノカミ』の『フェニル』という。」

「ココロノカミ。フェニル。」

「君の気持ちが僕を君の体にリンクさせた。ここからは私も一緒に戦おう。」

「でも、僕は死んだんじゃ。」

「君はまだ死んでないよ。ここは妄想世界みたいなものさ。君の肉体は私の炎で守っている。さあ、現実に戻ろう。」


 誠司は現実で目を覚ますと炎に囲まれていた。

「なんだ。また炎かよ。」

(違う。これは君を守る炎だ。さあ、右手の持った“フェニリング”をバンドにつけな。)

「こうか。」

クロスバンドにリングをつけると発光。

(さあ、『重装じゅうそう』だ。)

「重装。」

リングを回転し、スイッチを押すと誠司の心臓部から3メートルほどの不死鳥が飛び出る。

「私がフェニルさ。」

飛び回り、周りの炎全てを吸収。誠司の剣道具の装着は解除され、空中に舞う。そこにフェニルがイン。完成した重装具は誠司に装着される。

“明日の剣士ノーヴァ フェニックスフォルム”

「なんだこの防具。」

(防具じゃないよ。フェニックスアーマーさ。)

ベースとなった打ち込みくんに比べ、不死鳥を連想させる赤とオレンジ、袴は白に変わり肩にもアーマーが装着される。胴の縁の中には不死鳥の紋章が刻まれる。そして、持っていた刀にも不死鳥らしく、竹刀らしくもある見た目に変わる。“不死剣ふしけん ノヴェル”

炎がはけ、遠くからは沢島、教師陣が見守っている。沢島は唖然としながら

「なんだ怪物の他にもう一人…?」

「おい、あそこに凰堂先生が!」

体育教師が指差して言うと、周りにいた教師陣も動き出し、運びにいく。

「これ本当に強くなってるのかよ。」

(安心しろ。私の力が装甲には宿ってる。)

「ごちゃごちゃうるさいゾ。チレ。」

牙の乱射をさらに拡散し、広範囲となる。避けようとした誠司だが、あることに気づく。

「‥!? 狙ってるのは僕だけじゃない…!」

無数の牙は武司を運びにきた教師たちも狙っていた。

「これじゃ先生たちが!」

(剣のレバーを展開して柄にあるスイッチ押してみろ。)

言われた通りに操作すると剣全体にエネルギーが流れる。

(牙に向けて思いっきり振れ!)


焔突ほむらづき


溜まったエネルギーが怪物、牙に向かって竜巻のように吹く。牙は消し飛び、攻撃は怪物に当たる。

「くっ。なんダ。これワ!」

竜巻に飲まれた怪物は体が空中から落下。少し弱りながら

「オマエいったいなんなんダ。」

考え込んでしまう誠司。その隙に牙を数本怪物が撃つ。全弾ヒットしてしまい、倒れる誠司。

(大丈夫か誠司。君は今日からヒーローだ、世界を救う。)

「なかなか痛いな。世界か。そうだな父さんと約束したんだ。やってやる。」

(そうだ! 剣道界に突如現れた新星で『ノーヴァ』なんてどうだろう。)

フェニルからヒントを得た誠司は起き上がりながら怪物に剣を向けながら言う。

「ノーヴァか。僕は父さんと約束したんだ。みんなの明日を守る剣士。妖は僕が全部倒す。そして、この姿の僕は『明日の剣士ノーヴァ』だ!」

「ハハハ! ノーヴァか。その名前覚えておくゾ。」

怪物はそういうと煙に隠れて姿を消した。

(逃げられた。でも残党は大量にいる。)

「まとめてここで倒す。みんなは校舎の中に!」

沢島、体育教師をはじめ、教師陣は全員武司を担ぎ、校舎の中に入っていく。誠司は刀を八相に構え、斬りかかる。剣裁きはまるで剣道のように正面斬り、胴切り、正面から突くなど様々な剣裁きを見せる。

「本当に多いなこいつら。」

(だったらさっきのでいこう。)

「そうだな。」


「“焔突ほむらづき”」

(“焔突”)


巨大な炎の竜巻が起こり、ノーヴァとフェニルが同時に叫ぶと、妖刃軍の残党を薙ぎ払い、全滅させた。

リングを取り、クロスバンドを長押しすることで着装を解除する誠司。

剣道部の部員や、職員全員、そして沢島たちは昇降口から誠司を見つめている。それに気づいた誠司は沢島たちに向かって親指をたて、「グッド」のポーズ。歓喜に溢れる学校全体。昇降口前にいた人は全員飛び出し、校庭に集まる。

(よかったな。)

「あぁ。」

スッと溢れた声に沢島が問う。

「なんか言ったか?」

誠司は少し疑問を持ちながら

「なんでもない。」

と返す。

「なんでもみんな無事でよかったです!」

影沼が今にも泣き出しそうな顔をしながら誠司を見て言う。

そして、今回の件を含め、学校は1週間の休みを取ることになった。


*************************


「さあ、ここからが本番だな。」


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