第1話 最期の宣告
こんにちは糸十です。
小説家になろう1作目のファンタジー小説を連載していきます
暖かく見守っていただけると幸いです。
"悲しいお知らせがあります"
"悲しいお知らせがあります"
"この世に生きとし生ける生命のみなさまへ"
"最後の陳述となります"
"この世界の神様は、消滅します"
"この世界の神様は、消滅します"
"神たる全能の力の源から、この世に生きとし生ける生命のみなさまへ"
"一身上の都合のため最後のご連絡となります"
一夜を過ごしていた人々も。
家畜も。動物野生の動物たちも。
草木までが星空を見上げるように顔を上げ、脳内に響くこの放送に耳を傾ける。
世界が、たった数十秒間、停止した。
その1秒後。
地響きに近い巨大な爆発音が、世界のあちこちで連続して巻き起こった。
世界は瞬時に土と煙にまみれ、灰色の荒廃へと姿を変える。
逃げ惑う人々。
荒れ狂う動物。
灰と化した植物。
これまでの文明と生命が、連続して砂塵となって炎の中に崩れていく。
全能神による一斉放送はすぐさま世界を崩壊させていった。
大気を司る女神レイシャルは、そんな終末と化した世界で暴風となって世界中を駆け巡っていた。
全能神による"最期の宣告"を、レイシャルは信じることができなかったのだ。
光を集めた新緑の長い髪がうねるように揺れ、レイシャルはその姿をまるごと風に変形した。
暴風と化したレイシャルは、この星の隅から隅までを大地を強く撫でるように通り抜ける。
その姿は大地に突風が巻き起こり、地域によっては竜巻による被害も出続けた。
生命のために吹く風ではない。
何を巻き込んでも構わない。止んでは通り過ぎ止んではまた通り過ぎる。
ーーその繰り返しだった。
(いない……いない。どうして…どうしてどこにもいないの)
大気の女神レイシャルは全能神を見つけるまで、永遠にそうするつもりだった。
風の音を聞きかねた、音を司る女神ピューニャは、ようやく声をかける。
声をかけるといっても先ほどの全能神同様に直接語りかけるものであり、少し躊躇しつつもピューニャは重い唇を動かした。
「レイシャル。探しても無駄よ。あきらめなさい」
ピューニャの呼びかけにレイシャルは無言を貫いた。
全ての力を全能神の捜索に優先して使っていたからだ。
「ちょっと、聞こえているんでしょうね?」
無視
「まあいいわ。真面目すぎるあなたが何度世界を周回していても、お父様はいないようだから。それと……先ほどの暴風で、私が管理していた家畜が数頭“行方不明”になった記録があるの。
世界の状況は十分把握できたし、もう降りてきたらと思って」
風が止み、木々がようやく落ち着きを取り戻した。
世界から風が途絶え、その後に悲しげな夜風が吹いた。
大気の女神レイシャルはするすると人型の姿をとりもどし、名前も覚えていない牧草地帯で動きを止めた。
全能神の不在を、音を司る女神ピューニャが口にしたからだ。
「聞く気になったかしら?」
レイシャルは返事をしないまま、ピューニャの元へ飛んでいく。
夜風も共に北に方向を変えた。
レイシャルはピューニャの住む森に向かう道中、全能神のことばかり考えていた。
最初は、最初の頃は目が雄弁に語る少年だった。大気を司る神としての人格が全能神によって作られた時、全能神はどんなことを言っていたのか、
遠い昔の話で全能神との思い出を、思い出すことができなかった。
この前会った時は、あの時は、と全能神のことを考えるのを止められなかった。
最後まで読んでくださりありがとうございます。




