64:執事「もう結婚しろよイスカルくん!」
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悪徳領主のイスカルくんから滞在許可をもらえた。いや~持つべきものは気の置けない悪人だな。
「んじゃ、お邪魔するぞ~」
「邪魔するな帰れッッッ!」
「嫌よ嫌よも好きの内っと」
「なんだその狂った理論は!?」
ギャーギャーといつまでもうるさいイスカル。一回許可したくせにタマの小さい男だ。一緒に風呂入った限りはデカかったのに。
その反面、ヤツの側にいつの間にやら現れた老執事・セバスチャンさんは、「ようこそおいでくださいました……!」と嬉しそうに俺を出迎えてくれた。
「一日千秋。サラお嬢様がイスカル様と共に住んでくださる日を、ずっと待っておりました……!」
「吾輩は待ってないぞっ!?」
「さぁさぁ、どうぞ屋敷の奥へ! 日当たりのいい客室からイスカル様の寝室まで好きな部屋をお使いください!」
「貴様は何を言っておるのだ!?」
相変わらず愉快で気さくな執事さんだ。
よく『イスカル様は悪人面で性格ゴミゆえ結婚相手が見つからず、ああ、どこかに聡明で麗しく、彼と対等に言い合えるようなお人はいないものか~』と俺に相談してくるしな。
「世話になるぞセバスチャン」
「ははぁッ、サラお嬢様! イスカル様ともども、アナタ様を歓迎いたします!」
「吾輩はせんぞっ!?」
◆ ◇ ◆
ハイ久々にやってきましたイスカル邸内。普段は執務室に直行だが、今日は客間に案内してもらってる。
「この廊下いいなぁ」
珍しい調度品や絵画は多いけど、あんま下卑た感じはないんだよな。白を基調としていて清潔だし。
「お前の家って博物館みたいだよな」
「って吾輩ももっとギラギラで豪勢にしたいであるよっ!」
うわキレてきた。
「くっ……なのに貴様が『たまに領民に中を歩かせろ』と言ったせいで、あからさまな贅沢ができないんであるよぉ……!」
「そういえばそうだった」
俺の勧めの一つだったな。
「入館料を少し取り、月一で見学させてるのだったか」
「フン。ガキの小遣いでも入れる程度の額だ。ろくな稼ぎにならんわ。その上、その日はわんさか領民が来るせいで、うるさくて別館に逃げ込むハメとなる。もうやめたいである」
「それはダメだ」
領主邸に民を招くこと。その第一の利点は稼ぎじゃない。
「人は不透明な金持ちが嫌いだからな。特に貧しい人間ほど『どうせ裏でなにかやってるんだろう』と考える」
「吾輩は何もしてないである」
「違法薬物作ってただろうがバカ」
ケツをべしんと叩いてやった。「痛いである!」とガチギレするイスカル。その反面、案内中の執事さんはニコニコ笑顔だ。これが器の差ってやつだな。
「だが逆にだ。自分から門戸を開けた相手には、信頼を向けるのが人情ってもんだ。たまに家を見せるだけで民衆に好かれるし小銭も稼げる。万々歳じゃないか」
「成功した実例はあるのか?」
「織田信長」
「誰であるかっ!?」
そういうスゲーおっさんがいたんだよ。『魔物』なんて存在が現れない、本来の歴史にはな。
……そういえば魔物が現れたのは十世紀そこらで、そっから五百年経ったのが今だから、現在はちょうど戦国ごろか。
織田信長、日本全滅してなきゃコッチでも生まれてたかもな。うわ会ってみて~。
「まぁ成功例はあるってことだ。それでもやめるか?」
「チッ。貴様は好かんが、もたらす知識だけは正しいからな……」
これからも続けてくれる気になったようだ。
よかったよかった。お前は気兼ねなく言うこと聞かせられる相手だからな。
反逆されて領主交代になるのは困る。
「今度はお前から領民に歩み寄ってみるといい」
「はぁ? わざわざ挨拶周りでもしろと?」
「そうじゃない。人は、少しでも『繋がり』を感じればコロッとファンになってくれる。たとえば民衆行きつけのチェーン店でも利用してみろ。親近感増してさらに好かれるぞ」
「い~~や~~で~~あ~~る~~!」
ガキみたいな断り方してきた。なんでだよ。
「まずいと思うからか? 最近はどこの飯屋もレベルが上がってきてるんだが」
「そうではない。……もしも毒を盛られたら、どうする……!」
「なに?」
「わ、吾輩はっ、セバスチャンの用意した飯以外食いたくないのだ!」
どこかビクついた様子のイスカル。彼の妙な反応に、執事のセバスチャンも痛ましげだ。
……ふむ。なにかあったのかは知らんが、悪人面のくせにビビってるのかよ? 馬鹿だなぁ。
「フ、この怖がりめ」
脇腹をツンと突いてやる。不意にビックリさせることで、彼の震えを止めてやった。
「ぬぁっ!? き、貴様なにをっ」
「一緒に行くぞ、イスカル」
「む……!?」
怖がる必要なんてないさ。
「その時は、私も一緒に食事してやる。私が側にいる限り、お前に害は与えさせんよ」
「ぬぐっ……!?」
俺は最強の邪龍だぞ? 俺の側で傷付くことなんざ、逆に難しいと思っておけよ。
「そういうわけだ。少しは安心したかイスカル?」
「しっ、ししっ、しとらんわボケがっ! というか誰が貴様とメシなんざ食うかっ!」
「忘れたのか? 今日からしばらく一緒だろうが」
「って、ぬぁぁあ~~~そうだったぁ~~~……!」
怒ったり頭を抱えたりするイスカル。まったく騒がしいビジネスパートナーだ。
「……よかったですなぁ、イスカル坊ちゃま……!」
そんなイスカルに対し、執事さんはなぜか泣き笑うような表情を浮かべていた。
・固唾を飲んで見守っていたバジ子(へ、陛下はオスさえも攻略しようとしている……ッ!?)
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