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58:ファーストキスっ♡ ……を見ちゃった俺





「「ごぼああああああああああ!!!?」」


「お前らー!?」



 【悲報】なんか知らんけど双子姉妹が憤死した。



「に、ニーシャちゃんとクーシャちゃんが死んだぞぉおおーー!?」「口とケツから血がでまくってるぅー!?」「スキル≪死因鑑定(ファイナルチェック)≫発動! 死因は、寝取られッ!?」



 途端に騒がしくなるギルドハウス内。みんな混乱してるがプロの冒険者だ。すぐさま回復効果のある霊草薬を飲ませようとしたり、医者を呼びに行こうとするが、



「も、もう間に合わない。完全に心臓が止まってる!」



 どうやら二人は手遅れらしかった。


 っておいおいおいおいおい!?



「いやなんで急に死ぬんだよ二人とも!?」



 そういやギルド来たときなんか言ってたな。好きなヤツをピンクの爆乳女に寝取られる幻覚見たとか。

 つまりピンクで爆乳なアネモネのこと見て、ショックがぶり返しちまったのか!?



「って考察はいい。おいみんな、なんとかして二人を助けれないか!?」



 冒険者たちを見渡すも、みな首を振るばかりだ。


 かくいう俺もちときつい。レズお嬢様を救ったときみたく毒や病魔を焼いたりは出来るが、死者蘇生はなぁ……。



「こうなったら『死』の概念を焼けば」



 と無茶をしようとしてた時だ。不意に、腰の上の聖女が「アネモネの出番ですねぇ」と立ち上がった。



「ってお前、どうする気だよ?」


「うふふふふ、お忘れですかジェイドさん? アネモネが渡した『聖水』の力を」


「聖水って……ああ、あれかぁ……!」



 女性の細胞を新生させるというアネモネの体液だ。なお汗とか血とかじゃなく……、



「アネモネ、ちょうど裸ワイシャツですしね~~パンツ穿いてないですしね~」


「おい待て」


「ジェイドさんに効果も見せたかったですし、タイミングいいですよねぇ~!」


「いや待てッ!」



 おいおいおいお前なにニーシャとクーシャに近づいてる!?


 顔の前に来て、大股を広げて、おい何しようとしてるッ!?



「うふっ、うふふふふふふ! アネモネ、初潮前の女の子が一番好きですが、十三歳ごろのホルモンバランス崩れ始めたロリも大好物なんですぅぅ~~!」


「黙れロリコン! おまっ、まさかッ」


「では双子姉妹ちゃんに、アネモネのクチビルと癒しのチューーーーーーッでぇぇすっ!♡」


「腰を落とすなぁーーーーーー!?」



 ――そうして交わされる聖女の接吻。



「うへへへへえっへへへぇ~~~~~~~!♡」


「ニーシャッ、クーシャァァアア……!」



 それからなんやかんやあって、急死していた二人の顔に朱色が戻り、やがて「「んあ~……?」」と間抜けな声を出して起き上がった。



「あれ、私たち寝てたのぉ……?」「ん~、よく覚えてませんがそのようですねぇ?」


「よ、よぉ二人とも」


「「ってお兄さんっ!?」」



 高速で口元を拭ってシャキッとする二人。大嫌いな俺に無防備な姿は見せたくないんだろうな。



「うわ最悪っ、なんか私たちめちゃヨダレ出してた~!?」「お兄さん見ないでくださいッ!」


「そ、そうだな! ソレは間違いなくヨダレだよ! なぁ、冒険者のみんな!?」


「「「あ、あぁっ!」」」



 俺たちは心に誓った。


 治療『行為』後、受付嬢のミスティカにギルドから叩き出されたアネモネ。


 彼女がこの二人に一体なにをしたのかを……!



「ふ、ふ、二人とも、目覚めの気分はどうだ? 気持ち悪かったりしないか?」


「「ん~、むしろちょっと最高かも♡」」



 なんだと?



「実は私たち~!」「大好きな人に、ファーストキスを捧げる夢をみちゃったり~!」



 う、うっわぁああああぁぁぁぁああ……!



「「「アレ、ファーストキスだったんだぁあああああああ……!」」」


「「ってなんなのみんな!?」」



 俺たちはしばらく、ナマイキ姉妹に優しくすることにしたのだった。



 ◆ ◇ ◆




「酷いものを見てしまった……!」



 はいというわけで十秒後。


 気分を変えたかった俺は、『邪龍ハイパーダッシュ』で『開拓都市アグラベイン』にやってきた。



「前はクソ汚かった街だよなぁ。でも」



 その様相はすっかり様変わりしていた。


 匂いは臭くなく、石畳の地面もほどほどに綺麗だ。住民らも身ぎれいになった気がする。


 糞尿が路地裏に撒かれてということもない。薄汚い中世の街から、観光地みたいな古都に進化したって感じだな。



「よかったよかった。ギルドマスター・アルベドの領主になりたいって願い、叶えてやった甲斐があったよ」



 ま、俺がしたのはウチの辺境伯・イスカルを脅してアルベドの就任に賛成させただけだけどな。


 あれから上手くやってるようだ。



「うーし、じゃあ特級存在のロダン探すか~」



 パンツ盗んで食ってるオッサンだ。なんか人化できる魔物集団に狙われてるらしいので助けてやる。



「おーいロダンでてこーい。正直嫌だけど会いに来てやったぞ~」



 などと適当に呼びかけながら歩いてみる。すると、



「むむっ! アンタ、怪盗ロダンの知り合いっすか!?」


「おん?」



 曲がり角からピョコンと、犬耳を生やした女の子が出てきた。


 おー。



「ロダン、お前可愛くなったなぁ~」


「って違うっすよッ!?」



 どうやら違うらしかった。じゃあお前誰だよ。




 



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― 新着の感想 ―
[一言] え、えぇぇぇぇぇぇ!? …ここ全年齢のなろうだよな?(今更) ニーシャちゃんとクーシャちゃんがヒロイン枠から数ミリずつズレていってるのわかります!?ヒロインは血吹かないよ!? ここで俺に…
[良い点] アネモネ女史の粘膜と双子ちゃんの粘膜がウルトラタッチ…なんだろうこの『世界一望まれてない百合』とでも表現したくなる光景はwwww
[一言] 血液を直接操作出来るから心臓止まっても問題ナッシング!なキャラ出してください! 異名『恐ろしく死んだふり上手な〇〇』だったら超面白くないですか?!?!
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