56:ジェイドVS全裸突撃アネモネさん!
「しかし『黒亡嚮団』か。ヒトに紛れて暗躍する魔物連中とは、厄介だな」
街を歩きながら思う。こりゃ水面下で色々動いてそうだなと。
「少し前、マフィアの連中がどこぞの『商人』から邪龍の呪毒を与えられた件。そいつも関係してるかもだな」
最凶たる邪龍種から毒を掠め取るなんて至難の業だ。
そんなもん仕入れられる商人がそこらへんにいるか。
だが、
「その商人自体が邪龍種かその眷属なら、手に入れるのも容易な話だ」
だとしたら辻褄が合う。
領主ブラエを生殺しにして、マフィアに街を支配させて治安を乱せば、間接的に多くの人間を苦しめることが出来る。
手を汚さずに人類の勢いを削げるわけだ。
「こりゃ本腰入れたほうがよさそうだな。じゃ、まずは七大特級の居場所を調べてみるか」
人類繁栄の要たる七名。今や『黒亡嚮団』のターゲットにされているという話だ。
そいつらの現在地を探るために、俺は冒険者ギルドに出向くことにした。
◆ ◇ ◆
「うわ出たッ、ジェイドだ!」「女子供を隠せー! こいつはクソヤバ女でも見た目最高なら食うぞー!」「じぇじぇじぇじぇじぇジェイドさんマジパネェッすチッスチッス!」
「何だこの扱いは」
……なんか冒険者共からめっちゃ戦々恐々とされてるんだが。
俺、なんかしたか?
「よぉ~~うジェイド!」「こんにちわでござるー」
戸惑う俺の下に美形二人がやってきた。
メスショタ系悪友のルアと、黒髪美剣士のシロクサだ。
一見すると美少年か美少女な二人だけど、こいつらいい年の野郎なんだよなぁ……。
「よぉお前ら。なんか俺、変な注目浴びてるんだが何なんだ?」
「ンぁ? オメェマジで言ってるのかよ。嫌味かオォ~ン?」
「ジェイド殿の活躍は聞いてるでござるぞぉ~このこのぉ~!」
げしげしと肘で突いてくる二人。うぜぇ。
「「さぁさぁジェイドさん、座って座って」」
二人に席に付かされる。本当になんだこの扱いは。
「いやマジでなんなんだよ……」
「そりゃオメェ注目もされるだろ。だって、あの『聖女アネモネ』を彼女にしたんだろ?」
「は、はぁあああッッッ!?」
いやいやいやいや意味わかんねーよ! 何言ってんだルア!?
「いやぁついにヤりやがったって感じだな~。オメェ、あちこちのルックス最高だけど変なオンナ堕としまくってきてたしよぉ~」
堕としてねーぞ!?
「ふふふ、よもやあのロリコン特級聖女殿を射止めるとは。近づく男をことごとく幼女にしてきた危険人物でござろうに」
「勇気ありすぎて嫉妬も湧かねーよなー」
「尊敬するでござるなー」
いや待て待て待て! だから何だよその話は!?
「待てお前ら、誤解だって」
「隠すなっての。劇場前でオメェがアネモネ鎮めてメスにするとこ、めっちゃたくさんの人が見てたらしいぜ?」
「鎮めはしたがメスにはしてないぞ!?」
「なんか裸で絡まれたりエッチな液体を渡されたと聞いたでござるが?」
「クソッ、それは事実だコンチクショウ!」
その二つだけは否定できねぇ~!
「あーあー、ルアくんは悲しいぜ。独身仲間のジェイドが真っ先にゴールインかよ」
「いやいやルア殿。噂ではこの男、ロリ爆乳義妹と同棲中らしいでござるぞ? 他にも狙っている女性が複数。これは熾烈な争いになるやも」
「おいおい正妻戦争かよ。ジェイドの引っ掛けてくる女って変態で戦闘力高いヤツ多いから、こりゃ血の雨が降りそうだな……」
お前ら好き勝手に言ってんじゃねーよぉ……!
「クソッ、お前らよく聞け。誤解だ誤解。同棲ピンクはともかく、アネモネとは何の関係もなくてだな」
「――あらあらぁ。いま、アネモネの話をしましたかぁぁぁ?」
その時だった。ヌルッという異音と共に、『聖女アネモネ』が俺の膝の上に生えてきたのだ。
跨るような形で、裸で。
「「「って、うわああああああああーーーーーーー!? ジェイドの野郎ッ、いきなりクソヤバ聖女と正常位はじめたァーーーーーーッ!!? パネェーーーーー!」」」
「はじめてねーーーよ!」
いきなり生えてきただけだよ!
「おいアネモネっ、お前どういうつもりだよ!?」
「うふふふふふふ、ただジェイドさんのぬくもりを感じに来ただけですよぉ」
「「「純愛彼女だぁーーーーーーーーー!?」」」
彼女じゃねーーよ!
「ああ、あたたかい……。人肌のぬくもりと肉の感触……。やっぱりジェイドさんに触れると、アネモネも感じられるようです」
「あー、そういえばお前なんか言ってたな。感覚がほとんどないだの」
経緯は知らんがそういうことか。
邪龍の体内には『万象滅却の炎』が渦巻いてるからな。
全ての存在を燃やせる熱であるがゆえ、魂にだって触れることが出来る。だから肉体の神経が死んでいようが、魂を通して感覚を味わえるわけだ。
「これでジェイドさんが幼女だったらいいのに。そしたらアネモネお嫁さん不可避です」
「ソリャ残念ダッタナー」
その気になれば変身できることは黙っておく。ロリコンの嫁なんざ絶対回避だよ。
「これからも、寂しくなったら感じに来ていいですか?」
「ぶっちゃけ嫌だが……」
……でもまぁ、何も感じない世界ってのは辛いだろうな。
温かさがわからない。柔らかさがわからない。もしかしたらメシの味もわからないかもしれない。そんな生活を送っていたら『生きてる実感』がどんどん薄れていくんじゃないだろうか。
コイツが簡単に暴走しようとしたのもそのせいか。もはや他者の痛みや現実感がわからなくなり、心が限界を迎えてしまったサインかもしれない。
ならば、
「……わかったよ。俺でよければいつでも感じに来い。ただし裸でベタベタするのはやめろ」
「アネモネのことが、嫌いだからですか?」
「違う」
スキル≪収納空間≫発動。そこからシャツを取り出し、裸の彼女に羽織らせる。
「お前が一応、女の子だからだよ。もっと自分を大切にしろよ?」
「ッッッ――!?」
お、常に薄ら笑みの顔がなんか固まった。
……やっぱロリコンだからなぁ。男のシャツなんざ不快だったか。失敗しちゃったなぁ。
「「「ジェ、ジェイドォーーーーーーーーーーッ! お前そういうところだぞぉおおおーーーーーーー!!!」」」
ってなんなんだよ冒険者共!?
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