54:ロリコンメシア・ジェイドさん!
「さぁさぁ幼女に転生幼女に転生幼女に転生幼女に転生幼女に転生幼女に転生ッ!」
「お客様ぁ~~!?」
劇場前にて。
俺は偶然にもこの街の恐怖存在『妖濫の聖女アネモネ』を見かけてしまった。
「さよなら三角またきてロリータァァアア~~~ッ!」
「ひぃいいいいーー!?」
普段なら絶対に目も合わせたくない相手だ。だが、
「やめろ、アネモネ」
俺は、劇場スタッフに伸ばされようとして手を掴んで止めた。
「一般人に手ぇ出してんじゃねぇよ。お前の修道服は飾りか?」
「あらぁ、あらあらあらあらぁぁぁぁ……?」
うっわ、変な瞳孔の狂った目でこっち見てきた。マジで関わりたくない相手だ。
「アナタは、冒険者のジェイドさんですよねぇぇ?」
「げっ」
って、なんでこのアマ俺のこと認識してるんだよ!?
そりゃお互いに十年近く街に住んでる身だが、こいつロリにしか興味ないはずだろ……!?
「お前何で俺のことを」
「アナタからはたまに、幼女のような乳臭い香りがしますから。それも付いたものでなく『細胞』から」
「げげっ」
……たぶん、時折ロリっぽい存在『暗黒令嬢サラ』に変身してるからだ。
いやだからって細胞の残り香なんて普通わかるかぁ?
「……何のことだがわからないな。それより。スタッフの人を傷付けようとするな。幼女の敵じゃないだろう」
「でも劇場のチケットがないと言いました。アネモネは別に興味ないですが、子供たち、『暗黒龍と姫騎士』の劇を観たがってるのに」
ちらりと後ろを見る彼女。
視線を追うと、そこには幼女たちが「みれないのぉ?」「やだぁ~!」「アネモネさま、そのひとカレシ~?」とキャーキャーしていた。
また幼女たちとは反対に、いつの間にやら周囲には「ひぃッ、あのアネモネと口論してる奴が!?」「終わったな、あいつ……!」「逃げろぉぉおおおーーー!?」とギャーギャーする大人たちが。うんお前らの反応正解。
「これは子供たちへの冒涜です。酷い大人です。この世で優しいのは幼女だけです。よってこれより、劇場の者全員を幼女に変えると決めましたぁぁぁぁ♡」
瞬間、現実世界が歪み始める。
闇。
女体。
血の渚。
淫靡な炎を掲げながら、無数に絡んだ乳房と腕。
アネモネを中心に顕われる、最悪の世界。
「ではみなさま。可愛い女児になりましょうねぇ~?」
――禁術解放≪妖濫世界・乙女を照らす鮮血水月≫――
かくして、うっすらと『肉の大神殿』が現れ出したところで、
「うるせえクソボケ」
俺は彼女にデコピンをかましてやった。
「うきゅっ!?」
無駄に可愛い声を出すアネモネ。全然可愛くないからやめろ。
「ぁ……あれぇぇぇ……? アネモネの禁術発動が、止まっちゃったぁぁ……? そんな、これは、まさか、でも、あれぇぇ……?」
「そう驚くなよ。痛みでビックリして止まったんだろ」
実際は、概念焼却の炎を宿した『邪龍デコピン』で新世界の展開を阻害したんだけどな。マジでやめろや。
「そ、そんなのっ、絶対に嘘ですぅ……! だってアネモネ、そもそも痛みなんて」
「――あ、あのっ!」
と、爆乳シスターがなにかほざいてたところで。俺の背後の奇乳ピンクも口を開いてきた。なんじゃい。
「どうしたバジ?」
「えとえと、陛下ぁ。さっきからそのメスの手を握ったり、おでこピシッてしたりして気安いですが……!」
あん?
「もしかしてそのメス、陛下の番さんでしたり……!? ならば正妻の座をかけて勝負ですッ!」
「ってンなわけあるか」
俺はバジ子にもデコピンしてやった。かなり強めにな。
「ぁいたーーーいっ!?」
「こいつは特級存在のアネモネ。お前の天敵だよ」
「って特級存在ッ!?」
一気にバジ子はガタガタし始めた。
っておい、「陛下たしゅけてぇえええ!」って俺の腰にしがみつくな。バイブ乳やめろ。
「あ、あのあのっ、特級存在ってアレですよね!? ニンゲンの中でも、最高峰戦闘者の……!」
「ああ。『EXスキル』という異能を超えた異能を持つ、魔物よりも人外じみた連中だ」
人類七大特級戦力。
人の身にして邪龍上位種に並ぶ力を持つ者たち。人類繫栄と防衛の要。
ゆえに崇拝する者も多いのだが――俺からすれば、ぶっちゃけこいつらは『ヒトラー』だ。
「この世界では、個人の才覚がスキルとなって現れる。つまり、世界を変えるような才覚者は……」
先導者や粛清者、侵略者や征服者のような者らは、
「物理法則を壊し、自分だけの世界を生み出せちまうわけだ。――さぁバジ子、突撃の続きをどうぞ」
「ってイヤですよぉ~~~~~っ!?」
赤ちゃん産むので守って~ッと叫ぶバジ子さん。うん、マジで往来でそういうのやめろ。
「おっと、悪いなアネモネ。ツレが邪魔しちまった」
「……いえいえぇ。その子、細胞の年齢レベルは十代前半でしょう? アネモネは心が広いので、十四歳程度の子まではギリロリとしてあげてるんです」
「知らねえよ」
女児性愛者な時点でだいぶ心狭いだろ。
「ですがァ、ですがそのおっぱいは審議の必要がありますねェェェ……??? アネモネ、『ロリ巨乳』はまだ消化しきれてないのですよ。ねぇお嬢さん、ここは一旦『アネモネビンタ』で乳房の細胞を幼児化させても」
「ひぎゃああああああーーーーーッ!? 意味わからないけどやめてくださぃ~~~!?」
おいバジ子いじめんな。さらに速いペースでビクビクビクビクしまくって乳バイブえらいことになってるだろうが。
こいつに股間反応したらなんか負けな気がするからマジでやめろ。
「しかし、細胞の幼児化か。やはりアンタの能力は細胞操作……正確には『世界法則:自分と幼女だけの星』を流出させるわけか」
「そんなことはどうでもいいでしょう」
よくねーよロリコン宇宙人! ロリ・フォーミングやめろ!
「それよりもロリ巨乳ですよ! 果たしてロリ巨乳は、許されるべき存在なのか否か!」
「知らねえよ。てかこの世には『乳がデカくなって悩んでるロリ』もいるだろ。そいつらの存在を否定するのか?」
「!!!!!!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!??????!!!!!!!!???!!!!!!!!!!!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!??????!!!!!!!!???!!!!!!!!!!!!!!!!!!!?!?!!?!?!??!?!?!?!?!?!?!?!!!!!!!!!!!!!!?????????!!!!!!!!?!?!!?!?!??!?!?!?!?!?!?!?!!!!!!!!!!!!!!?????????」
うっわ、アネモネのやつ狂った真顔のままバイブしだした。きしょぉ……。
「そッ――それは確かに! 確かにですッ! アネモネとしたことが自分の目線からロリ巨乳を見てばかりで、ロリ巨乳女児の視点に立ててませんでしたッッッ! なんて自分本位な恥知らず!」
「ロリコンの時点で恥だろ」
「ああ……真の異常ロリ性愛者ならば、そんな子たちの身体的特徴も優しく受け入れて『恥ずかしがることはないですよ』と元気付けてあげることが役目ッ! それを否定するなど大人の風上にも置けません!」
「ロリコンの時点で置けないだろ」
風上にいちゃ駄目だろロリコン。
「ありがとうございますジェイドさん……! まさに目が覚めるような思いでした。このアネモネ、アナタとの出会いに、初めて神に感謝です」
「えっシスターなのに?」
「シスターとかどうでもいいです。孤児院の運営はシスターしか出来ないのでやってるだけで、むしろ宗教は嫌いです」
「っておぉい」
神に仕える気ゼロかよコイツ。
「なんて女だ……」
「さて神に感謝したところで劇場の人間幼女にしましょう。禁術解放≪妖濫世界」
「やめろ馬鹿!」
もう一発デコピンかましてやった。お前本当になんなの!?
「だから一般人に手を出すなボケ」
「うぅ……やはりジェイドさんの攻撃は、なぜか痛みを感じます。アネモネ、身体の感覚ほとんどないのに……」
「あー、そりゃ万象滅却の炎の熱は魂にも干渉するから――ってンなことはどうでもいい」
とにかく。子供たちに劇を見せれないとか、そんなくだらないコトで大暴れしようとすんなや。
そう言いながらアネモネの額をびすびすツツいてやった。「いたいいたいっ」? おう痛がれ。
「でも、でも、このままじゃ幼女たちが悲しい思いを……!」
「させなけりゃいいんだろ? というわけでほれ」
一枚のチケットを無理やり手渡す。
なんやかんやで巡ってきた、『暗黒龍と姫騎士』の団体用チケットだ。
「なっ、これは……! くださるの、ですか……?」
「ああ。俺もバジ子も興味ないからな。だったらガキどもに見せてやるべきだろ?」
アネモネの後ろに並んだ幼女たちを見る。せいぜい楽しめよお前ら?
「「「アネモネさまのカレシさんイケメーーーン!」」」
カレシじゃねえよッ!?
「……まぁいいや。つーわけで元気でな~」
もう出会うことはないと思ってさよならバイバイだ。俺はバジ子(腰に装備)と逃走する。
「ま、待ってください」
待ちたくねえ~!
「「「「「「「待ってくれないならアネモネがいきます」」」」」」」」
「ってぎゃああああああ!? 足元から大量の全裸アネモネが生えてきたァーーーーーーッ!?」
なんでもありかよEXスキル!?
「わぁーーーーー陛下に裸で絡んできてますよぉ!? 交尾の始まりです! あぁ流石は陛下ッ! 人類の最上位者たる特級存在メスを堕とし、酒池肉林を形成させるとは!」
「なんでバジ子はテンション高くなってるんだよ!? さっきまであいつのこと怖がってただろ!?」
「陛下に堕とされたメス仲間! しかも多産できる存在とか動物界じゃマジリスペクトですよぉ~~~!?」
「人間社会の常識で生きろッ!」
どうやらアネモネのことを『怖い敵』から『優秀な孕み袋』と認識したらしい。頭ピンクが!
「それで、なんだよアネモネ……!? 街のど真ん中でアホな真似しやがって!」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「すみませ~ん」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
「ってうるせーよ一気にしゃべるな!」
そう怒ると全裸アネモネーズは溶けて消えた。なんの悪夢だよ。
「ロリ巨乳の議題に加え、チケットの件、誠にありがとうございます。これで女児たちを悲しませずにすみました」
「おう」
「ジェイドさんはロリコンの救世主です」
「その評価はやめろ」
馬鹿にしてんのかお前は!?
「ゆえにジェイドさん。せめてもの感謝の証として、どうかこちらをお受け取りください」
「あん?」
己が変態シスター服の胸部にズボッと手を突っ込む彼女。そこから差し出してきたのは、一本の小瓶だった。どこから出してんじゃい。
「どうぞどうぞ」
「お、おう。……うわ乳臭いし人肌体温でもうキレそう……」
まぁお礼は無下には出来ないので受け取ってみる。
ってなんだこりゃ。揺らしてみると、チャピッ……チャピッ……と粘っこい水音がするぞ。どんな液体が入ってるんだ?
「なんだこれ」
「アネモネの愛液です」
「ブッ殺すぞッッッ!!!!!!!!!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!」
「ひゃあ」
あっ、ついキレて今年一番の大声でちゃった。流石にすまん。
「一応女性だしな。俺はもう絶対にアンタを女として見れないけど、怒鳴るのは悪かったよ」
「うふふ……新鮮な気持ちだからウェルカムです。アネモネ、叱られるのは子供の時以来です」
「だろうな」
街の連中、『爆乳シスター』と聞くだけで震え上がるほどアンタをビビッてるもんな。
「で、なんでこんな汚い液を? 嫌がらせか?」
「汚くないです。女性にしかされたことないのでたぶん綺麗です」
された? まぁ、よくわからんがそれは置いておくとして、
「で?」
「はい。そちら、名付けるなら『聖水』と言いまして。女性が飲めばアネモネの世界法則がちょっぴり適用され、細胞が新鮮になるのです」
「細胞が新鮮に? つまり?」
「肌ツヤがよくなることはもちろん、不治の古傷もなくなったりするのですー」
ってマジかよ!?
「そりゃすごいな。アンタの、愛え……じゃなくて聖水」
「うふふふふ、普通は女児にしか配らないのですよ? ジェイドさんは幸せです」
「いや幸せかどうかは俺が決めるがよ」
まぁ原材料がアレなことを除けば、確かに受け取って光栄な品物だな。
「ありがとうアネモネ。じゃあアンタも『暗黒龍と姫騎士』の劇を楽しんでくれ」
「うーーんニセモノの暗黒龍様に興味ないんですけどね。ジェイドさんが言うならアネモネ頑張ります」
――ん? 暗黒龍、様?
「なぁアンタ、そりゃどういう」
「ではジェイドさん、いつか一緒にロリの初潮で炊き立てご飯をしましょうね! って、あらあら? アネモネにまだ御用でした?」
「いや今絡む気が完全に失せたわ……」
御用されるのはお前だよバカ!
「じゃあ帰るかバジ子~」
「てっ、手を繋いでいいですか……!?」
「袖だけ摘まんどけ」
まだまだ人ごみの怖いバジ子を連れ、さっさと変態から離れることにする。
はぁ~なんかドッと疲れたな。これ以上のトラブルは勘弁だ。
「それにしても陛下、やはり特級存在というのはすごいのですね。ニンゲンの域を完全に超えているようでした」
「まーな」
暗黒龍が人類に味方する以前、ずっと発展を支えてきたのが特級存在だ。舐められた連中じゃないさ。
「本当に怖い人たち。最上位魔の方々が、対抗組織『黒芒嚮団』を結成するわけです」
……ん~?
「『特級存在抹殺計画』には苦労されることでしょう。まぁ陛下の雌であるアネモネさんは大丈夫そうですが」
「おい」
「それにしても陛下っ、あんな怖いけど優秀な雌を堕とすなんて本当に!」
「俺、なんも聞いてないんだがぁぁぁあああ???」
ピンク頭を拳で挟んでグリグリしてやる!
「うぎゃあああああいたぃ~~~!? 特殊な交尾始まったぁぁあーーーーーーっ!?♡」
「始めてねえよ往来で叫ぶな!」
いや『黒芒嚮団』ってなんだよ!?
お前なんかそういうのは会った時に話せよーーーーーーっ!?
※なんかバジ子が拾った綺麗な石→劇場チケット→『聖水』(NEW!)→???
ここまでありがとうございました!
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